うどは春のエグさを教えてくれる

 なんか人類とりわけ日本人って、山菜ウィーク的な期間がありますよね。スイッチがどこで入るのかよくわからないんですけど、一度でも入ってしまうと一週間くらい手に入る山菜を貪り尽くす期間です。


 うど、食おうや……。


 なんか、ねっとり言ってしまった感がありますけれど、実は私うどが好きなんですよね。なんで好きかって山菜の中でもトップクラスに下処理が楽で雑に使ってもたまにはいいよね感で許されてしまう気配を醸し出してるからです。


 うどと豚コマ、炒めます……!


 なんて、マンガだったら大ゴマ使って言ってそうですけど、わたくしにとってうどは一般食材でしてよ。とくに、これは前回いいそびれましたけれど、スーパーで購入できるものに限れば! ここ重要ですわ! スーパーで購入できる山菜は、すっかり垢抜けて地方者をわらうようになった似非えせ東京モンでしてよ!!


 コレわたくし声を大にしてでも叫んでおきたいのですけれど、世の中に存在します山菜は、たとえ自宅の庭に自生しているものであっても、スーパーの既製品とは別物だと思いますの。農家さまの名誉のために付け加えておきますと、袋につめられて市場に出回る商品は食べやすくなっていますわ。一方で、野生の山菜は……。


 なに、これ。


 この一語に尽きましてよ。たとえば都会に暮らす皆々様がかりん酒を漬けようと思ったとき、スーパーで買えば拳大のが十個くらいでアホ高いお値段になりますの。けれど、わたくしがひとたび田舎に赴けば、わたくしが三才の頃に植えた木から成人の頭サイズがタダで拾えますわ! ええ。もちろん香りは暴力的な強さで、お隣さんから「いい匂いがしますね」と苦情を食らうレベルでしてよ。


 野生ヤバイですわ。


 当然ですけれど、前回の灰汁あく抜きは市場のもので清楚な舌をお持ちの御方に向けたレシピですの。現実の野生山菜調理ワイルドライフはガチめにやらないと慣れない方は初代ライダーのショッカー戦闘員じみた叫びをあげますわ。ご注意あそばせ。


 では、うどの下処理をば。


 今回のうどは市場で購入したものですので、しょうじき、産毛をゴシったらもういけましてよ。というか、やりすぎると独特のえぐ味と匂いが消えてしまいますの。ええ。うどは他の山菜と同様、えぐ味を味わうものですわ。あのイぃぃぃぃぃって感覚を春の匂いっつって耐えるのが一般的でしてよ。


 うどはまず、貧弱な穂先とぶっとい幹に分けますわ。


 あとは……あとは何かいりまして? 歯ごたえ重視なら縦の薄切りにしてから線切りでしょうか。他のきんぴら勢と同じですわね。繊維の走る方向に沿って切れば繊維が無事ゆえに顎と食材のデスマッチになりますし、繊維を断つ方向なら武道館を目前に控えた遺恨回みたいな食感になりますの。あれはあれでいいものですわ。


 では、豚コマと炒めましょう。


 ここでいつもの鉄板調味料群にくわえて「お料理がお好きなんでしょう?」などとのたまう、わたくしを何ひとつ理解してくれていない親戚から託されたリッター級の白だしをちょびっと準備ですわ! おどれマジ使いにくすぎんねんホンマにぃ!! なんに混ぜても自己主張ばっかしよってからにぃ! 


 出汁が前でてええのは西のうどんだけやろがい!

 

 ……諸説ありますわ。わたくし、うどんは年に二回くらいしか食いませんし白だしマジ使われへんねんですの。用法はともかく関西弁って受動態まわりのあつかいが特殊ですわよね。もちろん、大阪弁とひとくちに言っても河内やら泉州やらありますし奥深いのですけれど。


 ちなみに、わたくしにとってもっとも不思議なのは方言を真似されると怒ったりする層がいることですわ。まぁK都はガチで面倒くさすぎるから別枠として、わたくしちょっと面倒くさい御方とはいえ関西弁以外で言われたことがなく……なんなら他県では嬉しそうに反応されることも多いのに……まぁ、どうでもええですわね! 

 

 んなことくっちゃべってるあいだに、できましてよー! 豚コマうどですわ!!

 

 ……ええと……いまさらですけれど、わたくしの自炊って基本的にこんなもんでしてよ。実は書いていない日も自炊をしていることはあって、小松菜と豚コマとか春菊と豚コマとか食っていたりしますの。それ書いてどうすんねんでキャッチアンドリリースの精神でいるだけですわ。


 ……ま、まぁ! たいていのモンは豚コマと炒めればどうにかなりましてよ!



※ワンポイントうど

 実はうどの特産地として名高いようで知られていないのが東京ですの! あと見た目が特徴的だしいけるだろとナメた覚悟で山に入ると、うどに似たおししうどを掴まされますわ! ちょっと引くくらい苦いのでお試しあそばせ!

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