酢味噌で和えれば全部うど

 山うどってスーパーで見かけたらつい籠に入れちゃいますよね。山菜は田舎臭いとか面倒だとか調理法がわからないとか言いつつ、皆さん何だかんだ買っていくみたいです。品を語るような口は実はエグイのが好きなんですよ、やっぱり。


 というわけで、山うどを食べましょう!


 と言いつつ、うどの登場は二回目ですよね、たしか。記憶が定かではありませんが料理嫌いが極まっている私のことですからきっと炒めてるはず。同じの二回やってもしかたありませんし、それならネタを変えましょう。うどと言ったら定番の、酢味噌和えにしてやり――たいけれど、


 酢味噌和えの他に二品も三品も作るのがダルすぎますわー!!


 しつこく繰り返しますけれど、わたくしの料理嫌いは面倒臭さに由来していましてよ! 初回にも申しましたとおり、どうせ腹にへぇっちまえばおんなじなのに、なにゆえアスパラに肉を巻かんとあかんのや、とか、そういうのですの! つまり!


 酢味噌和えの一品でお料理をすませてやりますわ!


 ええ。そうですの。酢味噌で和えれば酢味噌和えになりますし、どうせボウルも和え作業で汚れるのですから、ボウルに何でもぶちこんで酢味噌で和えてやればメインの一品になるはずですわ!

 

 こういう思考に至ったときに大事なのは、ベースとなる料理を基準にぶっ込んでも平気そうな物を選別することですの。北野”ビート”武さまの仰る因数分解ですわ。基準とする栄養素を括弧の外に出し、共通する食材を括弧の内側に置きますのね。たとえば今回は山うどの酢味噌和えが基準ですから、お山うどは確定。うどに含まれる栄養素――特に旨味成分はなにか。アスパラギン酸ですの。そう。


 =酢味噌アスパラギン酸(山うど+アスパラガス+豚肉+もやし)ですわ!


 アスパラギン酸はその名の通りおアスパラガスに含まれているアミノ酸ですわ。逆説的にお山うどはおアスパラガスでもあらせられますのね。それからもちろんお豚さまの肉にも含まれていましてよ。家計の味方のもやしさまにも。つまりこれらは実質おアスパラガスでありお山うどですわ。というわけで酢味噌に……和える前に大事ポインツでしてよ!


 豚肉は火を通さないと危険ですわ!


 ……ツッコミ待ちではございませんことよ。わりと真面目にお腹を壊したり最悪死にます。そして酢味噌に和えるのですから炒めて油っぽくなっては本末さまがお転び倒れられてしまいますから、ここは茹で。お冷しゃぶですわ。


 それからアスパラガスさまも生でいくと繊維が固っちーございますから茹でましょう。特に根本の軸は肝っ玉ががお座りになられているので根本から五センチくらいをピーラーでしゃしゃしゃですの。このとき根本一センチほどを残しておいて皮むきが終わったら指先に込めた崇高なるピンチ力でぶち折ると楽ちんでしてよ。


 では、茹で。塩をたっぷり入れると豚を茹でるときしょっぺーので少なめで構いません。およそ一分でちょちょっと取り上げお酒を追加。豚肉を広げながら茹で。どのみち最後に混ぜちゃいますし、アスパラを取ったザルにあげればおっけーですわ。終わったらもやし。水には晒さず氷を仕込んだボウルに乗せるのがコツかしら。


 さて、うど。包丁の背で産毛をこそいだら斜めにスライス、生でまったく問題ありませんわ。山で取ってきたのならアク抜きに茹でてもいいかもしれませんわね。さてさて、あとは酢味噌! これ味噌はいつもの山吹さまお白山吹、酢はミツカンさま。でもって砂糖。これ地味に大事ですわ。


 ボウルから氷をポイッチョしたら食材を全部イン! 手で撹拌していきますわ! このさいアスパラなげーってなったら手でぶち折りますの! えい! ちね! コキャれ! 気分が向いたら胡麻を入れてもいいですし、砂糖の代わりにはちみつにしたり辛味に練からしや粒マスタードを投入すると口当たりもさっぱりちゃんでしてよ!


 できましたわー! アスパラギン酸の酢味噌和えでしてよー!


 ふふ。気まぐれに入れた胡麻が利いて、この豚肉みたいなアスパラガスさまも美味しく仕上がっていますわ。こちらのマメつきアスパラガスさまや、なんかエグいアスパラガスさま、それからなんか緑のアスパラガスさま。アスパラギン酸の旨味は酢味噌と絡むとヘルシーなもの食ってる感でますわー!



※ワンポイントアスパラギン酸

 アスパラギン酸はアスパラガスから発見された、わりと何にでも含まれているアミノ酸ですわ! 肉や豆類、サトウキビなどなど、疲労回復に効果があるのでアスリートの肉体にも多量に含まれていますの! ということは? そう! アスリートも酢味噌和えにできますのね! 

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