第7話 千里の道も一歩から
あれからどれくらいたったのだろう、柾とはもう何日も話していなかった。話そうにも話せないというのが本音だ。何から話せば、何を話せば自分ではどうしても分らなくて、避けてしまっている。もう彼とはやり直せないのだろうか、一方的に別れを告げられた私は納得していなかった。美沙だけが私の異変に気がついたみたいで、明るく話しかけてくれたけれど、あとの2人はどうだろう。少しよそよそしい雰囲気が漂っていた。遊子は出会った頃のように暗くなり、ヒカリは不機嫌でいることが多くなった。私は自分のことに必死になっていて周りが見えにくくなっていた。2人が以前とは違っと風であるこは読み取れたけど、なぜそんな風になってしまったかは皆目見当がつかなかった。美沙は原因を知っているのだろうか。人の気持ちを察知することに優れている彼女は知っているのだろう。このまま4人の関係にひびが入ろうものなら、いっそ私から離れるべきなのか。私は急にそんなことを思ってしまった。原因が私と言われたわけでもないのに、神様のお告げなのだろうか。
柾のこともあるし、遊子たちのこともあるし、どうしたらいいのだろう。まずは柾の方からけりをつけようか。美沙に誤魔化してしまった後ろめたさもあり、柾のことを相談することに決めた。遊子たちには悪いけれど、美沙しか信用できなかった。というか遊子が私を信用していないのだと思っていた。いつもあまり喋らないし、喫茶店で話したときの態度も変だった。今まで仲良しの仮面を被っていたのだと思う。私にも言えることだが、仲良し4人組と自分で縛りつけていたのかもしれない。
とりあえず、柾のことが先だ。全身を奮い立たせ、美沙の家へ向かった。
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