提案
提案
別荘は、王宮や城下町からはなれ、小さな村の中にある。
とても静かで、喧騒から抜け出すには格好の場所だった。
ソアラが過ごすために案内された部屋。
王宮と同じように上質な客室で、申し分はない。
ただ王宮の居室とは違うのは、ローゼルの部屋と繋がっていなかった。
マギーの話では、王が使用する部屋はソアラの部屋より、少し離れた場所にあるという。
侍女や王妃としての教育を受けているソアラの心身を出来る限り休ませたいという、ローゼルの意向らしい。
彼女自身としては、ローゼルと離れることに、寂寥感を覚えていた。
王であるローゼルは、ヴァカンスであっても、やるべきことは多々あって、忙しいことには変わりない。
到着した翌日は、三食ともに出来た。
次の日、ローゼルは、昼過ぎから近辺の地主と面会があった。
そのために、朝から目を通さなければいけない書類があり、ソアラの前に彼は現れることはなかった。
今日一日、忙しないと、マギーは言っていた。
ソアラは、顔が見れず寂しかったけど、余暇を読書に励むことにした。
昼食後、ローゼルつきの従者が現れた。
ホスという名の青年。
ローゼルよりも少し年上に見え、端正な顔立ちをしている。
ホスは、騎士のように大柄で逞しい体格だが、足が悪い。
重いの銀の杖を使用していた。
ソアラがきいたマギーの話では、数年前に城下町で喧嘩したさいに、悪くしたらしい。
通例では、王の騎士として不十分なホスは解雇される。
ローゼルは、幼い頃から伝えてくれたホスを解雇することはなかった。
ホスの目は、とても冷ややかだった。
ソアラに対して、最初から何か韻を含んでいる。
それは、ソアラにとって嫌悪するものだった。
肌身離さず持っているガラスの薔薇がなんだか疼くのも感じている。
あまり人を寄せ付けないローゼル。
彼の大切な従僕であるのは確かで、ソアラは信用する以外はない。
ホスが言うには、ローゼルの指示により、ソアラに庭園へ散歩するようにとのこと。
オススメの場所として、裏庭にある野菜畑の奥にある森だった。
ソアラは、王宮と同じ格好で、侍女としては可愛らしい上質なワンピースを纏っている。
多少目立つが、通り道であるキッチンは、王の来訪で忙しいこともあり、誰もソアラに声をかけることなかった。
突き当たりの裏口から、野菜畑に出ることが出来た。
扉の後ろには、古いコートや帽子、ゴムの長靴がある。
ソアラは、フード付きのジャケットとの長靴を借りて、外へ出る。
雲が不安げに、もくもくとたまっている。
ソアラは、、少し不安になったが、気晴らしに少し遠くまで行ってみることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます