将来の約束〜永遠の恋人〜

第8話 心の奥の思い出

「ねえ、愛華。どう？」

「えっ？何が？」

「愛しの朋也君とラブメール」

ドキッ

「えっ！？いや…ラ、ラ、ラブメールって…」

「この際、彼をゲットしたら？」

「な、何言って……」

「いいんじゃない？彼氏は芸能人の朋也って自慢じゃない？あんな事やこんな事が出来るんだよ～。絶対、ＨＡＰＰＹでしょう？」

「あんな事やこんな事って…日菜〜…ていうか、芸能人だからって利用するみたいな事は嫌だよ！私は純粋に…一人の男と女として…」

そして、そんな私達４人は出かける事が増え――――

「えっ！？付き合い始めた？」

日菜から天磨君と付き合い始めたと言うのを聞かされた。

「男友達として、仲良くしていたけど、あれだけ出かける機会が増えればね。時々、私達２人で出掛けた時もあったんだ。近所だし」

「そうか…」

「だから愛華も、そろそろ朋也君とカップルになったら？」

「…無理だよ…」

「えっ？」

「確かに仲良くしているけど、どれだけのファンが彼と付き合いたいと思う？星の数の中で、ほんのひと握りなんだよ。ファンはファンでしかなくて恋人とか友達とか…そんなの…今…友達として仲良くしているのが奇跡だよ……」

「…愛華…」

「ゴメン…でも、日菜のお陰だよ。彼と仲良く出来てる事。本当ならアドレスとか、そんなの手に入らないよ」

「それは…そうだよね」

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「なあ、朋也も愛華ちゃんと付き合ってみたら？」

「簡単に言うなっつーの」

「なあ、ダブルデートしようぜ」

「今でも充分良いし」

「いやいや、恋人同士が良いだろ？あんな事やこんな事が出来るし」

「天磨の頭の中、そんな事ばっか？」

「いやいや、別に、そういうわけじゃ」

「言っておくけど彼女、愛華とは深い絆で結ばれた仲なんだよ。二人がラブラブになる前に…俺達はキスした仲」

「えっ！？ええーーっ！！いつ！？何処で！？」

「それは…内緒♪」

俺は、片方の人差し指で、自分の口を押さえ、ウィンクした。

「朋也くーーん、教えてくれーー」

「嫌だ！」

俺達は騒ぐ。

✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

「ねえ、愛華。愛華の中で、朋也君はどんだけ大きいの？」

「えっ？」

「ファン以上の気持ちなんじゃないの？」

「…それは…」

「元々、ファンだったんだし、もうファン以上の気持ち…」

「…違うって…言い切れないかな…？」

「だったら付き合えば？」

「…いいの…このままで…」

「えっ？」

「朋也にとって…私は…ただのファンの一人に過ぎないから」

「そんなわけ…」

「…私ね…時々思い出すんだ…」

「何を？」

「朋也を見る度に、幼い頃、指切りした男の子だったらいいな〜って…いっつも照らし合わせちゃって…」

「愛華…」

「小さな手の小指を繋いで結婚の約束してた事あって…その子の名前も、“ともや”って同じ名前だったな〜って…」

「………………」

「その後、彼、引っ越しちゃって…それっきり彼とは会ってなくて、あの頃の思い出…セピア色だったけど、朋也に出会って私の思い出は…カラーのまま…違う人なのに、同じ名前だと思うと……」

「だったら確かめたら？」

「えっ？」

「その男の子が朋也君なら尚更ラッキーじゃん！もう！どうして話してくんなかったの？」

「それは……」

「朋也君、小学校の時、転入してきたんだって」

「…えっ？」

「偶然にも俺の隣の席で速攻仲良くなって、今迄続いてるって。私、天磨とは中学の時に知り合って朋也君とも仲良くしていたけど、元々、人気あって…業界の人間だから学校来る事、そうなかったけど…」

