前のエピソード――里芋どもをぶっ転がす

　モニタには群馬（グンマー）にあります八ツ場（やんば）ダムが映っております。でも今日は皆既月食のが気になる。私、旅行で撮った写真を見せたがる人の感覚に理解が足りません。思い出は胸にしまっておきなってなります。

　だってほら、お天気がいいからカメラが太陽に気ぃ使いつつコントラスト補正バキバキにしちゃって……そうだ京都に行こうって感じです。夏に撮って緑系を赤や黄に変換すると統一感のある綺麗な紅葉になるんですよ。

　てか、観光客がみんなマスクで凄い違和感……。

　写真はもういいです。他には何が……あ、やっぱり入ってた。大量に。とても大量に。安かったんでしょうね。上州（J）こんにゃく（K）ですよ。これはもう、あれだ。

　上州（J）こんにゃく（K）で味噌田楽しかありませんわ！

　……読者離れも辞さない下仁田（しもにた）ネギでしてよ！

　上州（J）こんにゃく（K）は群馬の特産ですわ。中山の秀さまがCMされておりますこんにゃくパークなる夢の楽園まで建立（こんりゅう）したくらいですし。はぁ。せめて白石麻衣さまや櫻井翔さまを出せば若者に……無理ですわね。ともあれですわ。

　味噌田楽で重要なのは味噌ですの！　

　実は群馬の名産には味噌もあったりしますのよ。お味噌汁に関してはわたくし信州味噌を愛好しておりますけれど、味噌田楽なら群馬の赤味噌一択ですわ。というわけで赤味噌を……、

　ごんだけのために買うわけねぇだんべぇですわ！　

　なんか魂が北上して上州お嬢様弁がでてしまいましたわね。わたくしネイティブではございませんのに。まぁそれ言い出したらキリないやんガハハですわ。ないものねだりをしてもしかたありませんし、ありもので代用しましょう。

　まずお味噌。山吹さまのお無添加白山吹ですの。しょうじき群馬の赤味噌特有の視覚から血圧をぶっ壊しにかかる甘じょっぱさは再現できませんけれど、元より田楽は甘く仕立てるものですもの。ふふ。お砂糖とお味醂、お味噌を鍋に落として、ゆっくり撹拌しましょう。

　こんにゃくは竹串を打ってから拍子木切りですわ。縦ではなく横……短い方……えぇと、先っぽまで串を打ちませんと食ってるとき味噌まみれのこんにゃくがデロブルンして悲劇（トスカ）でしてよ。お気をつけあそばせ。

　薄く切れ込みを入れて表面積を増やしたら、振り塩。下味つけつつ上州（J）こんにゃく（K）の匂いを抜くためですわ。あとは茹でるだけ――ですけれど、お大根さまもふろふいておきましょうか。こんにゃくのほうは二、三分でよくってよ。

　それから……もう作業が終わって……といきたいところですけれど！　田楽だけではお腹ぺこちゃんですから、取り出（いだ）しますのはこちら！

　焼きまんじゅう（グンマーからの物体X）ですわー！

　わたくし生まれは東京渋谷ですけれど、血統はグンマー人らしいんですの。知りたくなかった呪（のろ）い発覚ですわね。ただ幼少の砌（みぎり）より徴候はあったようで、関越自動車道界隈にてまだ物心もつかないわたくしさま焼きまんじゅうの匂いに笑いだしたそうですわ。……なんですの、その話……ローカルすぎませんこと……？　まぁ、よしとしましょう。

　群馬といえば焼きまんじゅう、焼きまんじゅうと言ったら群馬ですわ。お店によって味がまちまちなのが玉に傷ですけれど。ちなみに現地ですと一本二百円くらいでデカいまんじゅうが四つぶっ刺さってますの。一本五百キロカロリー級ですし少食の御方（おかた）だと食いきれねぇですわ。

　さて調理……わたくしジャンク焼きまんじゅうが好みなので、トースターにすまんじゅうをぶちこみ焼き色をつけ味噌ダレを塗ったのち焦がします。ええ。焦がしますの。慣れないうちは空焼きできるフライパンでやるとストレスフリーでしてよ。それから味噌ダレをもっかい塗って――この味噌が焦げる匂いがたまりませんわー！

　ってことでJK味噌田楽ならびに大根プラス焼きまんじゅうの完成でしてよ！！

　ああ、このお味……久しぶりですわ……とっても、とっても……微妙……！　すごい微妙！　たまりませんわ！　もしご家庭で再現したければ、酒まんじゅうから餡こを抜いて味噌ダレ塗って焼けば比較的ちかい味になりましてよ。

　あ、ただ、お気をつけあそばせ。北関東系・群馬会（ぐんまかい）の焼きまんじゅうや同・栃木連合（とちぎれんごう）の麦まんじゅう、茨城一家（いばらぎいっか）ゆでまんじゅう、また甲信越系・長野組（ながのぐみ）の天ぷらまんじゅうなど、隣接県では血を血で洗うまんじゅう戦争をしていますの。どの盃（まんじゅう）を選ぶかは真剣にお考えになってくださいまし。