映えスポットで行われるお茶会が物騒すぎる件について話そうか4



「クゥちゃん。ざ、雑魚って…そんな――」

「雑魚なのは真実です。何がダメなんですか。何も考えてない死に急ぎの雑魚を守るために俺らがいるわけじゃないです」


 シロさんの言葉なんてお構い無しにクロは私を罵る。


「で、でもね、ヒイロちゃんは___」

「こんな自分勝手なやつがここに居たら全滅しますよ、俺は貴方まで死ぬのはごめんっす。コイツ1人が死ぬなら別にいい」


 新人だったらいいという発言に思わずプチンと来た、私の悪い癖が発動した。開戦の狼煙だ、戦じゃ、戦が始まったぞ。

 私の地元の特性、強気が発動された!!


「黙っとったら好き勝手言いよってからに……アンタ、人の気持ちも分からんクソ野郎やんな、アンタみたいなヤツが仲間とか可哀想で可哀想でしゃーないなぁクソ男」


 先輩?歳上?そんなの知らん、知るわけない。


「猿山の大将気取りは見苦しいで、新人をいびって俺かっこいいでしょーとか思ってんやろうけどくっそダサいで?ナルシスト?自分の行動がイタいって分からんの?」


 こんなクソみたいなやつにペコペコ従順に従う必要は無い、相手が下に見てくるのならこっちだってそれなりの対応をする。クソ野郎にわざわざ気を使う必要は無いだろ、社会人じゃあるまいし。

 嫌いな人間にどう思われようが知ったこっちゃない。嫌いな人間にわざわざ媚びを売って好かれる筋合いはないでしょ。クソ人間にはクソみたいな態度でいい、自分に害を与えてくるヤツ限定だけど。


「ちょ、ヒ、ヒイロちゃん⁉」


 シロさんがギョッとしているけど私は素で言われた分、好き勝手に言い返す。

 私は元々口が悪いんでね!シロさん、今までの私は猫かぶりというやつです。許してください、でも気を使わなくていいって言ってたし(意味が違うと思うけど)いいよね。


「何なのオマエ。雑魚が入らなきゃ連携は取れるわアホ、マジでめんど……生理かよ」

「死ねクズ。アンタみたいなよりかマシや!な言い方どーにかしろ。絶対アンタ友達おらんやろ。彼女もおらんどーてーってやつやろ、クズ」



 口の悪さは兄貴と幼馴染から伝染した、口の悪さに自覚がちゃんとあるけど直す気はない、口の悪さは時に武器になる……私の場合だけどさ。

 普通の人が他人に対してこんな感じにしてたら大問題だし友人は離れていくわ信用も信頼もどんどん消えてぼっちになるから気をつけるんだぞ。いや、私は一体誰に話してるんだよ、多分純粋な頃の私だと思う。


「あ?誰がだクソガキ。脳味噌ぶちまけてやろうか?大体お前にしか言い方しねぇよクソガキ中坊」

「あぁ?なんやとクズ陰キャナルシスト」


 ああ言えばこう言い、こう言えばああ言う埒が明かない口喧嘩。


「ちょ、ちょっと2人とも落ち着い___」

「てめぇ武器も扱えねぇ魔法も扱えねぇ雑魚新人なんだしさ、敬語使えよ」

「ねぇ、クゥちゃ___」

「あぁ……敬語の意味もわかんねぇ猿だった?はは、悪ぃわなぁ」


 コイツ、コイツ本当に腹が立つ!!

 1回、いや2回……いや気がすむまで顔面を殴ってその人を小馬鹿にしたような顔を見ないでいいようにしてやりたい。


「クズ野郎に誰が敬語使うかクソキノコ野郎、人が猿に見えるとかイカれてんね?いい眼科教えたろか?」

「ふ、2人とも一旦___」


 止めに入ろうとシロさんが言葉を挟むけど私は止まることなく、むしろ白熱してクロに暴言を吐き散らす。はしたない?これが女の子の現実だわ、暴言を吐き散らさねぇ女なんて家庭環境に恵まれた金持ちぐらいだろ。


「ノリでアリスなんかになりやがって迷惑なんだよこっちは。なんでワガママなガキの世話しなきゃなんねーんだよ……保育園かここは」

「ノリやないわ!アンタの方がワガママで傲慢で自分勝手で自己中やんけ、ほざくなし」

「うっせぇわ。つか、人間1人殺して幸せになれると思ってんの?たった1人の人間のためにゴールが見えねぇ持久走に飛び込むとかアホすぎんじゃね?脳みそタピオカ詰まってんじゃね?」


 そう言ってクスクスと頭にくるような笑い声で笑うクロ。


「お前さ、かわいそーな悲劇のヒロインぶってんでしょ?哀れなお姫様気どりしてんじゃねーよ。お前と同じ人間がどんだけいると思ってんの?どんだけお前より不幸な人がいるか知ってんのか?沢山の子どもがお前のような家庭で死んだと思ってる?」


 私と同じ人間という言葉に思わず口を閉ざしてしまう。クロの言葉が少しだけ、本当に少しだけ刺さった。確かに……私は今、ここに生きている。生きているということは他の同じような人達よりかは……。


「笑うわマジで。1人の人間だけ殺せば何とかなる環境が望ましいわ」

「っ……」

「まだ未成年だろ?殺したきゃ殺せば、ほら。お前はたった1人殺せばすむんだからさ、1人で幸せになれるんだろ?」



 ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべたクロはナイフを出現させて首を切る真似をする。

 たった1人、たった1人で私の日常は平穏になる。だけど、だけど私は1回だけの苦痛でアイツを楽にさせたくない……。

 他人は他人、自分は自分、人の不幸なんて気にしてたら自分が壊れるだけ。


「こんな命がけの仕事をその人間の為だけにやるとか馬鹿だろ、大馬鹿。救いようのないクソ馬鹿だわな!!」


 ケラケラと腹を抱えて笑うクロに無意識に私は刀を出して構える。武器は私に答えた、きっと私の味方をしてくれているんだろう。

 手を出した方が負け?知らん、うるせぇやつは物理で黙らせるのが私の紅葉家の家訓……のはず。


 先輩の方が強いと思うけど何かの拍子で勝てるかもしれない、それに賭けるぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る