第43話

「イェレ先輩。魔法陣を取り除く事が出来たら後は大丈夫なのですか?」

「多分大丈夫だ。王宮魔術師達が破壊したのだから対処も自分たちで出来るよ。ただ明後日の舞踏会は警備を更に強化する必要があるだろうけどね。マーロアは初めての舞踏会だったっけ?気にせず楽しめばいいと思うよ」


 イェレ先輩は心配ないと笑顔で言っているが、私は却って心配になってしまうわ。先輩達が頑張って警備をしていても中で殿下を守る人数は減ってしまうのだし。


「大丈夫だ。俺も一緒に付いているしな」

「アルノルド先輩、有難う御座います。明後日は宜しくお願いしますね」


「あぁ」

「んじゃ、今日はそろそろ解散かな。俺は今からちょっと王宮に行かないといけないし。アルノルドもマーロアも魔力を使ったんだから今日、明日はしっかりと休むように。じゃあ行ってくる」


 イェレ先輩はそう言って研究室を後にした。私とファルスは空になった魔石に魔力を込め直し魔石Boxにまた直していく。魔獣から取れた魔石は魔力を使っても何度か補充すれば使えるけれど、限界があるようで使っていくうちに劣化していき、最後はパキンと崩れて砂になる。


 そして人ではないので魔力を込める時に歪さがあっても痛がる事はないので気にせず魔力を入れていく。


「さぁ、マーロアもファルスもそろそろ寮に帰る時間だ。明日はゆっくり休むといい。では明後日」

「「アルノルド先輩、おやすみなさい」」


すっかり日も暮れてしまったわ。今日は色々とあった。風が吹くと涼しく感じてしまう季節。


ファルスと明日の訓練の時間だけ話をしてからさっと寮に戻り、ベッドに入ると忘れていた疲れがどっと出てきてそのまま泥のように眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る