第4話 2度目のキス〜
「ねえ、どうして?あなたには山程いるでしょう?沢山のファンがいるのに、どうして私を?こうして、あなたて出掛けたいと…思う人は数え切れない程いるのに………」
「Fanの中でも、ほんの一握りの人にだけ奇跡が起こる……」
ドキン…
「そして君が、その中の一人だとしても、一度、二度と出逢えた事が何よりも幸せだと思うけど」
「…朋也…」
「君の気持ちは、しっかりと受け止めてる」
ドキン…
ドキン…
ドキドキが止まらない
今 目の前にいるあなたが
テレビの中でしか存在しない
遠い 遠い人だと
そう思っていた………
だけど……
本物の屋吹朋也が
私の目の前に存在している……
でも……
私はあなたのFanの一人に過ぎない
私達は観覧車に乗る。
「今日はありがとう」
「ううん…私こそ…ありがとう…こんな私の為に、どうお礼を言えば良いか……」
「お礼なんて…俺が望んだ事だし」
「…でも…」
ドキン
キスをする朋也。
「………………」
「…ごめん…」
私は首を左右に振るのに精一杯だった。
私は下にうつ向く。
――――抱きしめたい―――
あなたは
手の届くところの目の前にいるのに
触れたくても触れられない……
「………………」
一層のこと
あなたから
抱きしめてほしい・・・
「…愛華…」
名前を呼ばれ顔をあげる。
スッと片頬に触れられる。
ドキン…
優しい眼差しで見つめられ私の胸がザワつく。
フワリと、もう片方の手で抱き寄せる朋也。
ドキン…
「…少しだけ…このままでいさせて欲しい…」
「…朋也…」
私は朋也の背中に手を回す。
私の想いが溢れそう……
私はファンとして
朋也が心の中にいるの……?
自問自答する
抱きしめ合う体が離れると同時に私のオデコにキスをする朋也。
ドキン…
そして観覧車から降りる私達。
遊園地から出る別れ際―――――
スッと私の片手を取る。
ドキン
すると自分の小指を朋也は絡めた。
ドキン…
《指切り…》
「また、機会があったら俺ともう一度会って頂けますか?右木愛華さん」
「はい…あっ…!」
微笑む朋也。
ドキン
「約束。それじゃ」
朋也は私をタクシーに乗せた。
「運転手さん、タクシー代は、うちの事務所に請求してもらって良いので。それでは車出して下さい」
「待って!朋…」
ドアが閉まる。
タクシーは走り出す。
「あの方、今、売れっ子の俳優さんでしょう?」
「…はい…」
「友達なの?」
「…いいえ…私は…彼のファンなだけ…沢山の星の数の中から選ばれたんです…たった…一人だけ……」
「へえー…強運の持ち主って事かい?」
「はい…」
2度目のキス
何を意味しているの…?
あなたの中で
私の存在は
どういう存在ですか…?
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