第6話 幸せな休日
それから、数か月が過ぎ、ファンレターを欠かさず出していた私。
返事は来なくても、それはそれで良くて自分の想いを書き続けた。
そんな、ある日の休日の事だった。
私は一人公園のベンチにいた。
ありきたりな毎日
そんな日々の中
一人の男と女が出会う
偶然なのか……
そういう運命だったのか……
「愛華」
目を向けると、そこには一人の男の子。
「あの…」
スッと少しだけグラサンをずらす。
ドキッ
「…ええーーっ…!?朋…っ!!」
片手で口を塞がれ、もう片方の手をしっ!という仕草をされた。
「あ、ゴメン…」
「いいえ…愛華、一人?」
「あ、うん…デートする相手いないし」
「部屋が俺一色だしね」
片目を閉じウィンクをする朋也。
「それは言わないでよ…」
クスクス笑う朋也。
「隣、良い?」
「うん」
ベンチの隣に腰を降ろす朋也。
「朋也は?こんな休日の日に仕事は?」
「OFF。なんか久しぶりの休日って感じかな?」
「そうか…朋也、忙しいもんね。だけど、ここに朋也がいるのも珍しいよね?」
「前に来た時は、撮影の期間だったから」
「あの時も、朋也が家に来たのは驚いたけど…ここの町に朋也がいるのは、朋也こそ地元の人間なの?って逆に聞きたい」
「俺?俺は友達がいるから。撮影中は友達の所にいた」
「そうだったんだ」
「仕事尽くしで本当困りものだけど…」
「でも、仕事の方が楽なんじゃ?」
「どうかな?デートもしたいとは思う時はあるけど」
「相手がいるならデートすれば良いのに」
複雑な心境の中、尋ねた。
「デート?そうだな〜じゃあ、またデートする?」
「えっ?」
「右木愛華さん」
ドキッ
「えっ…!?私!?」
「うん」
「いや…私は…」
「俺は全然良いよ」
「駄目、駄目!」
「どうして?」
「緊張して無理だよ」
「えっ?でも、今、普通に話せてるよ?」
「そ、それは…」
私達は色々と話をしていた。
そんなある日―――――
「愛華、朋也バカのあんたにお願いがあるんだ」
「と、朋也バカって…」
「事実でしょう?」
「まあ、確かに朋也は好きだけど…」
「で、そのあんたにお願いなの」
「何?」
「今度ちょっと付き合ってくれない?」
「うん。別に良いけど」
「前向きな良い返事で良かった」
そして、私は、日菜に付き合う事にったんだけど……
――――当日――――
「グループデートぉっ!?」
「うん。3−3 で出掛けんの?」
「ええっ!?いや…私は…朋也だけで十分だよ」
「出た!朋也大好き!アピール!」
「何?何?朋也って、俺の事?」
振り返る視線の先には…
「ええーーっ!!やだっ!マジもんのマジもんじゃん!!」
日菜が驚く。
「だって、お前が友達なら誰でも良いって言うし」
男の子。
「いや…でも…この子、朋也好きの朋也バカなんだから」
「へえー、そうなんだ!」と、朋也。
私達が何回か会っている事は、日菜は知らないし、話もしていない。
朋也も初めて会ったかのように知らないふりして私対応してくれてる。
「ねえ、後一組は?」
日菜が尋ねた。
「メール来なかった?」と、男の子。
「えっ?」
「後一組は、急用で、こっちに来れないって」
「そうなの?」
「そうそう!」
そして私達4人は出掛ける事にした。
日菜の男友達。
家元 天磨(うちもと てんま)君。16歳。
「余り街中は出れないし、カラオケで良かった?後は人混みに紛れる遊園地とか?まあ、変装しなきゃ朋也はバレて大騒ぎだけど」
私達は、4人でカラオケに行く。
そして、しばらくして――――
「あっ!俺、そろそろ帰らなきゃ」と、朋也。
私達はお開きになるのだった。
「送ろうか?」と、朋也。
「い、いいえ」
「送ってもらいなよ!滅多にないチャンスだよ」
日菜が言った。
「いや…悪いし…それに大騒動になったら大変だし」
「そう?」
「うん」
そして私達は別れた。
本当は送ってほしかった
でも……断った
それは―――――
あなたが好きで
あなたへの想いを
悟られたくなかったから……
もっと もっと話をしたかった
だけど……遠慮した
ねえ……
朋也……
あなたとまた肩を並べて
歩ける日は来るのでしょうか……?
サプライズでデートしたみたいに
あなたと出掛ける事
またありますか……?
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