「そうか…」

「愛華、聞いてみなよ」

「えっ！？そ、そんなの…」

「携帯」

「えっ？」

「あんたの」

「えっ！？私の？何する……」

携帯を渋々、出す私。

バッと取り上げる日菜。

「あっ！」

「朋也君の連絡先あった！」

「えっ！？何す…」

私の携帯を軽快に操作する。

✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

俺の携帯が震える。

「仕事の電話？」

天磨が、尋ねた。

「…いや…メール」

目を通す俺。

「誰、誰？女？男？マネージャー？」

✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

「ちょっと…なんて打ったの？」

「はい、どうぞ」

私に携帯を渡す日菜。

【愛華の友達の日菜です】

【今、話を聞き即効メールしました】

【あなたは愛華と指切りした人？】

【結婚の約束した人と同じ名前だと愛華が言ってます】

【返信、即効お願いします】

「……日菜…単刀直入過ぎだよー。違ったら恥ず…」

ブー…　ブー…

ビクッ

「いつの間にバイブ設定したの？」

「音がした方が分かるでしょう？それで？誰？朋也君？」

「えっ？」

ドキッ

画面上に朋也の名前。

「ほら、呼んで、呼んで」

「ごめんっ！無理っ！日菜だけが読んで」

「私だけ？」

「うん」

私は緊張が走る。

目を通す日菜。

「な、なんて書いてあるの？」

スッ

目の前に携帯を見せる。

「いや、無理っ！」

目をそらし目を閉じる。

「良いから見なって！」

私は目を開け読む事にしたけど、イザとなると読めなくて。

「…日菜…ごめん…やっぱ無理だよ…読めない…」

「しょうがないな〜。じゃあ、読むよ」

「う、うん」

「そうだとしたら凄い奇跡だねって」

「えっ？」

「微妙な返事っぽいけど、どちらにでも捉える事出来るよね？で？どうすんの？ハッキリしていないけど」

「ううん、いい」

「えっ？」

「これ以上聞くのも、ちょっと怖いし…違うとなると、すっごい落ち込む」

「でもさー、もし同一人物ならマジ凄いって！運命だよ」

「う、運命って…」

「良いじゃん！」

不安だったり

何処か期待してたり

―――――　でも　―――――

屋吹朋也は　芸能人の朋也であり

私の中の朋也とは

全然違う人

だけど――――

朋也の事が好きだって言える

自分がいること

ねえ　あなたにとって

私の存在は

どれくらい存在してる？

「なあ、朋也。さっきのメールどういう事だ？でも…お前…」

「偶然が必然だったって事」

「朋也？」

「俺の恋人も将来も決まってたって事だよ」

「えっ？朋也」

「授業誤魔化しといて！」

「えっ！？待って！俺も、俺も」

「えっ！？」

「行くんだろ？愛華ちゃんの所」

「まあ…そうだけど…」

「前は急げってやつっしょ？」

俺達は学校を飛び出す。

授業が始まり、私はボンヤリとしていた。

そして正門に見える人影。

《…人…？》

私はふと携帯が気になり携帯を、こっそり取り出す。

【授業さぼっちゃえ！】

【今、愛華の学校の正門にいるよ　　　トモヤ】

ガタン

席を立ち上がる私。

「右木さん？どうしました？」

「えっ…あっ…っ…痛…すみません…急に…お腹が…痛いです…」

「じゃあ、保健委員、右木さんを…」

「い、いいえ…あの釈元さん…親友に…お願い…したい…です」

「えっ！？わ、私！？」

「落ち着くし、心強い…？っていうか…」

「そう？それじゃ、釈元さん、お願い出来ますか？」

「は、はい」

私達は教室を後に出る。

「愛華、大丈夫？つーか、どうして私？」

「ちょ、ちょっと…」

曲がり角に移動し周囲から身を隠すようにし、私は携帯を日菜に見せる。

「ええ…っ…！」

「しーっ！」

「ご、ごめん…えっ？じゃあ、今、２人が来てるって事？」

「そう」

私は、取り敢えず、連絡をし、私達は合流した。

「こんな経験もハラハラ、ドキドキだよ」と、日菜。

「本当」

「こらーーっ！君達！」と、警察官。

「うわっ！ヤベッ！」と、天磨君。

「あー、すみません。今、ドラマの撮影中で」

朋也が、誤魔化すように言う。

「それにしては…人…」と、警察官。

「あー、人数制限されていて、別のアングルからカメラ回っているんですよ。俺達、芸能人なんで」

「えっ！？そ、そうだったのか…申し訳ない」

そう言うと足早に警察官は去った。

「長くいられないな～…あっ！カラオケ屋！」

朋也が言った。

「だけど制服…」

「任せて！」

私達は一先ずカラオケ屋に足を運ぶ。

朋也は交渉をし、部屋を案内してもらう。

そして、しばらくして―――

私服が用意された。

どうやら撮影に着たと思われる衣装だ。

「さあ、着替えて！私服なら大丈夫だと思うし」

私達は着替え、カラオケを楽しんだ。