第19話

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ラグナスが言うところのゴーストAは、本名はマダナクという。

先に述べた通り、部下に謀られて身代を騙し取られ、失意のうちに病死。

家族を食べさせるために慣れない肉体労働をして体を壊し病気にかかった。

神殿の治癒を受けるにも金がいる。

治療よりその日に食べるものを優先させるしかなかったといえる。


裏切りに組みさない部下達も居場所を追われ、日雇いの肉体労働で食い繋ぐしかなかった。

ライネとその仲間は自分の稼ぎを使って、マダナクの家族に食べ物を届けていた。

だが、こんなのがその場しのぎでしかないのは皆、分かっていた。

そろそろやめよう。

誰からともなく、そんな雰囲気になってきていた。

皆、自分の生活でいっぱいいっぱいなのだ。


そこへダークエルフの商人が接触してきた。

もしコイツらの話が本当なら、再起のチャンスかもしれない。

ライネは仲間と話し合った。

皆、最初は色めき立ったが、時間が経つにつれて冷めてきて、どうせ騙されるのがオチと諦めモードになってしまった。

期待すれば後で裏切られた時に落胆する。

ならば、期待などしない方がいい。

皆、境遇のせいで悲観的になっていたのだった。


「オレ一人でもやる、その話にのったる」

ライネは意気込んだ。

「お前さん一人か?マジで?」

私は唸った。

「おやっさんには世話になったし、恩を返したいんや」

「そうか、だが意気込みだけじゃあな」

私は拍子抜けして頭をかく。

「まいっか、馴染みの運搬業者くらいは知ってるだろ?」

「いるけどアイツら、オレらの事真っ先に裏切りよってん」

ライネはシュンとする。

「うーん、他にもいるだろ?」

「いるけど信用でけん」

ライネは首を振る。

法外な値段を吹っ掛けられるか、道中盗賊に奪われて後日横流しされてるか。

どっちにしても無理くさい。

じゃあ、シュガージンジャーの運搬はクルーダの方で手配してもらうか。

大勢が決着してきてるのを無理矢理金を注ぎ込んでひっくり返すのは好きではないが、短期間ならできそうではある。

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