鶏胸肉の洋風竜田揚げ焼きの甘酢中華あん

 お久しぶりでございます。なんだか似たような書き出しばかりで申し訳ないのですが、私は基本的に小説を書いている人なのでこんなもんです。というか、真新しい料理はマトモな料理研究家さんたちに任せておけばいいんですよ。だから私は、


 鶏むね肉でなんか作ります!


 なんかってなにってなんかですよ。本当になにも考えずに料理をおっぱじめようという悪魔の所業です。とりあえず春の陽気につられてしこたま買った新玉ねぎを消費したいところ。あと買ったばかりのオリーブオイルを開栓したい。となれば、


 洋風竜田揚げでしてよー!


 わたくし何を隠そう揚げ物のなかではトンカツカラアゲコロッケお天ぷらやカキフライやアジフライなどなどに並んで竜田揚げをお慕い申し上げていますの。誰に? 揚げ物の神様かなんかですわ。きっと。


 さぁ竜田揚げ! ですけれど、開栓したいのはオリーブオイルですわ。別にお高いオリーブオイルではございませんが、さすがになみなみと注いで揚げ物はイタリアーノ・オバチャーマすぎるので却下。却下ですわ。


 となれば当然そう、揚げ焼きですわね。わたくしは特に使う機会なんてないのですけれど、おーん札とそらそうよ札のスタンプとか出したらアホほど売れそうですわよね。もうあったりするのかしら?


 さて、オリーブオイルを使った洋風竜田揚げ焼きですから、鶏胸肉から皮をバビリンチョしたらお塩とお黒胡椒に片栗粉ですの。それからスペインさま産おニンニクを刻んで、オリーブオイルに沈めます。香り付けですのね。


 でもって、新玉! 新玉は半月切り! 櫛切りではございませんわよ? 半分に割って、繊維を断ち切るように輪切りするイメージですの。食感を大事にしたいお年頃ですものね。ふふふ。


 さぁ! 熱せられしステパンですわ!


 中途半端に古語の過去完了で受動態づかいしたから意味不明ですわー!


 えい! とお鶏むね肉を投入! 意外とバチバチこないのは粉のおかげでしてよ! したら、しっかり焼色をつけるように……ように……油が少なすぎませんこと!? ついでにフライパン狭すぎですわ! 乾燥! 乾燥していますわ!


 ひっくり返しても揚げ焼ける音がしなくってよー!!


 まずいですわ。地味にこれまずいですわ。あ、コンロさまがあっちーよとピイピイわめきやがりました。どうしましょう。えーと。とりあえず新玉を投入! からの追いオリーブオイル! ぬぁ! 先に揚がってた方はよくても後から投入した片栗胸肉さまがネチョりはじめていましてよー!


 こういうとき、こういうときは……調味料ですわね。水分、水分。でもすでにねちょり始めていますし、お醤油とお味醂とお酒で照り煮っぽい雰囲気を出しつつ……ニンニクいれちゃってますものね、もっとお洋風っぽく……。


 ビネガーの投入ですわー!!


 ええ、ええ、意外と知られていませんけれど、ヨローピアンといえばビネガーですの。ブドウのあるところにバルサミコ酢あり、ですの。もっとも、わたくしお醤油仕立ての味付けにバルサミコ酢という日伊決戦は好みませんから、ミツカンさまのおやさしいお酢を使わせていただきましてよ! 


 では投入したらば蓋! わたくしの観察眼は気づいていましたの。お鶏胸肉がガッツリおピンク色をしていたことを! カンピロバクターこえーですからご安全に蒸していきましょう。


 ――いい匂い! いい匂いがしてきましたわー!

 完璧な中華あんかけの匂いでしてよー!

 は?

 

 ごめんあそばせ。わたくし一瞬マジ切れしてしまいましたわ。でももう後の祭り。祭りのあと。余ったソースせんべい一袋十円ですわ。マウントフジ以西の御方は存じ上げないかも知れませんわね。おかわいそうに。ふふふ。


 もう中華になっちまったらしゃーねーので、ここは長ネギをみじん切りしておきましょう。ネギとニンニクがありゃだいたい中華の精神ですのね。それからアサヒさまのおミツヤサイダーレモラを用意! さいきんのわたくしがドはまりしている無果汁の炭酸飲料ですわ。


 わたくし、レモンやライムの香りがする飲み物に目がありませんの。カクテルだったらジンライムが至高。お嬢様なのに。領収書を見られてお父様に勘当されてしまいますわー! まぁでも領収証にはレモラってありましたからバレませんわね。というわけで、完成!


 鶏胸肉の洋風竜田揚げ焼きの甘酢中華あんかけですわー!


 ……意外においちい! でも、なんでしょう、この、パリっと感不足。やっぱりネチョらせてしまったのが敗因かしら。次に作る機会があれば気をつけましょう。あとは余らせたトリ皮をパリッパリに焼いて……今日は休肝日ですわー!


※ワンポイントアンガーマネジメント

 わたくしイラっとすると自分の太ももを叩く癖がありましたの! でも傍から見たらめっちゃブチギレてそうだし自傷癖じみて怖いので、古い軟式球を叩くようにしてみましたわ! これなら怪我もしないしちょっと痛いくらいと思っていたら、わたくし気づけば拳ダコができつつありましてよー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る