将来の約束〜永遠の恋人〜
ハル
第1話 手の届かない大ファンの人と、好きな人
「愛華(まなか)ちゃん」
「何?」
幼い頃の私。
右木 愛華(ゆうき まなか)。5歳。
に声をかける男の子。
屋吹 朋也(やぶき ともや)君。5歳。
「僕、もっとイイ男になって絶対、愛華ちゃんと結婚する!!」
「朋也君…。うんっ!!絶対約束だよ!」
「うん!約束!」
指切りした私達。
その後、男の子は引っ越した。
そして、そんな幼い記憶とは裏腹に私達は成長した。
幼い思い出
その時の思い出は
ずっと心にしまい
思い出と共に
セピアに変わっていく
「おはよー、朋也♪」
16歳の今、屋吹 朋也君という芸能人が大好き♪
大ファンなのだ。
ポスターにキスまでしている私は、朋也バカ。
幼い頃、同姓同名の男の子と指切りした記憶が微かに度々思い出される。
でも、私の心には、芸能人である彼にラブラブモード。
幼い頃の記憶は、セピア色で今じゃ良い思い出だ。
「おはよー、朋也、バカ」
親友の釈元 日菜(せきもと ひな)が言ってきた。
「何それ!」
「だって事実じゃん!」
「そうだけど…」
確かに自分でも認めているも、いざ言われると何となく複雑だ。
私達は、色々話をしながら学校へ行く。
ある日の事。
「正紀(まさき)君、私と…お付き合いしてください!」
「えっ?」
「あっ…えーと…私…正紀君が好きで……」
「いいぜ」
「えっ?」
「付き合おうか?俺もいいなーって思っていたから」
「えっ!?」
「改めてよろしく!」
「うんっ!」
瀬吏河 正紀(せりかわまさき)君。16歳。
彼を紹介されて、彼の良い所を知って好きになった。
もちろん屋吹君も好き♪
でも、屋吹君とは、
遠い遠い人で住む世界が違うでしょう?
彼は、もう一人の心の恋人であって……
好きなアーティストや好きな芸能人とか、
一人はいるよね?
違う?
それから一ヶ月、彼と付き合って一ヶ月―――
「なあ、好きなら良いよな?俺達」
「えっ?」
ドサッ
私をゆっくりと倒す正紀。
ドキン
「…えっ?あ、ゴメンっ!いや、正紀の事は好きだけど、今、女の子の日で…」
「あ、そうなんだ」
「うん…だから、ごめんね」
「いや…良いよ。仕方ない」
その日の夜。
「朋也ーー、聞いてーー、私、彼の事、大好きだけど、体の関係を持つの、すっごい抵抗あって嘘ついちゃったよ…」
私は、ボスターに話しかけていた。
数日後――――
「ねえ、日菜……やっぱり、Hしなかったら…男の子って冷めちゃうよね……」
「えっ?」
「実は…この前、正紀とデートして、家に行く事になって…」
「うん」
「一応、覚悟はしていたの。だけど…いざって時、怖くなって……女の子の日って言っちゃったよ…」
「えっ?そうなんだ。もうチャンスないかもよ…」
「…えっ?…やっぱり…そう…だよね…」
ある日の事。
「あれ…?正紀…女の人……」
私は突き止める事なく付き合っていた。
女友達かもしれないから。
でも―――――
「悪い…他に好きな人が出来た…つーか…好きな人がいたが正しいも…お前、可愛いし俺じゃなくても、すぐイイ人見つかるって。それじゃ」
正紀から別れを告げられた。
『好きな人がいた?』
つまりそれって
利用…した?
された…?
まさかの意外な言葉(セリフ)
初めての相手に捧げなくて良かったと
思った瞬間だった
正紀は、私の前から去り、1人残された私。
正紀の中に、本当に私がいたのだろうか?
そう疑問を抱く中
頑張って告白したのに
その場の勢いだったんではないか?
