裏切りの豚すき煮

 なんか白菜がっかいですね。一方でお大根の方はそこまででもなく。そして私の料理に対するモチベは限りなくゼロ。すべてはこの急激な寒気によるものですよ。寒いんだよコンチクショー。ということで、


 白菜と大根のポン酢炒めで済ませちゃいましょう!


 ポン酢って便利ですよね。若干カロリーが高めですけどサラダにかけてみたり、水煮系をいただくときにかけてみたり、この間は食用菊を大量に湯がいて冷凍保存したりしたのでついでにポン酢で頂いたりしてました。ただ、このポン酢……。


 ポン酢とポン酢醤油とかけポン酢と味ポンとあとなんかいっぱいございましてよ!


 わたくし西の食文化は不案内ですけれど、なんとなく西のポン酢はゆず成分強めで味もちょい強めのかけポン酢が多いように感じますわ。一方で関東のは……少なくともわたくしはミツカンさまのお味ぽん一択で特にこだわりもございませんの。まぁ今回はもらいもののかけポン酢があるのでそちらを使いますけれど。


 あ、ちなみに。ポン酢とだけ言った場合だと醤油の入っていない柑橘果汁とお酢の混合液になりますの。でもゆず醤油もポン酢と言うのでややこしさ爆発ですわね。なんか以前、買い物を頼まれてポン酢を買って帰ったら欲しかったのは味ぽんで……みたいな話がありましたわ。


 ……いや醤油たせばええやろがい! とはならないのかもしれませんわね。


 さて無駄話をしていないでちゃっちゃと仕度ですわ。まずは白菜を……は? なにこの白菜、っさ! 小っさいし葉の枚数も少なくありませんこと!? はあもうまったくお排泄物ですわ! なんですの!? わたくし完全に油断して大根の方はデカすぎませんこと!? なんかまた食材管理がややこしそうな……。


 ま、まあ文句を言っても買ってきてしまった以上は仕方ありませんものね。まずは白菜を内側からべりべりと引き剥がしますわ。白菜は内側から使うと日持ちしますのね。嘘だとお思いなら四分の一とかの白菜を買ってきて冷蔵庫で放置すると分かりますの。内側がなんかこう、もっさーってなりますわ。お試しあれ。


 んでは白菜の軸と葉を切り分けまして、軸はそぎ切り葉っぱはざく切りですわ。お魚のお刺身づくりの練習にもなってよきですの。まぁ、わたくし自分で刺し身にすることございませんけれど。それから大根の方は茎が長く残ってるからカットしてお味噌汁の具にしちゃいましょう。青首部分をテケトーカットでイチョウ切り。そして、


 おニンニク! おニンニクですわ!


 ニンニクはやっぱりなんぼ入れてもええですわ。愛用のステンレスパンに油をしいて、おニンニクさまからのお豚こまイン! 焼き色がついたらまずお大根! つづいて白菜の軸! ここで油を回しておくのがポインツですの。ようはちょっぴりテカった状態ですのね。んでは残りの白菜の葉っぱを投入! お味噌汁の準備ですわ!


 入れるのは大根の葉っぱに人参、緑が足らへんのでほうれん草も追加投入しまして、おしめじ、だしの素を入れまして……あ! フライパンがブスブス言ってる気がしましてよ! ざっくりひっくり返してかけポン酢さまを大さじで三! ……あら? お酢の香りがしませんわ? もう一匙くらい足したほうがよろし――はっ!


 おどりゃ麺つゆやないけぇ!!(BGM:仁義なき戦いのテーマ)


 おうコルァ! どういうことじゃき! なんで冷蔵庫に同じ型のっさい瓶で麺つゆが入っとるんけ! 誰やこいつ入れたんわオラァですわぁ! あわ、あわわわわ、どないしたらええんです!? 麺つゆて! 白菜に大根にニンニクに豚コマで麺つゆて……こんなん、こんなんもう……!


 ふおぉぉぉぉ! お砂糖を大さじで投入! 加水加水加水ですわ! それからお味見をしてなんやこの麺つゆぅ! 塩っけがほとんどあらへんやないかい! ほいだら醤油いれるしかなかんべやですの! 出汁はオーケーですから、追加で長ネギをちょちょっと刻んでぶっ込み、


 できましたわー! 豚こまのすき煮風でしてよー!!


 はぁー……わたくし、びっくらこきましたわ。一時はどうなることかと……なんか予定はがっつりばっくりおぶっ壊れあそばさせられましたけれど、いけない、まだ動揺していますわ。ここは卵を割ってかき混ぜながら落ち着きましょう。えっと、素数を数えるんでしたかしら。一夜一夜にひとみごろってこれルート二ですわ。卵をかけてパクリンチョ。


 ……わたくしったら天才じゃありませんこと!?


 めっちゃ完璧にお味が決まってますわー! ていうか普段のすき煮では絶対にしないお味付けだから逆に新鮮に感じるのがムカつきますわー!



※ワンポイント仁義なき戦い

 最近ではご存知ない方も増えておいででしょうけれど、これ実録ヤクザものといってジャンルはノンフィクションでしてよ! なかでも第三作となる広島代理戦争では当時の中国新聞から『勇気の記録』として……とりあえず映画は最初の五本なかでも四本目まででだいたいオッケーでしてよ!

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