葉付き大根で二品と言い張る

 今日も今日とてメシを作らねばならぬ……いやだ……ダルい……とスーパーに行ったら葉付き大根が出ていました。もうこれでいいやって感じです。エコバッグに突っ込んでモサモサした葉っぱを揺らしながら帰るのには若干の抵抗をおぼえますが、これ一本あれば三、四食分くらいレパートリーを増やせるのです。というわけで。


 葉付き大根でなんかしよう。


 モサモサ大根を買ってきましたらとりあえず葉っぱを根本あたりからぶった切ります。そのままだと冷蔵庫に入りませんし。いや、それ以前に、さっそく葉っぱを調理していかなければならないのです。なぜなら、今日の料理は温度が大事だから!


 いつだって物理や化学の知見を元に手抜きしたがる私ですが、どうにもならないことがあるのです。それが味覚と温度の関係です。塩味えんみ苦味にがみは冷たいほうが感じやすく、甘味あまみ旨味うまみは人肌、高温になればなるほど味が消えるという感じです。大根の葉っぱといえば癖になる苦味が醍醐だいご味ですから、冷やす過程が必要なんですの。あ。醍醐味といっても醍醐あじではなくってよ。醍醐は甘い乳製品ですものね。ふふ。


 さぁザクザク葉っぱを刻みましょう。幅五ミリから一センチくらいの細切りがちょうどいいですわ。お大根の葉っぱはとげとげしていて痛いときもありますけれど生きている証として享受です。あとはフライパンに胡麻油とお唐辛子を投入、トロっと赤みがかったら茎部分。バッチバチですけど全ては山盛りの茎の下。残念でしたわね、お大根さま。てきとうなとこで葉っぱも投入、醤油と味醂とお好みの添加物を投入です。胡麻やら鰹節やらお好きなものをおぶち込みあそばせ。しんなりしたら、

 

 一品できましたわ! 大根の葉っぱのお振りかけですわ!


 ここで温度の話になりますの。できたてでお味をお確かめあそばさせられても高温ですからコレで合っとるんけ? というお味でしてよ。器なりボウルなりに引き上げ粗熱とって、お冷蔵庫さまにお冷やしお願い申し上げます。柏手かしわでふたつ。美味しくなりますように。


 さぁ冷えるまでに豚大根ですわ! 今日のメインでしてよ!


 といっても煮物めいた炒めものですからやること少ねーですわ。まず大根を食べたいだけ皮残しの厚めいちょう切りにしまして、刻み生姜をフライパンへ。わたくしこの手の料理を作る時はノンスティックパンと決めていますの。いつものステンレスパンだと深さが足りねーんですわ。


 豚肉はそのまま投入、塩コショウで炒めて、お大根さま。油が回ったところでかぶるくらいの水をいれます。それから出汁。だしの素で楽ちんですわ。お砂糖を多くね? ってくらい回し入れてキッチンペーパーをかぶせます。落し蓋の代わりですわね。豚鼻に菜箸を突っ込んで操作するマーナさまの落しブタちょっと欲しいですわ。


 あとはコトコト煮詰めつつ、あいだにお醤油とお酒、照りだし用に味醂を少々。このへん完全に好みですわ。キッチンペーパーを捨てて水分がほぼ飛びきるまで煮詰めて、仕上げに入りましょう。黒胡椒かけて、小口ネギか刻み長ネギのせて――、


 完成ですわー! 豚大根ですの!!


 ……まぁ、お味の方はホーに三枚流れの字牌じはいくらいド安牌あんぱいですわ。違うか、違うか、ですわ。ようはいつものお味でしてよ。甘いのでお口直しに食べ頃に冷えた葉っぱのふりかけ、汁物は薄味のお味噌汁とかでよろしいのではなくって。


 ちなみに今日のお料理、豚部分を適当に変えるだけで(食材名)大根になりましてよ。レパートリー増えまくりですわね。魚の場合は水煮の缶詰とかつかうと楽ちんポンの失敗いらずでお値段もおやすぅございますわ。



※ワンポイント大根

 青首大根と白首大根で甘い部分が違うと言われていますわ! 真に受けて二つ買ってきて試したら、どちらのどこを食ってもかれぇくて涙で枕を濡らしたこともありますの! お大根さまはどうあがいても無駄なトキありますから注意が必要ですわね!

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