そう思うと悔しくて携帯を投げつけたくなった
私はショックの中、トボトボ帰る。
私は突然の雨に見舞われる。
一方――――
「何だよ!それ…」
「ゴメン…やっぱ芸能人だし仲良かったら自慢だし〜…つい利用なんかしちゃったりして〜」
「ふざけんなよ…分かったよ!もう2度と俺の前に顔出すなよなっ!」
「あっ!朋…」
彼もまた、別れを告げられた。
その途中―――――
ドン ドサッ
誰かとぶつかり地面に転倒する私。
「あっ!悪い」
それだけ言うと、走り去る。
私はゆっくりと立ち上がる。
「……っ……」
フワリ ドキン…
私に何かを掛ける人影。
「あ…の…」
ドキン
顔をあげると男の子だ。
いや…男の人?
年齢は私と
そう変わらないだろうか?
《あれ…?…この人…何処かで……》
「ごめん…ぶつかっておきながら放って去ってしまったから…気になって…心配で…後戻りしてきたんだ」
「…ねえ…あれ…ドラマの撮影か何かかな?」
「えー、でも、カメラとかスタッフいないよ」
「えっ?じゃあ…何?もしかしてプライベート!?」
周囲から、そういう声が聞こえてくる。
「…ヤベ…」
私に聞こえる位の声で男の子が言った。
「………?」
「悪い…この後、何か予定は?」
「はい?あの…ナンパか何かですか?」
「いや、違うし!悪い、ちょっと付き合って!」
「えっ!?」
グイッ
私の手を掴み走り出す。
「あのっ!困りますっ!」
「今以上に困るの君だから!一緒に逃げた方が良い」
「えっ…!?」
私は付き合わされ、コソコソと隠れたり逃げたりとする。
「君、名前は?」
「えっ?」
「名前は、あるでしょう?」
「あ、はい…愛華……右木…愛華……」
「愛華……?俺…朋也…矢吹……朋也…」
ドキーーン
胸が大きく跳ねた。
「えっ!?」
足を止める私。
「どうしたの?」
「……あの……朋也って……もしかして……」
「朋也ーーーー、何処ーーーー?」
私の目の前にいる、彼と思われる名前が聞こえてくる。
グイッと引っ張り再び逃げる。
「何処に行ったのかな…?」
「こっちに逃げて来たよね?」
「あっ…!いたーーっ!」
気付かれたようだ。
「鬼ごっこしてんじゃないんだけど……」
グイッと引っ張られ逃げる。
「あ、あの…!私も逃げる理由は…あるんですか?」
「いや…その格好じゃ風邪引くよ?だから着替えないと」
「…の…」
「えっ?」
「私は良いの!私、彼氏にフラれたし濡れたい気分だから!」
手を離す私。
「………………」
「あなただけ逃げて…それに…私…あなたが好きだから…大ファンだから…あなたに…何かを求めそうだよ…だから…1人で逃げて……」
洋服も返す。
「ファンのままでいさせて下さい…」
私は走り去る。
しかしすぐにグイッと引き止められた。
「待ってよ!」
グイッ
再び私の手を掴み走り去り、物陰に隠れる。
フワリと、返した洋服を私の頭に乗せる。
ドキン…
「あの…」
顔をあげると同時にグイッと後頭部を押されキスをされた。
ドキン…
「俺も彼女にフラれた日。でも君に逢えた……」
至近距離で言われた。
「………………」
私は下にうつ向く。
洋服を羽織らせ、私をフワリと抱き寄せた。
ドキン…
「本当に1人で大丈夫?」
ゆっくりと頷く。
「そう?それじゃ気を付けて」
抱き寄せた体を離し去り始める。
「待って…!」
男の子は足を止めた。
「あなたは…良いの…?」
「俺は…平気…それじゃ」
「………………」
私は涙がこぼれそうになった
目の前には
私の大好きな人。
こんな偶然もあるのでしょうか?
嬉しいような
悲しいような
だけど私達の距離は
遥か彼方で
たくさんの星の数だけの
たった一握りだけ・・・
二人が出逢えた奇跡は
ただの偶然に
過ぎなくて
そして・・・
永遠の思い出になるだけだから・・・
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