かぼちゃの闇鍋女子会風

 女子会――それは面従腹背めんじゅうふくはいを前提としたありとあらゆる闘争が水面下で繰り広げられる闇のサバト。


 闇鍋――それは古くは闇夜に網を放ち釣果を確認なしに鍋とし、入ってたものは何でも食べるという前提で行われた闇のサバト。


 来たる十月三十一日。ハロウィーン。

 女子闇鍋会が始まろうとしていた――。


 などと仰々しく始めてみましたが、私は別に闇鍋しません。ただオシャレかつカジュアルに闇鍋してみたい方に、それっぽい料理を紹介しようと思っただけです。嘘です。冷蔵庫に用途不明の八分の一南瓜カボチャが鎮座していたからです。私この南瓜いつ買ったんだっけ……? てか何のために買ったんだっけ……? 分からん。


 でも南瓜をどぎゃんとせんといけませんわ!


 ……チェストお嬢様弁が出ましたわね。まぁ宮崎はチェストというか日向ボケのいもがらぼくとってイメージですが……日向? あ、宮崎といえば日向カボチャがありましてよ! 繋がりましたわー! なにが? とかの細かい質問はいりませんのですわ。わたくしは今日、来たるハロウィンにて女子会を計画する御方のために、


 南瓜でオシャレ闇鍋のベースを作りますわよ!


 さて、おかぼちゃ。死ぬほどっちーですわ。これ困りましてよ。わたくし、どこで買ったのか覚えていない丸型のゴムまな板を愛用していますから、わたくしの高貴なる腕力で強引に切断するとおまな板もきかねませんわ。そうですわね。ここはラップしてレンチンしてしまいましょう。切るのはそれからでも遅くありませんもの。


 さて、取りいだしますたるはこの土鍋! といっても加工済みお写真バチバチのオシャレお料理ブログでもあるめぇし見えませんわね。五百円で買ってきた土鍋でしてよ。そこに薄めに切ったバターを落として、束になっている状態でクs――お排泄物はいせつぶつやすくて案の定どちゃお排泄物まずかったセロリを刻んで入れます。だし取り用ですわ。玉ねぎなんかを入れてもいいですわね。


 さぁ南瓜のレンチンが終わりましたわ! アチアチ言いつつラップを外して簡単に潰せそうなサイズに適当カット、セロリと玉ねぎを炒めた土鍋にイン! ここで牛乳もイィィン! 沸騰させないようにお気をつけあそばせ? 


 したらば、お玉と竹べらを駆使して南瓜を潰しますわ! 色が段々パンプキン。んがいっぱい。ふふ。――あ! 日本の南瓜はスクワッシュでしたわね。まぁいいでしょう。いまは潰しやすいように南瓜の在り処が分かる程度に牛乳を注ぐのをおすすめしておきますわ。あとはコンソメやブイヨンで味をまとめて、


 闇鍋ベースができましたわー!

 

 ……ええ。闇鍋のベースですから、まだ具材がひとつも入ってませんの。このままですと南瓜のポタージュミルク仕立て土鍋ですわ。汁でも鍋でもないなにか。土鍋に入っていますのにね。ここはオシャレに緑黄色野菜を色々とぶっ込んでいきましょう。

 

 おブロッコリーでしょ? お人参でしょ? おウィンナーさまも! あ。おウィンナーさまは投入前に下茹でしないとダメでしてよ? でないとすべてをおウィンナー特有のお油味に染めてしまいますの。お強い方、おウィンナーさま。


 これは完全な余談ですけれど、かつて子どもがウィンナーしか食べないと嘆いていた御方に水炊き下茹でなし刻み入りウィンナー鍋をお勧めしたことがありますの。ウィンナー臭に満たされた鍋パゥワーでめでたく親子ともどもウィンナー嫌いに。わたくししこたま怒られましたわ。……わたくし、なんで怒られたんですの!?


 わぁわぁうてるあいだに、わたくしが食べる分はできましてよー!


 味の基本はコンソメと南瓜ですから、わりと無難なお味でしてよ。ミルク入りポトフって感じかしら。女子会でなされる闇鍋では何をぶっ込まれるか分かりませんけれど、このクリーミーな鍋に女子会の真の闇が溶け込んでいきますわ。


 ぱっと見オシャレっぽい鍋に、空気を読まずに食べにくいものをぶち込むか、可愛いものをぶち込むか。普通の鍋なら無難だったものが異端に、異端になる予定だった具材が相性バツグンに……誰しもが心の中で(闇鍋でそのパターンかー!)と叫びながら、後の展開まで考慮して選んだはずの食材で出たとこ勝負を迫られますの。楽しみですわね。


 ちなみに、わたくし調べでギリ怒られなさそうな闇鍋の具材は土鍋にミニ土鍋を沈めてチゲ鍋ですわ。マトモな具材を保険に仕込んで、お試しあそばせ。



※ワンポイント宴会

 先輩や親しくない同期との飲み会は戦争でしてよ! お皿とグラスは常に手元にキープ、席を立つときは必ずからに、帰ってきたら躊躇ちゅうちょなく新しいお皿とお飲み物を注文ですわ! 不在時に何されてるか分かったものでありませんもの!

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