新婚旅行!

さっそくトラブル!




 春が訪れた、プリマヴェーラ王国へとやってきた私達の前に現れたのは──


「ようこそ、プリマヴェーラ王国へ!! 良き新婚旅行を楽しんでいただきたい!!」


 珍しく真面目な態度のヴァレンテ陛下だった。


「お招きいただき光栄です」


 そうやって挨拶を返してヴァレンテ陛下の背後に目をやれば。


 いろんなタイプの女性達だった。

 可愛い女性や、かっこいい女性、美しい女性など──言っちゃ悪いが種類豊富。


「後ろにいらっしゃる方々が、ヴァレンテ陛下の伴侶の方々ですか?」

「その通り!」


──あ、いつものに戻ったな多分──


「皆素晴らしい女性だろう!! 男性も悪くは無いが、私は女性好きが強くてね!!」

「は、はぁ……」


──あ、女性陣が苦笑したり、あきれ顔してる──


「君に、いいものを見せてあげよう! 一人で来てくれないか? 案内したいから!」

「は、はぁ……」


 拒否するのも面倒なことになりそうな雰囲気なので、私はとりあえず頷いた。





「ヴァレンテ陛下?」

「なんだい、ダンテ殿下!」

「いいものってこれですか!!」

 目の前のバニー姿の見目麗しい男女達。

「いやぁ、話のネタにはいいだろう!」

「どこがですか!」

 普通にバニー姿の男女もいれば逆バニーで前張りとかつけてる男女もいて正直居心地が悪い。

 その上、皆が私を可愛がるように触るのもあまり気分が良いものではない。


──どんだけ見目麗しかろうが、好きでも無い相手にこんな風に触られたくないわ!!──


「ねぇ、ダンテ殿下私達といいことしません?」

「そうですとも」





『逃げろ。いいこととはセックスのことだ』

──げ?!──


 神様のお言葉に、私は脳内で声をだした。





「お……」


「お断りしますー!!」

 風魔術と肉体強化魔術でダッシュ加速して店から逃亡する。

 ヴァレンテ陛下は置いていく、悪いけど。


──そして隠さずゲロって謝罪しよう──


 猛スピードで町中を駆け抜けて用意された屋敷へと到着した。

 加速しすぎて扉をぶち破って壁に激突するという醜態をさらしたが悔いは無い。


「「「「「ダンテ(様)?!」」」」」


 意識が遠のきそうだったが、皆の声でなんとか引き戻される。


「ただいま……行ったことすごく後悔してる……」

「な、何があった?」

 エドガルドが不安げに尋ねるので私は洗いざらいぶちまけた。



「よし、ヴァレンテ陛下へ直訴しよう」

「ついでに殴ってくるか」

「蹴りの方が効果的だぞ」

「使い物にならなくしてしまえばいい」

「待って待って待ってー!! とりあえず皆さん落ち着いてください!!」

 殺意がみなぎる四人を私はなんとか止める。

 オロオロしているエリアには少し助かった。

「皆様、落ち着いてください」

 フィレンツォが静かに言うと、一瞬で皆大人しくなった。





──まだまだ、私は未熟かぁ──

『そういうことだ、精進しろ』

──くそう──


 神様の発言に一人文句を言う。





「ヴァレンテ陛下の伴侶の方から謝罪の手紙が届きました」

「早いなおい!?」

 思わずツッコむように言ってしまう。


 フィレンツォから手紙を受け取ると謝罪文章が書かれている書かれている。

 事前に、ヴァレンテ陛下が馬鹿やるのを予測して書いているのが分かる程だ。


 その上で、あの施設に連れて行った事への謝罪と、余計な事をしたヴァレンテ陛下はしばらく〆ておくという内容が書かれていた。

「……」

 最後にちゃんとした観光名所の地図とパンフレットが入ってあり、伴侶達とはそちらに行くのが良いでしょうと書かれていた。

「トゥリパの花畑も入ってますね、天気はしばらくいいとの情報ですし、明日にでも生きましょう」

「今日は行かないのですか?」

「精神がごりっごりに削られたので休ませてください、お願いします」

「休め、ダンテ。お前にはその権利がある」

「あ、あの、お顔大丈夫ですか?」

「そういえば激突していたはず……布で冷やしているけども大丈夫ですか?」

「ちょっと見せてくれ……あー赤くなってる」

 冷やしていた箇所をアルバート見せるとどうやら赤くなっているようだ。

 寧ろそれですんで良かったと思ってる程の激突を私はしたのだけども。

「やはり、直訴すべきでは」

「いや、しばらく顔を見たくないのでお願いします本当」

「皆様、あのダンテ様がここまで言っているのです、私達はここで手を打ちましょう」

 フィレンツォの言葉にしぶしぶ納得する面々。

「とりあえず、ダンテ様は休みましょう」

「うん」

 私はよろよろと皆に支えられながら寝室へと向かった。


 寝室のベッドに横になり、目を閉じた。


 その夜、エドガルドとクレメンテに搾り取られたが、まぁ仕方ないことだと諦めた。









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