第19話 虫ゲロ障(仮)でラジオその1
「はい皆様こんにちは、これからUPライブ公式番組虫ゲロ障(仮)を始めたいと思います。第一回はラジオ放送です。」
冠のその言葉と同時に配信は始まった。
おかしな配信をしまくるせいで、同接数が毎回異常に多いアクトの配信よりも多く、公式チャンネルでの配信と、うちで1番人気のvtuber冠の名前のおかげで、その同接数は流石にアクトの初配信を超えることはなかったが、50万にもなっていた。
初めの方はどんな配信かを冠が、リスナー達に説明する為その間暇なアクトは、ネガの座っている椅子をくるくる回して遊んでいた。
「それでは、そろそろ他のメンバーにも登場してもらいましょう。まずはゲロ男からどうぞ」
「おう、虫ゲロ障(仮)のゲロ担当のアクトだよろしく」
サラッと流されそうになったが、リスナー達は冠がアクトの事をゲロ男と呼び、アクトがそれが自分だと認識している事に驚き、少しコメント欄が荒れた
その後呼ばれたネガは、ものすごく小さな声で吃りながら自己紹介をして、こちらは予想通りだったのか、リスナー達は安心しながら優しい目をして見守った。
「それでは、まず初めのコーナに行きましょう。題して、【ここがおかしい!アクトの放送内容、本人に聞いてみた】です。コーナー名は時間がなかった為適当ですが、ラジオも今回だけの様なので別にいいでしょう。という事で、これはもうどんな内容かは言わなくてもわかるでしょう。私とネガちゃんもゲロ男に聞きますが、まずはリスナーから頂いたお便りから読みましょう。それじゃあネガちゃん読んでもらえるかな?」
「ハ…ハヒ!」
ネガが鼓膜が破れるほど大きな声で返事をするのをみた、リスナー達は皆一様に不安を覚えた。
「デ、デハ……こ、こんにちは。私は元々リリィちゃんの配信を見ていて、そこからお兄さんであるアクトさんのことを知りました。ソ、そこからは、毎回奇抜な配信をするアクトさんがおもしろく、いつの間にかアクトさんのファンになりました。ここからが本題なのですが、今まで色々な配信をやっていた中で、私が特に気になったのは、やはり囲碁、将棋、オセロ、チェス、ポーカーをやりながら、筋トレをすると言う、前半だけならすごいなぁー、だけで終わるのに何故そこに筋トレを入れたんですか?それが気になります。……だそうです」
頑張って言い切ったネガは1人、やってやったぜと言いたげな顔で机に突っ伏した。
「何故かって?と言うよりこの人は、考え方のはじまりが間違ってるから、いくら考えてもわからんと思うぞ」
「と言いますと?」
「この配信はただの筋トレ配信をしようと思ってところ、流石につまらんと思って、急遽パソコンを開いた時に入ってたアプリを全部やっただけだから、この人が凄いと言ってたところは、ただのついでだな」
「頭逝かれてんだろ」
アクトが当時のことを思い出しながらそう言うと、冠がマイクが拾うか拾わないか分からない程度の声量で、ポツリと呟いた。
「はいそれでは、次の質問に行きたいところですが、ネガちゃんが倒れている為次の質問は私が読み上げたいと思います。」
冠がそう言いながら渡された手紙を開くと、そこにはマジもんの呪詛が込められた、呪われたお札が入っていた。
こんな物が入っているとは思ってなかった、冠はその手紙をアクトの方へと投げ飛ばした。
「おい、虫女リスナーからの手紙を投げるのは良く無いだろ。って何だこれ?お札か?それに手紙には赤字で死ねって大きく書かれてんだけど?何これ?」
本当に意味がわからずアクトは、スタッフの方を見ると、そのスタッフはアクト達のいる部屋に入ってきて、その手紙を確認すると首を傾げた。
「なるほど、えーっと。ただいま読み上げた手紙はスタッフも知らないとの事なので、多分怪奇現象の一種だと思う、という訳で今から浄化します」
全く意味のわからない状態に、リスナーも冠達も皆困惑しており、その中でアクトはズボンの中からライターを取り出し、その手紙とお札を燃やし始めた。
「ちょっ、ゲロ男何やってんの!」
いきなりお札に火をつけるという奇行を目の前やられた冠は、アクトが手に持っているお札の火を消そうと、手を伸ばした瞬間、その火が一瞬人ぐらいのサイズになり、更には男の悲鳴の様なものが聞こえたと思ったら、そのお札は灰となって何処かへ消えてしまった。
その摩訶不思議体験に皆が唖然としていると、皆を正気に戻すためのベルが鳴り響き、それと同時に部屋には防火用のスプリンクラーから水が噴出され、始まったばかりのラジオ配信は混沌を極めていた。
その後10分程度だが、急遽掃除配信が始まり、それがようやく先ほど終わりようやく配信は再開された。
「はい、では変な事件がありましたが、そろそろ再開しましょう。」
その後も、つい先日やっていた、マネージャーを連れて行ったバンジーや、和尚とのラップバトル配信や、集まれ全国の松本さんで何故松本さんだったのかとか、やはり改めて聞いても意味の分からない話が繰り広げられていた。
「やっぱ、この人頭おかしいだろ」
今度はみんなが聞こえる声で冠はそう言った。
ーーあとがきーー
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