豚キムチのようなもの
主婦にしろ主夫にしろ一人暮らしや同棲同居中の自炊作業にしろ、日々なにか作っていると年に百五十日くらい「あーもーやだーつくるのだるいーれしぴかんがえるだけでしぬー」みたいになるじゃないですか。
今日の私はそうだったんですよ。
そんなときの超強力な味方といえば、そう、キムチです。豚こまキムチにしてよし、白身魚のムニエルキムチにしてよし、直食いしてよし、ご家庭所属の無認可シェフ最終思考停止食材です。
私は、豚キムチにすると決めた。
決めたんですが、困ったことに今回「もーやだー」ってなったのメシつくる直前だったんですね。私は韓国出身でもなければ韓流にハマってもおらず自宅で焼肉店を経営しているのでもありません。キムチなんて常備してないですよ。ないんです。買ってこないと手抜きできない。
でも、外ちょー寒いじゃんね。
私はキムチの具材を思い返しました。白菜。細切り人参。細切り大根も入ってたかも。冷蔵庫を見たらあるじゃないですか。あとは漬けるだけです。キムチは辛いんだから豆板醤。漬物だから塩でしょ? ねっとり感を出すのにお砂糖あるいは
……漬けるの? 今から? もうご飯たべたいのに?
私は思いました。漬けるってことはグルタミン酸が増えりゃいいんでしょ? あと食材がクタクタになってればそれっぽいと。グルタミン酸といえば味の素、味の素はサトウキビを発酵させてつくっておりますので実質お漬物ですわ。つまり味の素を引くほど振りかけながらクタるまで炒めればよろしいのではなくて?
やりましたわ。
正解でしたわ! 確実に豚キムチではないけれど豚キムチだって言って出されたら「そういえばこういう味だったような……?」ってなる豚と白菜と人参と大根のニンニク(中略)炒めです! どうしても乳酸菌が含まれていないのが気になるようでしたらお食事中にヤクルトなどをお飲みになられるか、お食事後に大正製薬さまのビオフェルミンを嗜まれれば完璧ですわー!
いま、食べ終わったところです。
わたくし、気づいてしまいましたの。
わたくし料理したくねーから豚キムチを作ろうとしていたのでは――!?
味の素の赤パンダよりホラーですわ。
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