第5話 芸道

 放課後、アサガオの種をまく。

 活動日誌をつけようとしたが、あまりにも何もしていない。

「へい、おまち!」

 学校近くの定食屋がラーメンを持ってきた。

「おう、ありがとうさん」

 正美さんが支払いをしている。

 それから、正美さんはラーメンをテーブルに置き食べ始める。

「どうした、珍しいモノでも見るような顔だな」

 正美さんはわたしに指をさしてグルグル回す。

 ま、ラーメンは校則に違反しなければ普通に注文できるはずだが。

 指を回すのは謎の行動である。

「正美さん、その指は何ですか?」

「催眠術だ、こうして、指をグルグルしてラーメン代を出してもらうのだ」

「それって、効果あるのですか?」

「わたしの記憶が確かなら、効果はない」

 胸張って言うな。

 大体、ラーメン代を何故わたしが支払う?

 そこに妹のみつかがやってくる。

「賢そうな妹だ、ここは催眠術だ」

 正美さんは妹のみつかに向かって指をグルグル回す。

「あああ、イク!」

 すると、妹のみつかは服を脱ぎ始める。

「あれ?」

 正美さんは不思議な気分でいるようだ。

 それはそうだろう、催眠術が効いたのだ。

 上を抜き、ブラを外そうとしたところでわたしは妹のみつかを止める。

「なっでやねん!」

 正気に戻った、妹のみつかは正美さんに怒っている。

「違う、先ずは『そうそう、服を抜きましょう』の後で『なんでやねん』ですよ。

 正美さんは完全な誤魔化しモードである。

『ノリツッコミ』なる芸らしいのだか、お前が言うなと思うのであった。


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