第23話 事件の話にはまだ届かない
いつものように不眠に悩まされ、闇の中で煙草をくゆらせている探偵児嶋は午前3時に事務所に据え付けられたベッドに座りながらもうこの3週間ほど悩まされ続けている怪奇猟奇謎厄介珍迷惑愛欲渦巻肉欲連続殺人事件のネジのように巻き解けない謎がいくら考えても解決できそうもなく、不眠も限界に来ているし持病の幻聴も酷いので中学生のように壁を殴ったら手が痛すぎて、彼は女のように泣いた。
ちなみに幻聴はこんな感じであり、
ルールルルルルルー
クワッパクワッパ!
ムクンムクンムクンムクン
という獣の鳴き声みたいでもあり、探偵児嶋によるとこれは「バンシーの叫び声」だという。バンシーとは児嶋の生まれ故郷にある森の真ん中にある沼に潜む古代からの原子生物なのだが、夜叫ぶとうるさいので市役所の役人が沼に毒を撒いた。しかしバンシーは死ななかった。児嶋は子どもの頃からバンシーを愛していた。彼は子どもの頃、森で友だちと隠れんぼをしたら迷ってしまったが優しいバンシーに助けられた。だからなのか、彼は人に優しいことをしようと探偵になったが児嶋は馬鹿だったので使えないヘボ探偵になった。
血塗れの手をハンカチで拭いながら児嶋は呟いた。
「探偵やめよかっなー!」
児嶋は言い方を変えてみた。
「探偵をやめるでござる♡」
児嶋は声色を変えた。
「たぁ〜んて〜いってマジでいまやめるべき〜★★★」
児嶋は疲れた。今日は仕事は休もう。愛人の京子に会いに行く。ヒシと抱きしめ、それから京子の好きなくすぐりを俺はやるのですぞ(探偵も探偵らしくないことをふだんはする)。
(続)
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