始まりは大変だっていうけどもう大変すぎてメンブレしそう、むりみ3



 地獄の魔法少女特訓が始まって数日後___



「自然に魔法出せるように意識して!ほら、ぼーっとしない!」

「ひえぇ」

「甘い!もっと魔力を集中して出して。ほら、まだ火が分散してるよ!」

「は、はぃいい」


 私は何とか早い段階で対人戦のステップに上がれた、勉強意外だったら割となんでもできる気がしてきた。


「はい、今日は終わり!お茶会に行こっか!」

「お疲れ様よヒイロちゃん!」

「あざっした、シロさんアイさん」


 お茶会ではクロが爆食していた時みたいにお菓子を腹に詰め込む。意外と私の魔力量は多いみたいでシロさんから「長期戦に持ってくスタイルで戦ったら勝てると思う」と言われた。ただし動きがさまになったら、の話だけど。


「じゃ、お疲れ様っした!!」

「お疲れ様ぁ!また明日頑張りましょうね」

「ヒイロちゃんまた明日〜」


 菓子と茶を飲んで少し話したら明日のために直ぐに帰る。日中はベッドに籠って眠りこける日々を送ってる。学校から一度顔を見せに登校しに来いと言われたけどハードな訓練が終わるまで行けそうにない。まじで時間が足りねぇ。


「ぁあー寝みぃ……」


 ウサギが言ってたけど体が完全にアリスになると食事睡眠の必要がなくなって排泄もしなくなるらしい、あのレディーの日も無くなると聞いてめっちゃ驚いた。

 そういうのは最初に言えよ!って呆れたけど子供は絶対作らないって決めてるしあの辛い1週間とレディーの日の前のマイナス気分な日が来なくなるなら咎めない。私にとってはウェルカム。ありがとう。

 アリスになって割と生活が充実してきた、ブラックだけど私は元気だぞ。


「そこ!気を抜かない!」

「危っ!!」


 次の日も私の身体は悲鳴を上げた、アリスになった特典か体力や動体視力は格段に上がってるけどこのスパルタ修行にはまだついていけない。

 最初筋肉痛に脅えたけどそれは大丈夫だった、翌日に響く事は日中は眠くて仕方ないぐらいでほんと便利。


「魔力を全開で戦っちゃダメ、温存しないと勿体ないよ!首を切る前に疲れて逃がしちゃうし死ぬよ!」

「へ、へぃ!」


 シロさんの訓練はアリスになっても全然体力と魔力が足りない。人間だったら30分も持たないと思う。


「ちょっとちょっと、魔力切れなっちゃってるわよヒイロちゃん!」

「げ、まじっすか!」


 魔力切れを起こしたら体が動かなくなる上に髪の毛が燃えて火になる。全く理解できないと思うけど安心しろ、私も理解できない。

 シロさんが言うには魔力切れを起こすと体の一部が変化するらしくてシロさんは体の一部が氷に、アイさんは体がスライムみたいになるらしい。

 私は髪の毛がチリヂリになるけど髪の毛が完全に燃え尽きるなんてことはない、魔力が回復したらトゥルトゥルの髪の毛に戻る……凄いよね。


「刀を有効的に使って!」

「ういっ!」


 アニメや現実の刀の使い方を動画で学んだやり方を実際に取り入れてみると結構いい、2次元的な動きがアリスになればできるからアニメも全然参考になる。まぁアニメの内容はよく分からんけど……。


「バランスよく戦って!ヒイロちゃんは偏りすぎだよ!!」

「ギャッ!!」


 容赦なく思いきり腹を蹴られて木にめり込む。シロさんは顔は慈悲なのか狙ってこないけど体に容赦なく蹴りとか拳を入れてくる。


「足もちゃんと使って‼その蹴りいれたらすぐ戻して、さっさっさを大事に、ぱっとしてくっとするんだよ!」

「いっ!」

「受けたら外に魔力流して、常に考えて集中を途切れさせないように。しゅっと、してからクイッと魔法でするの!」


 体の使い方はシロさんに教わっているけど相変わらずシロさんの言葉は分かりにくいし感覚的な言葉だから分からない。もっとこう足をどの方向とか魔力をどうやって分散させないようにするか言葉で教えてほしいんだけど……。

