第2話 良平さんとたか子さんのドライブデートの後

たか子さんとのドライブデートの翌日 涼子さんにお礼を言いに行く

常務と事務員だが、力関係は圧倒的に 涼子さん>良平常務 お局様は強い

給湯室へ伺い、涼子さんと話をしてて 「怒られませんでした」と訊かれる


「ちゃんと15分を守りましたから」と答えるが不安の残る質問


「今日の帰り 良平さんのロードスターで送って下さい」と涼子さん


涼子さんなら、たか子さんも怒らないだろうし、戦える戦力を保持してる

きっと意味が有るのだろうと「定時にここに来ます」と答えて仕事に戻る


定時に給湯室に行くと、事務の制服のベスト+スカートではなく

ジーンズにトレーナーの長袖長ズボンで涼子さんは待っていた


ロードスターの駐車場で、ドアを開けて「やっぱり 屋根を開けて下さい」


黙って言うことを聞く

乗り込み、サクッとサベルトを〆て調節をする涼子さん


膝のバッグから帽子をだして髪の毛を纏めて帽子にしまう

帽子はキャップであご紐付き サングラスを掛けて


「さぁ、少し遠回りして 〇〇号を北上してから送って下さい」との下知


「はい」しかない 


サベルトの調節って自分もおっさん達に習うまでいい加減だった

それをさらっと、適正にやってのけられた


言われた通りの道 それも車線まで指定 ダンプと並べとか指示が細かい

途中で窓を開けろ 閉めろ とまで指示された


家の近所まで来て「そこの喫茶店で少しお話を」と言われて「はい」しかない


コーヒーが配膳されると「少し お説教をしますね」と涼子さん


お局様のお説教 「トイレに」と一時離脱して出すもの出す


「3つあります

 1つ目 

 まずは婚約者さんの心の広さに感謝すること

 あの狭い車内で我慢してくれた」


「はい」しか無い


「2つ目 

 15分の約束を守って頂き それは忠告をした甲斐があります」


「それは涼子さんの言われること 守らないと」


「屋根を開けている時には窓は全開でしたよね」と訊かれ 


閉めたほうが風も入らなくて良いと想っていたので「閉めてました」答えると


思いっきり「はぁ〜」と溜息をつかれる


もう五師範に茶の指導を受けてるレベルで緊張してきた


「あのね ロードスター 最新の計算で作られてるの 

 でも物理法則からは逃れられないの


 窓は真っ直ぐな一枚のガラス板

 締めると耳の後に窓の端が来るの そこで翼端渦が発生して五月蝿いの


 その渦からの乱流が足元の空気も乱すから、足元まで埃が入ってくるの

 オープンのときは窓も全開にして風を抜かす が正解なの」


え、理解できな言葉が飛んでくる

ここで何か言うと、更なる何かが来るのは経験上理解しているので


「はい 次回からは 窓も全開にします」と答える


「それでいいわよ」と涼子さん


「3つ目 

 あのロードスター 車高下げてフルバケ ノーマルより大分下がってますよね」


ショップの言う通りにしたので、思い当たることだらけで「はい」と返事をする


「私のカレのバーキン7よりは高いのですが、やっぱり目線はガードレール

 ダンプの排ガスは顔直撃コース 理解っていますか」


「え??」


「ナビから見えるのはガードレール 海岸道路だと防波堤のコンクリートだけ

 婚約者さんはずっと、この向こうに日本海と想いながらドライブだった筈」


ど迫力の涼子さん チビリそうになって再度トイレへ離脱する


トイレから戻ると


「諦めてもらえるほど惚れさせる 甲斐性を見せる 無ければ降りなさい

 ちなみに私は惚れ抜いてコレのナビに乗ります さて後少し 送って下さいね」


一枚の写真を渡される

写真を頂き、涼子さんの家まで送る ガレージ建設中


「明日の朝は これで」とハイヤーチケットを渡し 速攻で公衆電話を探す


ひろ子さんのショルダーフォンに電話しておっさん常務のアポを取り

