非情な命令

非情な命令




ソアラは、伯爵の娘とはいえ、愛人の子。


他の二人の娘とは違う。


召使と同じ、屋根裏近くの質素な部屋で暮らしている。


ドレスも必要なぶんだけ。


今彼女が纏っている、薄紅色の一着だけ。


ソアラは、伯爵の娘として今まで公の場に出る機会はなかった。


病弱な身だとして言われてきた。


実際は、ソアラはメイドの一人として扱われている。


それがいきなり、父親に呼び出された。


ソアラは、メイド生活ながら正式に籍が入っている。


念のためなのか、それなりの教育は、時間を作らされて一通り受けていた。


それで問題ないと踏んだのか。


手元に引き取りたいという、大貴族に会いに王宮へ、ソアラは父親に指示された。


ソアラは、慌ただしく身支度を済ませ、ようやく王宮へたどり着いた。



通された部屋には、ソアラを侮辱する手荒い言動が待っていた。


彼は、ソアラが一目会った日から、何よりも誰よりも恋い焦がれる相手の傲慢そうな鼻筋とか、色彩は似ている。


その瞳は、まったくもって違い、真摯さが一欠片もなかった。

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