第3話 四月のこたつ
四月も中盤になり、桜の花は全て散ってしまった。
しかし、弓道部の一同は掘りこたつに入り。雪見だいふくを食べている。
「そろそろ、暑いな、かき氷に切り替えるか?」
正美さんが真顔で言う。
「いやいや、ガリ〇リ君の方が夏らしいですよ」
妹のみつかが反論する。
ここの住人は堀こたつを片付けるとの考えが無いのか?
「コンセントを抜いて省エネでハーゲンダッツを食べたいわ」
部長の木舞さんは食べたいだけの事である。
消して、エコなど頭にもない。
「木舞部長、電気代は学校が払っていますよ」
「おお、そうか、なら、こたつの電源を強にスイッチオン!」
「流石、部長」
この部活にツッコミはわたしだけか。
渋々、堀こたつの布団を撤去する。
「これで、ホットコーヒーが美味しくなります」
「おおお!」
一同は関心した様子である。
「いといさんは頭がいいな。ここを寒い空間にすれば、温かいものが美味しくなるのか」
このことで褒められるのは凄く頭が痛い。
「ここで秘密道具の『昨日買ったたい焼き!』」
正美さんが紙袋から冷えたたい焼きを取り出す。
イヤ、体感温度関係なくホカホカの方が良いし……。
一同、冷えたタイ焼きを食べ始める。
「冷えた雪見だいふくの方がいい」
妹のみつかは大声で不満を言う。
この妹なる存在は時にとても邪魔になる。
しつけが成っていないかのごとくベラベラと冷めたたい焼きの悪口を言う。
ここは熱いお茶でも入れて落ち着こう。
「お茶いれますね」
わたしが立ち上がると部室奥に行く。
お茶を持って堀こたつに戻るとわたしのたい焼きが増えている。
一瞬、嫌がらせかと思うが違うらしい。
「最後の一つだ、味わって食え」
木舞部長が偉そうに言う。
たまにはこんな事も良かろう。思える日であった。
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