第5話 一枚の写真が真実を語る
私は、遊園地デートに関する手紙をお礼兼ねて書いた。
その中には、一枚の写真を同封して。
「淅さーん、見てくださーい。俺、イケてます?」
「写真ですか?十分ですよ」
「まあ、イケてるって自分で言うとナルシストみたいで気持ち悪いけど。俺、そういうキャラじゃないから」
「良いんじゃないですか?たまには自分を褒めてみるのも大事です。しかし、流石に愛華さんは緊張しているのが凄く伝わりますね」
「彼女は、熱狂的なファンなんかじゃない…本当に純粋なだけ…」
「そうですか?」
「そうですよ。彼女は、ファンレターという手紙に素直に正直に…想いを純粋に伝えているから」
「そうなんですかね?」
「そうですよ」
そんなある日の事―――――
「あんたの部屋、相変わらずね。全て朋也尽くしじゃん!」
日菜が遊びに来て早々、言った。
「いいじゃん!」
「全く呆れる…新しい彼氏でも見付けたらどうなわけ?」
「出会いなくて、どうやって見つけるわけ?」
「あるよ!共学だよ?」
「えーーっ!一層、朋也の方が良いよ!例え手の届かない人材でも存在感は一際、大きいから!」
「はいはい」
ある日の学校帰り―――――
「向こうでドラマの撮影だって!」
「嘘!行こう、行こう!」
彼女達は走り目的地に向かうようだ。
「…ドラマの…撮影…か…」
私は、そのまま帰って行くのだった。
その日の夜――――
コツン…
コツン…
部屋の窓に何かが当たる音がした。
「……?」
私は気のせいかと思い少し気にしつつも、そこまで気にも止めずにいた。
すると再び、窓に何かが当たる気がした。
ガラッ
部屋の窓を開ける。
ドキン
「えっ…!?と、朋也ぁっ!?な、何してんの?」
そこにはまさかの人影に驚く。
「近くで撮影あったから、散歩してたら導かれるように足が勝手に…」
「足が勝手にって…」
「ちょっと下に降りて来なよ」
私は部屋を出て、下に出る。
「ごめん」と、朋也。
「ううん。良いけど…マスコミとか…大丈夫?一人なの?」
「うん」
「そうなんだ」
「それより愛華って…ずっと、ここの町に住んでる地元の子?」
「うん」
「そうか…」
「どうして?」
「いや…聞いてみただけ」
「そう?ていうか、どうして私の家知ってるの!?」
「えっ!?あー…ほら!遊園地デートの日に、マネージャーと来たから」
「えっ…!?あっ…!そうだ!ママが口止めされて、サプライズとかも言ってて明らかにしなかった!」
「そう!正に、それ!マネージャーが言った所で信じるわけないから直談で交渉!愛華の部屋、俺一色なんだって?」
「ええっ!?」
かあぁぁぁ〜!
恥ずかしい…
まさか親が本人に伝えているなんて思いもしない。
私は両手で顔を隠す。
クスクス笑う朋也。
頭をポンとされた。
ドキッ
「良いんじゃない?俺は嬉しいけど?」
「…朋也…」
《でも何だろう…?》
《2回目とはいえ、初めてと変わらないのに懐かしく感じるのは…》
《…つーか…俺…引っ越し…したんだっけ…?》
数年間、育った町。
余り記憶にはないけど、幼い頃、引っ越しした記憶はある。
私達は、少しの間、話をして別れた。
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