第2話 あの日から・・・
Fanと好き
Fanから恋に進展は
あるのでしょうか……?
あなたと唇を交わした
あの日から
私の心は
あなたに……夢中……
「あっ…これ…返さなきゃ…でも…住所……あっ!ファンレター…事務所」
私はファンレターの住所を頼りに小包みとして
彼・矢吹朋也君に返すのだった。
✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕
「朋也君、お疲れ様。これ、今日のファンレター。それと…これ…ファンレターの中に何か小包み届いていたんだけど…誕生日でも何でもないのにね」
「そう…ですね」
「大丈夫?一応、ファンレターと一緒にと思われるように届いていたけど…スタッフに通した方が…って…勝手に開けないの!悪質なイタズラだったりしたらどうするの?」
「いや…衣類って書いてあったし」
「そうとは限らないでしょう?」
「えーーっ!何かあったら何かあったですよ!」
「朋也君!」
「…これ…」
あなたが貸してくれたシャツをお返しします。
風邪引きませんでしたか?
私はお陰様で大丈夫でした。
ありがとうございます。
お忙しいとは思いますが、目を通して頂くと
幸いです。
それでは、お仕事頑張って下さい。
右木愛華
「淅(せき)さん」
「ん?」
「Fanとの恋愛って成立しないと思いますか?」
「えっ!?」
「Fanではなく、一人の男と女として付き合う事は出来ないのでしょうか?」
「朋也君?」
「俺、付き合った女性(ひと)はいるけど、普通に付き合っていたものの、ファンはファンでしかないんでしょうか?」
「熱狂的なファンなら尚更、君は業界の子だよ。朋也君の生命に関わるんだ。それに、悪用されたり、世間にある事ない事が晒されるような事態にもなり兼ねないからね」
「まあ…そうなのかもしれませんけど…実は…この洋服を返してくれた子が言ったんです」
「えっ?」
「あなたが好きだから…大ファンだから…ファンのままでいさせて下さい…って…同じ日に恋人にフラれたのに彼女は…本当は寂しくて…辛くて誰かにいて欲しいはずの、その日に…」
「だったら尚更じゃないのか?」
「えっ?」
「危険過ぎるよ」
「…本当に…そうでしょうか…?…俺は…彼女に…そんな感じは見受けられませんでした。好きだからこそ一緒にいたいってわけじゃなくて…突き放すという行動…それに…彼女は…自分の心配よりも、俺の心配をしてくれたんです」
「…例えそうだとしても…人間程、怖いものはないよ」
「…淅さん…」
「気を付けた方が良い」
「…でも…所詮、普通の男ですよ。人を好きになったり、街歩いたり…俺が業界の人間じゃなかったら…俺達…出逢っていないかもしれないのに…」
「朋也君……」
「すみません…疲れてるのかも…」
思い出は思い出に過ぎない
でも……
思い出の中だけじゃ
生きていけなくて
先には進めないね……
「淅さん。あの…もし良かったら…彼女からのファンレターだけ、別に取っておいてもらえませんか?」
「えっ…!?」
「無理を承知で…お願いします」
「分かった。一応、伝えておくよ」
「はい、お願いします。ありがとうございます」
その後、私が送るファンレターは特別に取っておいてもらうこととなる。
そんな事など知る由もなく。
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