伽羅蕗は時間のお味
わりと本格的に料理が嫌いな私ですが、それでもやらなきゃいけない時があるんです。メシを食うには買うか作らなきゃならないのは当然として、もうひとつ。それは食べたいのに売ってないとき、あるいは売ってても口に合わないときです。
知っていますか、
くっs――お排泄物めんどっちーんですわぁぁぁぁ!
いやほんとマジでうざったいくらいめんどっちーんですわ。なにがってふきの下処理がでしてよ。まぁ買ってきちゃったからやるしかねーんですけれど、わたくし始める前から後悔していますの。ああ、未来のわたくしさま、先に立てた後悔をお許しくださいまし……。
ってことで、ふきをお
したらば、お相撲さん
つづいてお手持ちの鍋のなかで最もデカいのに限界まで水を張り、沸騰したらばふきをイン! マジで可能な限りデカい鍋で高さを生かしてでも長い状態で煮るのをオススメしておきますわ! 茹で時間はおおよそ二分から三分でしょうか。綺麗な緑色になるので一目で分かりますの。
さぁ、地獄の始まりでしてよ……!
ふきは固い皮に覆われてますので、これを剥きますのね。これマジで尋常ではない面倒くささですから、お覚悟なさいまし……! ふきを手に取りましたら切断面に爪を立てるなり刃物を当てるなりして、皮を起こしてぴーっと引っ張りますわ。指先のささくれをちぎれないよう引っ張っていくイメージでしてよ。
はぁ……だっっっっっっっるい!!
ダルイので、こないだ見たアニメに
……ああ、あああ! 時間が! 時間が溶けていきますわ!
なんですのこの作業! 本当にいりますの!? いりますのよ!! しねーと
で、できましたわー! 地獄の下準備から解放されましてよー!!
いやほんと何度やってもグーグルアプリとかで『ふきの皮むき』と題したら無駄に売れそうな気配すらある苦行でしたわ……。でも、でもあとは伽羅煮にするだけですものね!
お鍋にお出汁、お醤油、お酒、お砂糖を多めに入れまして、てけとーにカットした皮むきふきをぶっこみコトコトですの。砂糖が入っているので焦がさないように注意ですわ。
……ええ。地獄の見張り番が始まりましてよ……。
時間が……わたくしの時間が……どんどん……鍋に……溶け込んで……。
――。
――――。
――――――――。
――――――――――――できましたわー!
下準備から数えて最低でも一時間半は溶かした
ああ……! ああ……! 美味しい……! 一本一本が、一本一本が美味しくてたまりませんわ! もう美味しいという他にありませんわ! だって、だってそうでなくって!? 一時間以上を不毛な作業に費やして得られた、保存容器に楽勝で収まってしまう程度の
これが美味しくなかったら、わたくしの脳が壊れてしまいましてよ!
そうこれは、人の脳が自らを守るために作り出してしまったお味……伽羅蕗の甘さは溶け込んだ時間……塩っ辛さは人生そのものですわ……!
ご飯が……ご飯が止まりませんわ……! うぅ……っ!
※ワンポイント認知的不協和の解消
人は自らの言動に矛盾があると自覚したとき、より変えやすい方の認知を変更して自らのおこないを正当化しますの! ここのとせー、
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