敵か、仲間か

ここ、ジャパリパークでは、アニマルガール、別称フレンズと呼ばれる動物が擬人化したものが生息していた。


そして、フレンズと同時に存在している、フレンズから言ってしまえば天敵と言える生き物も同時に存在していた。


その名は、セルリアンというのだった。


現在分かっていることは、フレンズが持っていると思われる、輝きを奪い、再現する。


それしか、セルリアンには備わっていない、それくらいの事しか今は分からなかった。


そして、そんなセルリアンの研究を進めているのが、この俺だ。


研究は順調とは言えないが、少しずつ解明されている。


それもこれも、全部あいつのおかげだ、と思いながら例の場所へ向かった。


言葉を話すことも、おそらく言葉を理解することもできない、あいつ。


でも、分かる。


あいつが考えていること、感じていることを。


あいつだってきっと同じ。


科学的には証明できないけど、確信はしている。


ほら、だって”食べない”んだもの


「お待たせ」


「___!!」


このパークの中では外され、嫌悪される存在。


確かにパークをオープンする上では障害そのもの。


だが、こいつだけは違う。


明らかに心を持ち、優しさを持っている。


「あ、そうだリア、この前実験に付き合ってもらったお礼に…」


リア。


こいつの名前だ。


俺が勝手につけた名前だが、リアと名付けたときとても嬉しそうにしていた。


そして白衣のポケットから一つの小瓶をとり出した。


「少ししかないけど、あげる」


瓶の中には少量のサンドスターが閉じ込められていた。


サンドスターはかなり希少だ。


こんな少量でもかなり高価だ。


100グラムもあれば新品の中型バイクは余裕で買える。


そして、サンドスターはセルリアンにとって食料であり、体を構成するものである。


「___!!!」


想像以上に喜んでくれた。


そんな様子を見て自分も何故か嬉しくなった。


「…あっと、忘れ物…すぐ戻ってくるから、待ってて」


実験に必要な器具を入れているバックを忘れた。


いつもは忘れもしないのに。


毎日施設に籠もってるせいか、少し走っただけで胸が窮屈に感じた。


5分も経たないうちに戻ってきた。


いつもの場所と実験室は500mあるかないかくらいなので早く着いた。


だがいない。


見当たらないのだ。


もう帰ってしまったのかと考えていると、横から大きな音がした。


何かが壊れる音がした。


その音の中になにか違和感のある音もした。


「…!まさか…!」


バックを地面に落とし、音の方向へと向かった。


やはりだ。


フレンズとセルリアンが戦っていた。


戦況は明らかに偏っていた。


一対一では敵わない。


爪が光った。


そして突撃した。


自分と同時に。


二人の間に立った。


大の字になり、その攻撃を受けた。


表面だけでなく、内側も削れる音。


赤く染まり、その場にうつ伏せた。


攻撃した側は、おそらく混乱していたのだろう。


「…リア…」


か細い声を最後の力で出した。


「自分を…食べろ…無くなる前に…」


そう言い残し、視界が暗くなった。


この先、考えることも感じることもできなくなるだろう。


だがいいさ。


自分はずっと「リアノナカニイルカラ…」

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