第4話 秋の高速道路に落とし穴

涼子さん講座も一通り終わると ビールを呑んでいたおっさん専務が

ひろ子さんの持ってるA4を見て 


「まぁ ロードスターなら コレでいいか 屋根を〆ればいいし」とボソッという


「あら なにか忘れてますか」と涼子さん


「涼子さんが今年の正月の社内報の写真に写ってた

 皮のウルトラハイネックのジップジャケット あれバーキン7用でしょ」


「よく見てますね そうです 風を通さない が必要条件なので」


「今暇だしね見てた 後はひざ掛け 位かな カッパは流石に要らないでしょ」


「うふふ 流石にカッパまでは ロードスターですし 私は持ってますけどね」


「あれって やっぱり雨漏り というか 吹き込んでくるの」


「今 レーシングシールドなので 幌が付かないんです

 なので二人で気象通報聞いて天気図書いてテルテル坊主」と爆笑する涼子さん


「ひっでえぇなぁ バイク並」とこちらも爆笑するおっさん専務


笑ってるが、どう考えても 世間の乗用車の常識から転落している

別の常識のテーブルで話す二人だな


先日のTS熊山でのバーキン7とロードスターの違いそのものだ


「良平さん ロードスターは 涼子さんのバーキン7に比べればかなりの好条件

 頑張って 下呂に行ったり平湯に行ったりしましょう」とたか子さん


「はい 行きましょう」と答えてると


「行く訳ね ひろ子さん 遠藤さんの奥様のトコの電話番号理解る」と訊いて


「繋げますね」と電話をして 受話器を渡す


「あ、こんばんは 遠藤さんの奥様に頼ろうと はい そっちです

 今がオーラス海底間近 それでオープンカーでドライブデート

 でしょ 爆笑なんですが 式が来年の2月

 今が逆バンクの手前 なんとか


 ええ、ご主人予定がどうしてもオープンドライブデートと

 奥様も憧れと なっちゃいまして 2名お願いしたくて

 来週の水曜の午後三時から隔週ですね ハイお願いします」


ひろ子さん 電話番号帳を出してメモに電話と住所とかを書いて


「涼子さんもですよね」と確認して たか子さんと涼子さんの二人に渡して


「来週水曜日の 午後三時にここへ 費用はこちらで持ちます」


「ひろ子さんは披露宴の前日に慌てふためいて行ったけど

 二人はキチンとスケジュール組んで式に対応した準備をしてね」


「なにですか?」と二人


「そんなの どんなけやっても焼ける 今S字を抜けてる 押し戻さないと

 我社の優秀なお局様 と 専務の奥様 だ

 この地区のトップエンドのプロのエステで首上のメンテをお願いした 通ってな」


おっさん専務・・・・ その面と向かってのお局様発言は危険 と凍る


「ありがとうございます お局は このメナードのエステに通います」


こう言われたら続くしか無い たか子さんも「有り難く通います」となる


「ひろ子さん こないだ届いた エディバウアーの赤のジップジャケット

 エントラントのはずだから一応防風 


 良平さんとたか子さんに譲って 再発注しよう

 ひろ子さんのと俺のでサイズは合いそうだし 

 プレゼントで明日には良平専務室に届けてね」


「解りました まだ季節に余裕もありますしね」


「よし、今日は良平さんにご馳走様して 解散しよう」とひろ子さんと帰っていく


「おっさん専務 流石ですね 面と向かっての お局様は初めてです」と涼子さん


「私は 聞いただけで 心臓が止まりました」と答える


「それでも エステに行け と予約まで押えてですので ハイとしか言えない」


「このメナード うちの祖父が先週 ゴリ推して12月からの予約を取ろうとして

 一昨日来やがれ と 一蹴された トッププロ中のトッププロ

 それをいとも簡単に 笑い話をしながら どこまで人脈を持っているのか」


「ジップジャケットはおっさん専務から届くとの事なので 

 私は皮のひざ掛け お古ですが 明日にでも良平専務室に届けますね」


そして ごちそうさまと 言って帰っていく涼子さん


「ふう、デカイ壁です がんばります」


「無理なときはあきらめましょう 相手は化け物 こちらは人です」とたか子さん


金曜日の夜までに、用意するものを揃えて

A4三枚で復習して バッグに入れて就寝


11月の始めの土曜日の朝 9時 

フルオープンのロードスターに乗り込む二人


天気予報も晴天 気温20℃ の二日間と味方してくれる

二人して、アネッサを顔から首からしっかり塗って

チノパンにトレーナー 帽子もサングラスも装備して 

たか子さんはスポーツタオルを首に巻、バンダナで顔を半分隠してる


東名−中央道で中津川まで行き 256で41に抜けて下呂へとの余裕の昼前着ルート


高速に乗って30分 寒い ヒーターを入れても効かない PAに入り休憩する


そりゃそうだろう90km/hでも25m/s 25mの風が吹いているのと同じ状態

体感温度は、単純に言うと風速1メートルにつき気温が1度下がる感覚になる


ロードスターの防風性能があるので25度は下がらないが、首筋とかは巻き込む風で

どうしても冷える そこが冷えると人間 寒く感じる


ヒーターだって普通に体に向けると、拡散されて暖かい空気は何処かに行ってしまう

足元に集中させて、足を温める これで体感温度はかなり上がるが


良平さんは知らない からどうしようもない


トランクにある プレゼントされた 赤いジップジャケットを出して二人で着る

かなりのハイネックで耳の下までの襟になっている

かなり使い込まれた 皮のひざ掛けもたか子さんの膝に送り込まれる


再スタートして、かなり温かい 難点は 二人で会話が出来ないことだ

60km/hなら会話が出来たが 80km/hだと風切り音で無理


そしてヒーターが効かない 中央道のPAに入り 温かい缶コーヒーを二人で飲む

休憩の合計時間がこの時点で2時間を越している 予定では下呂散策の時間だ


「もう恥も外聞もありません おっさん専務か涼子さんに助けを求めましょう」

 たか子さんは決断する


「トランクにどうしても困ったら との箱があります まずそれを」

出して空けてみる


涼子さんの綺麗な字で

「寒い 暑い でのヒーターやクーラーは足元へ集中する事」とのメモ


おっさん専務の汚い字で「二人で話が出来ないだろ コレを使え」とインカム


インカムをセットしてスイッチを入れると会話が余裕

再スタートで中津川に向かう ヒータを足元にすると足が温かい 快適になってきた


「もう、あのお二人に全て見透かされていますね

 ひざ掛け ホントに有り難いし ヒーターも足を温めてくれる 

 ジップジャケット 暖かさが桁違い ハイネックなのが温かい理由ですね」


インカムからたか子さん


「暑いと思えは 少しジップを下げると 即涼しくなるし 

 寒ければ上まで上げれば暖かく よくもまぁ翌日にコレほどの物を」



今宵も深けたようで


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オープンカーの寒さ対策は延髄の防寒につきます


ラッコの延髄や耳までカバーする帽子も持ってますし

LLbeenのウッズマンジャケット目元までのハイネックで温かい

2月の東名でフルオープン ウッズマンジャケットにラッコの帽子


渋滞しててSAからの合流で、ソフトクリーム持った右手で「入れて」

としたら、即 止まって入れてくれましたw

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