TS熊山に居るとのことなので、そちらへ向かうので居てくれとお願いして向かう


19時になったが、TS熊山に到着 おっさん常務だけじゃなく加藤さん達も居る


ラッキーだ 助言が貰える と 千歌ちゃんのご機嫌ななめから涼子さんの助言

デートの顛末から 今日の涼子さんのお話まで一気に話し 

バーキン7のナビにサベルトを〆て座る涼子さんの写真を渡す


加藤さんたちの三人が「山崎土木 人材が凄えな バーキン7のナビの女とか」と

物凄く感心してる


「凄いんですか」と訊いてみると


「この車のナビで女性は見たことがない ねぇ熊山さん」と話を振る


「ああ 結婚当初で3回限定とかは知っているが、惚れ抜いてコレに乗るとか」


藤原さん達も加わって写真を見て「ないよなぁ 余程の男 と言うより女が凄い」


「良平さん 涼子さんの言うことには 「はい」って返事がいいな

 最強のオープン乗りだ 俺の鈴鹿フルの33秒4より凄いわ」とおっさん常務


「それは言えるかも」とTS熊山に居る男全員


「そんなに」と陽子さん


「あのなロードスターは現代の最新のオープン 色々考えてある 

 それでもオープンの地獄はまっている 

 挫けたら屋根を閉めれば狭いが乗用車になってエアコンも効く


 バーキン7 居住性など、なにも考えていない古いオープン 

 乗った瞬間から春夏秋冬でオープンの地獄が始まる

 碌な屋根もなく、エアコンもなく逃げ道は無い、そう言う車だ」と熊山さん


「そんなん ロードスターでオープン乗りです とか恥ずかしくなるレベルだよ」

と加藤さん


7の生まれ故郷のエゲレス 北海道より緯度が高い 樺太並で涼しい

海流の関係で極寒にならないだけで、夏の日差しもそれほどではない

それを日本の酷暑となる濃尾平野でとか、無理案件


「それは置いておいてさ、たか子さんが怒らなかった この事実は大きい

 ずっとガードレールと言うか堤防しか見えてない訳じゃん 

 屋根を開けたのが15分限定っていうのが、良平さんの良心と見て貰えたんだ」


と栗原さん 「うんうんそうだろうな」 と一条の二人とTS熊山組


「良平さん 俺のトコに結婚します報告で 美濃で飲み放題の要望が着てる

 良平さんは 飛騨で飲み放題 とハイヤーのチケット 最低これ位は出さないと」


「手配は私がやっておきますので、決済をお願いします」とひろ子さん


「出します 喜楽の離れでもなんでも 明日訊いて 対応します」


「これで良平さんもオープンカー乗りに半歩近づいたか」とおっさん常務が言うと


「半歩な」と残り全員の男たち 「頑張ってね」と女性陣


目眩しかしない 

そんな地獄は知らない 気候の良い春秋の朝夕しか開けてなかった


「良平さん ここでオープンから降りたらヘタレだから頑張りなよ」と佐々木さん


逃げ道を塞いでくる


「そうですよ 頑張りなさい ガードレールしか見えないのは我慢しますから」


と後からたか子さんの声


「私も その涼子さんとカレと イッパイ行きたいのでその手配でお願いします」


「よかったじゃん良平さん たか子さんもRSにOKだし」と他人事な皆


この先オープンにどんな地雷があるか、皆は知っていての発言だろうし


「良平さん 地雷は踏みぬいてなんぼ」とおっさん常務は軽く言っているし


頑張るしか無い 頼るのは涼子さんと決めた



今宵も深けたようで


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7の生まれ故郷は エゲレス と書いています

バーキン7は、南ア生産じゃ ご指摘どおりですが、あくまで生産工場が南アなだけ

基本設計はエゲレスのスーパー7 

なので 7の生まれ故郷はエゲレスと思っております

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