第33話 ミルキー4
ミルキーは、かなり順調に成長していた。
もう道士を名乗ってもいいだろう。
この成長を、シルフィーにも見せてやりたい。
後は、
あんなに持っていたのだ。一つくらい分けて欲しいものだ。
ちなみに、『雨琵琶』は、シルフィーと共に天界が持って行った。
「ヘーキチさん。危ない思考をしている顔でっせ?」
む? 無表情と言われた私だが、大鮫魚には分るのか……。
「ミルキー用の、
「……相性もあるんでっせ? 奪って使うのは止めましょうよ~」
ふむ……。思考を読まれて来たな。
「土系統の
「都合良すぎでっせ?」
まあ、そのうち機会もあるだろう。
私達は、東に向かい、金鰲島を目指した。
◇
「妖怪仙人に出くわさないな。希望としては、仙人か道士と手合わせしたかったのだが」
「あ~。今は東の国に集まっていますね~。殷という国っす。洞府に行くか、殷の太師みたいに下界と関わっている仙人じゃないと、いませんぜ? こっからだと、方角は西っすな」
そうなのか? 逆方向に向かっている?
「金鰲島に、殴り込みをかけるか……」
「ちょっと待って欲しいのニャ。そこまでして、
う~む。意見の相違だな。低い自己肯定感。追い込みが足らなかったか?
ミルキーは、ここから急成長すると思うのだが。
さて、どうするか……。ミルキーを更に成長させるには……。
「腕試ししたいのなら、戦場に行けばいいじゃないっすか~?」
「私は殺生を好まない。何処かに、全力で戦える相手がいないものか……。やはり、金鰲島……」
「ミ、ミルキーさんの修行をするんすよね?」
「む? そうだな。それが最優先か……」
「もう十分じゃないっすか? 殷の太師に会いに行きましょうよ~」
ここで、私の〈索敵〉になにかが引っかかった。
「あの一軍はなんだ? 霊力を感じる……。二人だな」
「殷の将軍っすね。でも下っ端でっせ? 金鰲島の道士かもしんないっすけど~。食料でも集めてるんでしょう」
「行くぞ」
「「えっ?」」
◇
私は、軍の前に立ち塞がった。
それを快く思わない、兵士達が騒ぎ立てる。
「何者だ!?」
「冒険者だ。殷の太師に認められている」
冒険者カードを見せると、将軍を思わしき2人が前に出て来た。
そして、冒険者カードを確認する。
「……確かに、太師が認めた印が入っているな」
「うむ。それでなのだが、頼みがある」
「食料か?」
「この娘と組み手をして欲しい」
「「「「「えっ!?」」」」」
将軍二人は、
金鰲島の道士でもあるらしい。
「断ることはできないのだが、本当にいいのか?」
「うむ。全力で頼む」
ミルキーは、震えている。
しっかりしろ、自信を持て。
そして、相手を見ろ。
どっからどう見ても、できの悪い道士でしかないじゃないか。
私が、開始の合図を行う。
まず、王豹が攻撃して来た。
「あれは……。手榴弾か? オーパーツだな」
「『
ほう……。あんな道士でも
いや、もう私は『打神鞭』を持っている。
羨ましがる必要もないな。
――ドカン
手榴弾が、爆発した。それを見た、ミルキーの表情が変わる……。
震えが止まったようだ。
理解したのだな。
「お嬢ちゃん。もういいかな? 止めようぜ?」
「……」
ミルキーが動いた。〈土遁〉で音もなく、王豹の背後に回る。そして、首トンだ。王豹の意識を一撃で刈り取ったみたいだ。
ミルキーの変身した爪は、切り裂く以外にも、鈍器になるのだな。面白い。
王豹は、顔面から地面にダイブしてピクピクしている。
「うむ。いい動きだ」
この数日で、ミルキーは道士を名乗れるほどの修行を積んだのだ。
目の前の二人など、雑魚でしかない。
「な? なっ?」
彭遵は、うろたえている。そして、
彭遵の
ミルキーは、『
「……これ貰っても、いいかニャ?」
◇
今回の被害者……
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