第17話
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リチャードが連れてきたのは、きちんとした身なりの男の幽霊で、服装から察するに商人っぽい。
仮にゴーストAとしよう。
人間は姿形が似かよってるからか、服装が多種多様で、装着する服の傾向で職業や身分が推し量れる。
リチャード「この方の話を聞いてくだされ!」
ゴーストA「ワシ、この街で商売してたもんなんやが、腹心の部下に騙されて身代とられましてん」
ラグナス「商売人にはつきものの話だな。お手前も似たような事をした事があるだJろう?」
ゴーストA「はあ、そうでんな。商売やし、そんなこともありますね」
リチャード「えー!?悪いヤツだったのー!?」
ラグナス「お前は少し黙ってろ、話が拗れる」
リチャード「むー」
ラグナス「それで、話というのは寝台を取り返したいと?」
ゴーストA「ちゃいますねん。ワシ、子供らがおるんやけど子供らの将来が心配で…」
というのが話の流れ。
ちょっと話が飲み込めてきた。
商売上での浮き沈みは世の常だし仕方ない。
だが、残された子供達が自立できてないから心配で成仏できない、という事らしい。
「しかし、面識もない赤の他人が、お父さんの幽霊に言われて手伝いにきましたー。とか言っても不審者扱いだぞ?」
私は渋った。
「それに依頼なら報酬がないとな」
「うっ…」
ゴーストAは言葉に詰まる。
「か、かわいそうじゃないですかっ」
リチャードは擁護に回った。
大丈夫、まーかせて !とか、安請け合いしたのかもな。
なんか泣きそうになってる。
なんかすごく感情豊かなゴーストだなコイツ。
「かわいそうなヤツなど世の中にはごまんとおる。いちいち手助けしてたら切りがない」
私は突き放すように言った。
悪いが、理由もなく余計な事に構ってる暇はない。
「そんなー」
リチャードは情けない声を出して、その場にへたり込む。
「待った、報酬なら用意でける」
ゴーストAはちょっと食い下がった。
「そちらさんも旅しとんのやろ?何かと物要りのはずや。路銀を増やしといて損はないで」
「まあ、そうだな」
私は若干退いて見せる。
「仲間がいるんでな、受けるか否かは仲間と相談しないと決められない」
「構わん」
マジニーの声がした。
あら、起きてたのね。
「夜中だというのにブツクサ言ってたら起きるだろう、全く」
マジニーは文句をいいながら体を起こした。
「まあ、いい。朝になったら他の仲間の意見を聞く。返事は夜でいいな?」
「おおきに、よろしゅうたのんます」
ゴーストAは喜んで、そして消える。
「まだ受けてないっちゅうの」
私は呟いた。
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