 まあ何とか自分なりに解釈して付いてこれてはいるから何とかなっている。


「ヒイロちゃん、もっと武器をシュシュって使いなさい!バランスよく魔法をぴゃーってして相手をジャンってするの!ぐーっとやってしゅっしゅって!」

「は?え、難しすぎませんん⁉」


 アイさんからの魔法を使った戦い方もこの人は語彙力が全くない教え方をするからシロさんより余計に分からない。意味不明。

 【ぐーっとやってしゅしゅっ】て意味不明、とりあえずそれっぽい動きをして理解してやるけど違うって言われる。


「ほら、まだまだ貴方は強くなれるんだから頑張りなさぃー!」

「もっと語彙力つけて教えてもろうてええですかね!?」


 よくこの2人についていけると私は自分を大いに褒めたい。よく頑張ってるよ私、偉いよ……はぁ。

 あ、そうほう動きが様になって来た頃に一度だけ2人が来ない時があった__


「今日2人は?」

「2人とも現実世界の方で用事があるみたいで来れないみたいなんだぁ……それでね___黒のアリスちゃんに訓練をお願いしたよ!!」

「は……」


 その日はウサギがクロに頼み込んで私の指導をすることになってしまってマジで死を覚悟した。もう私の精神と集中力は0に等しいレベル。


「とりあえずいつもの場所にもういるから早く行ってね!」

「まじっすか……まじっすかよ」

「キミが強くなるためだから頑張って!ほら、早く行く!!」


 半ば強制的にいつもの場所に向かわされ、モチベだだ下がりでその日の修行に挑む。


「よ、よろしゅう」

「なんで俺がお前に教えなきゃなんねーんだよ。クソだるいんですけど」

「う、うわぁ……」


 いつもの練習場所に行けばクロが木の上に座り、愛用のナイフをクルクルと回して遊んでいた。私が来るなりめちゃくちゃ不機嫌な顔をしやがったから私もうげーっと言う顔をして対抗する。


「はぁ……。俺の腕、切り落としたら今日はお前のすること終わり」


 だるそうにそう言いながらスタッと木から降りて私の所にくるクロ。


「じゃ、スタート」

「はっ、ちょ、ま――」


 準備もなしにクロは私に攻撃を仕掛けてきて“両腕”が吹き飛ぶ。


「い゛ッ!!」


 コイツも習うより慣れろ方式かよ!と思いながら次の攻撃を受け止めけど受け止めた左腕も飛ばされ、


 痛みを感じる暇もなく私の意識はシャットアウト。次に目を覚ませば私は黒いスライムの上に寝ていた。ぷにぷにして高級なベッドの上に寝かされてるみたい……なんだこれは。

 気持ちよくて再び意識を落としかけたその時__


「なんでもしていい、使えるもん使えよ。ちゃっちゃと腕取って帰れ」


 ゲシッと腹を蹴られて冷たい地面の上に倒れる。


「早く動けノロマ。俺は容赦しねぇからな」

「ちょ、待っ___」

「夢バグが俺達アリスの言葉を聞いて待ってくれると思ってんの?馬鹿にも程があんだろ、雑魚」

「ッ!?」


 ナイフが横から飛んできたからそれを避けた瞬間、別の方向から飛んできたナイフに頭を貫かれた。

 再び私は痛みを感じる前に意識がシャットダウンしてしまう。


「おい、寝んな」


 すぐにクロが私の頭を殴りつけて気絶から復活させ、傷が治った瞬間攻撃を仕掛けてきた。


「鈍い、もっと早く振れ。視界を広げろ、よそ見すんな。単調な動きになってる、カウンター……攻撃を返されると予測して常に相手の動きを先読みしろ、攻撃してる間どこかに隙が生まれる、そこを狙え」


 刀と魔法を駆使して1、2回攻撃を交わした後にナイフで心臓を貫かれる。アリスは首を切断されなければ死なないけどこれは酷い。

 私情を挟まない主義なのかこの前みたいにガチで殺しにかかっては来なかったけど人間の急所である心臓や頭を重点的に狙って来るもんだから怖い。こいつ人殺したことあるでしょ、まじで凶器なんだけど。


「馬鹿みたいに火を出すな馬鹿、魔力を温存して戦え。ほら、足がお留守になってるぞ。魔法を囮に、武器をメインに……とか体術でスキを作ってザクッと刺せ。フェイントが少なすぎる」

「ギャッ⁉」


 足を蹴り飛ばされ、地面に倒れた瞬間胸に鈍い痛みが走る。


「はい。5回死んだ、後何回死ぬつもりなの、オマエ」


 急いで体を回復させて武器と魔法、教わった体術でクロに攻撃を仕掛けたけど攻撃はどれも当たることがない。

 手加減はしているんだろうけどそれでもレベルが違い過ぎる……まだ初めて2週間ぐらいしか経ってないのにこんなバケモノの腕を取れる訳ないだろ。


「馬鹿正直に突っ込み過ぎ。相手に攻撃を悟らせないようにしろ。魔法、武器、手足もあるんだからフェイント混ぜるなりして相手を騙せ……火はいい閃光弾代わりだろ。武器は上から落としたりもできるんだしさ」

「ほ、ほぉ?」


 ちょっと待て。

 こいつ……ヤケにちゃんと、してる?


「体術の部分が疎かになってる、もっと何とかなんないわけ?」

「体術つってもわかんないっすけど!」

「あー……関節技は人間とかにしか効かねぇーから逆蹴りとか突き……殴ったり受け身を適当に学んで実践しろ。魔力込めて殴りゃ雑魚を簡単に狩れる」

「ほ、ほお!!」


 これだ、これを知りたかった。

 この教え方をしてくれるやつを知りたかったんだけど、なに……なんだコイツっ!!


「夢バグは光と火を嫌うからな、囲って焼き殺すまでできるように魔力を増強させろ。簡単になると思うぞ」

「おん、なるほどな!!アンタ、たまにはいい___」

「調子にのんなよ雑魚」


 再び私の頭にナイフがぶっ刺さって意識が飛ぶ。褒めてやろうと思ったのになんだよこのクソ男!!

 結局この日クロの腕を勝ち取ることはできず、ひたすらナイフで体をめった刺しにされちまった……まじで許せん。ムカついてやけになったら思いっきり蹴られて地面にめり込んだ、悔しすぎて発狂しかけてこの日から家で戦い方についてネットでみっちり勉強を始めた。

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