第7話 連絡先〜いつでも君と繋がっていられるように〜

「愛華、はい。個人情報」

「えっ?個人情報?誰の?」



日菜が私にメモを渡す。




「………………」



耳元で言う日菜。


ドキッ




「えっ!?ええーーっ!?」


「しーっ!」



人差し指で、仕草をする。




「いや、だって大声出さずにはいられないってば!第一、私、大ファンなんだよ?」


「仕方ないじゃん!でも、向こうから、あんたに渡してほしいって事だったし。ちなみに私も連絡先は知ってるから良いじゃん!もらっときなって!」



「そうだとしても…」


「取り敢えず、あんたの連絡先教えておいたから、そのうち連絡くるんじゃない?愛しのト・モ・ヤ・君から」





かあぁぁぁぁ〜!




まさかのサプライズ


プライベートの個人情報!?


私は突然の事で嬉しい半面


本当に良いのだろうか?


そう思った瞬間だった



「分かりやす〜っ!赤面じゃん!本当、朋也バカだね?あんた」


「い、良いでしょう!?」




私達は騒ぐ。



その日の夜―――――






♪♪〜…


【こんばんは】

【連絡先受け付けました】

【トモヤこと、屋吹朋也です】




ドキッ


「…朋也……?」




♪♪♬〜…


【こんばんは】

【私こそ連絡先受け付けました】

【日菜から聞いた時は、大ファンなのに良いのかな?って思いました】



♪♪〜…


【別に知ってるから】

【それから、敬語は抜きだぞ。愛華】


【同級生なんだし、芸能人だからって気遣うのは駄目だから】



♪♪♬〜…


【大目に見てよ】



♪♪〜…


【はいはい】




私達はメールのやり取りをする。






そんなある日の夜。



♪♪♪〜…


【ただいまーー。朋也君でーす】

【今日は、お仕事でした】

【いやー、疲れた】

【でも君の事を考えたら疲れも飛んでくよ】



♪♪♬〜…


【お疲れ様。ていうか意味深なメールはしないで】

【私の気持ち知って言ってる?】




♪♪♪〜…


【君の気持ち知ってるから言うんだけど】



♪♪♬〜…


【ファンから恋愛感情が生まれたらどうするの?】



♪♪♪〜…


【えっ?まだ、愛華の中では恋愛感情ないの?】




♪♪♬〜…


【まだ大丈夫…多分…】




♪♪♪〜…


【多分?】

【じゃあこの際マジになったら?】

【愛華なら応えてあげるよ】




♪♪♬〜…


【また、そうやって】

【第一、メールのやり取りをしている事が凄い事だよ】


【どれだけの人が、朋也とこうしてやり取りをしたいと思ってるの?】


【星の数ほど、たくさんの人がいるんだよ】




♪♪♪〜…


【ファンの中でもほんの一握りの人に奇跡が起こる】

【そう言った事覚えてる?】

【そして、君がその中の一人だとしても】

【一度、二度会えた事が何よりも幸せだって】




♪♪♬〜…


【たくさんの星の数から選ばれた…たった一人だけって事か…】



♪♪♪〜…


【でも君は、もっと幸せになれる未来が待ってると思う】



✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕


「もっと幸せになる未来……?」



✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕



「…君が…もし……あの頃の君なら……きっと……」




♪♪♬〜…


【ねえ、ねえ、朋也って、やっぱ俳優してるから、良い台詞、言うね?キザだけど】



♪♪♪〜…


【愛華〜】




私達はメールのやり取りをする。





私の知らない何か?


彼は知ってる?


私はまだ何も知らなかった……






俺は遊園地に出掛けたあの日から


少しずつ記憶を辿る


そして徐々に謎が解けていく


ゆっくり ゆっくりと……


俺にとって君は……















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る