魔法少女少年の個性バグりすぎてハゲそうなんだけど、死ぬ4
「酷い姿だね、アリスちゃん」
「うぉ!?な、なんやクソウサギ!」
考え込んでいたらいつの間にかニコニコ顔のウサギが居た、胡散臭い笑みにちょっとぶん殴りたくなった。
「なっにしに来たんよ、魔法少女やったら、使い魔がずっとおるんやないの」
確かシオン君の見てた魔法少女のアニメはずっと使い魔がふよふよ浮いてたり足元をかけ走っていたりしてた気がする。何故こいつは主のような魔法少女の元に居ないんだよ。
まぁ痛覚のことでちょっと聞きたいことあったから忘れない内に来てくれてよかったけどさ。
「ずっとは流石に無理だよ、キミ以外にもアリスはたっくさん居るんだから」
「えぇ……もしなんかあった時どうするんやし。使い魔いませんでしたーで死んだらやばいやんけ」
「もー不思議の国の住人は女王サマを入れて6人くらいしかいないしそもそもボクしかアリスを管理できないから忙しいの!!」
「そこは頑張るしかないやろ。頑張れ」
「無理だよ!!はぁ……赤のアリスが言うなんかあった時の為に呼び出す方法を伝え忘れてたから今、今!!伝えに来たから文句を言わないの‼」
「そんな耳元で騒ぐなし!」
「赤のアリスがボクに酷いことを言うから仕方ないでしょ!!酷いよ酷い!!」
ぷりぷりと甲高い声できゃんきゃん怒るウサギの声を耳で塞いで適当に「はいはい」と返事をする。このウサギのテンション、生理中来られたら間違いなくぶん殴ってゴミ箱にぶち込みそう。
てかもうすぐ来るからか凄くイライラする、こいつを1度鍋にぶち込んで煮込んでもいいかな。
「んで、どうやったらアンタを呼べるん?なんか魔法のステッキでももらえるんか?ファンシーなきらきらーなやつくれるん?」
ファンシーでキラキラーなピンクピンクしたやつを渡されてるイメージがあるんだけど一体コイツはどんなものを私に授けるのか。あまりにもヘンテコなやつだったらちゃんと鍋にしてやろ。
「何か用事があったらウサギ! って叫んだらすぐに行くから気軽に呼んでねー!」
「え、叫ぶ?え、叫ぶん?」
予想外すぎて私はどこかの宇宙の猫になった。
「簡単な方がいいでしょ?小さな声でも大きな声でもどんな声でもすぐに駆けつけるから覚えておいてね!へへっ」
そんな原始的な呼び方でいいのか。本当にそんな呼び方で大丈夫なのか……?間違って呼んだらどうすんだよ。
というか小さな声もってコイツの聴力ってやばすぎない?人外だしそんな力を持っててもおかしくはないと思うけどさ。
「わ、分かったわ……」
「ふふ、それを伝え忘れただけだからちゃんと覚えておいてね!」
「お、おん」
原始的な呼び方で呼べばすぐにすっ飛んでくると頭にメモした。ふざけて何度も呼び出ししてやろうかな、すっごいキレられそうだけど面白そう。
「質問なんやけどさウサギ」
「なんだい?名も無きアリス?」
「アリスになったら痛覚とか無くなるん?少しだけやったら全く痛み感じんなるとかあるん?」
「痛み?どういうこと?」
さっき起こった不思議な現象をウサギに大雑把に伝える。あれがアリスになった特典であればこれから先、あのクソ兄貴の暴力に反抗できるかもしれない……。
先程の素晴らしき出来事をウサギに全て話すとウサギは不思議そうに首を傾げて私の手を無許可でふにふにと触り始めた、勝手に触るな!って思ったけどやけに真剣だったから黙ってウサギを観察する。
「うーん。まだ魔法が使えないのにそれは無理なことなんだけど。まあそういう素質かもねぇ。一応怪我は魔法がなくてもアリスによってはすぐに治るよ!」
「へー……んじゃあ魔法少女特典ってやつか!」
「まほーしょーじょ?まぁ多分そんな感じだと思うよ!」
あの痛覚消失出来事はアリスになった特典という事で認識しよう。痛みを完全に消したら晴れて私はあのクソ兄貴の暴力を耐え、反抗することができるぞ!!と思った瞬間、ウサギに「人間に力を使うのはご法度だからダメだよ」と付け足しで言われた。
アリスが人間を殺害することは女王という人物に禁止されているらしく、もしそれをしてしまったら追放されてしまうらしい。下手をすれば首を落とされると言われてあっけなく私の逆襲は中止になってしまった。1人くらい別にスパッとやっちゃってもいいじゃん……。
「女王サマは偉大な方だから反逆したらダメだよ、名も無きアリス」
「へいへい……分かっとりますよーだ」
「ほんとに分かってるー?分かってるのー?心配だけど分かってるー?」
「分かっちゅうって言ってんやろクソウサギ、何回言わせるんやコノヤロウ」
「ギャ!怖い!!」
さっきまで高かったテンションがダダ下がり、あんなクソ野郎死んでも誰も問題ないでしょ……逆に被害者(私)が救われるし今後の社会の平和のためにも殺っちゃった方がいいと思うんだけどな!
「狩りの時間になれば体の機能はアリスの本来の力を発揮できる。狩りの時間はアリスそれぞれだけどその時間になればボクらと同じ世界、不思議の国の住民になる、魔法が自由自在に使えるけどそれで人間を殺したりするのはダメだからね!」
「ちぇー」
「絶対ダメだからね!?いい!?」
「はいはい……」
嫌な顔をしたらウサギが絶対ダメだからね!念を押してきた、そんなに何回も言わなくても分かってるってーの。でも魔法少女みたいなモノ――アリスになって頑丈になったのに残念過ぎる。
「アリスは人間と違って頑丈で力が強い、その上“首を切り落とされなきゃ死なない”よ。属性によって狩りの時間以外もアリスの力を使えたりするから楽しみにしてて!」
「すっごいな……」
【不思議の国のアリス】という絵本の世界で死刑宣告を受けると首を切り落とされ処刑されるというヤツから来てるのかな。
あの絵本、地味にやることと話がエグイからちょっと好きなんだよね。
ま、とりあえず首は何がなんでも死守しなければならないということは分かった、死ぬ気で守る。理解理解。
「他のアリスから呼び出しがあるからちょっと離れるけど深夜0時に迎えに行くから大人しく家に居てね!」
「お、おん」
「じゃあまた夜に!!ふふ、まったねぇ!」
ポンっと音を立ててウサギは居なくなる。
取り残された私はウサギの言う通り大人しく家に引きこもる事にした。
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