第40話 復興2
食糧事情を改善して行く。
途中で、悪代官と出会うが、捕縛して財産を差し押さえる。金銀財宝は見逃して、食料を放出させる。
軍隊を出して来た商人もいるが、誰を相手にしているのか分かっているのだろうか? 蹴散らしてやった。そして、軍の兵糧を市民に配る。まあ、商人が隠し持っていた食料なのだ。良しとしよう。
「ここまで
「いや……。世紀末っすよ?」
ふう……。大鮫魚には、"世紀末"の意味が伝わらないらしい。戦争で全てが壊れた後の世界という意味なんだが。
そんな時だった。
「むっ!?」
私の〈索敵〉に引っかかった。
「仙人か? 私に向かって来ている?」
今は、馬で来た仙人と対峙している。
「貴様は、金鰲島の道士か? なにをしている?」
「まず、道士ではない。一般人だ。それと、民に食料を分け与えている。富の再分配だな」
仙人がため息を吐いた。
「我は、殷王朝の王妃様である蘇妲己様の部下、
む? なんだ?
そして、その名前はなんだ? 負けフラグ?
人里離れた場所で、二人きりとなる。
殷破敗は、釣り竿を取り出した。
「話は聞いている。釣りができるんだろう? 釣りながら話そうか」
ほう? この私に釣り勝負か?
いい度胸だ。
「……話し合いでっせ?」
◇
――ピチャン
「ふ~。実を言うとだな、俺達もこんなことはしたくないんだ。だけど、上からの命令でな~」
「こんなこと? 政治の混乱のことか? 戦争のことか?」
「……東の国で起きていること全部だよ」
中間管理職は、辛い立場なのだな。
「……誰を倒せば、この世は良くなるのだ?」
「あ~。やられ役は、
「その者に付けば、いいじゃないか? 勝ち馬に乗れるんだろう?」
「あ~。我もやられ役なんだよ。次の世は見れないのが決まっている」
訳が分からん。
「命数に従って、死ぬのか?」
「まあ、そうなるかな。我も次の世を見たいんだけどな~。でも次の世では、生きて行ける場所がないんだそうだ。ならば、安定した場所を望みたい」
う~む。天界に毒されているな。
「諦めるな。まだ、未開の地などたくさんある!」
「ああ……。いいんだよ。自分のことだ、自分で決めさせてくれ。それでだな……。なるべく死者を少なくしたいとも思っている」
ほう。まともな奴もいるんだな。
「天界の意思を、私に伝えに来たということか?」
「我みたいな下っ端に、天界の使者なんて来ないさ。王妃様だよ。食料を増産している奴がいるから、止めて来いって言われてさ。そんで来た訳だ」
う~む。王妃か……。何処かで聞いたな……。
「天界が送り込んだ妖怪仙人でっせ? 忘れてまっか?」
ああ、そうだったな。そんな奴の話も聞いた気がしないでもない。
「なんだったら、その王妃と紂王を倒して来ようか?」
「その後は? ヘーキチと言ったな。君が王になって政治を行うのか?」
「冗談ではない。政治になど興味ないな」
殷破敗が、ため息を吐いた。
「ならば、新しい王を立ててくれ」
こいつは……、私に忠告しに来たのか?
「自分の使命じゃないっすか?」
「ふぅ~」
私はため息を吐いた。
「ここで、食糧事情を改善しても大局には影響がないのだな。目の前の人を救っても、見えない人達が倒れていると言いたい訳だ……」
「まあ、そうなる。理解してくれて助かるよ」
「だが、断る! 私の手は二本しかないのだ。救える人はこれだけだ。仙人界には手が八本ある奴もいるんだぞ! 救いたい人達がいるのなら、私ではなく仙人に頼れ!」
私は立ちあがって、両手を広げた。
「東の国の全てを救えそうな大きさだよな……」
「世界一長い、両手っすな~。地球を包み込めるんじゃないっすか?」
「まあいい、言いたいことは言わせて貰った。伝わっているといいんだがな。……結果を待つよ」
殷破敗は、訳の分からないことを言って去って行った。
「何だったのか」
「ねえ、ヘーキチさん。そろそろ西の国に行きましょうよ~」
少し考える。
まだ、朝歌は食糧事情が安定しているとは言えない。
太師も頑張っているのだ。
「王妃だか紂王だか知らんが、そいつらに殺される民を見捨てることはできない。もう少し頑張ってみる」
「頑固っすな~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます