第105話 あくび

君といると俺はあくびが出る。退屈しているわけでは無い。


おれはいつも気を張っている。だが君といると安心して気が緩んでしまうのだ。


あるとき俺はついうっかり寝てしまった。そんなに退屈ならと君は俺に話しかけなくなった。


俺もまた君を失望させるのが怖くて話しかけられなかった。気づけば卒業式。


最後に君と話をした。本当に悪気はなかったんだと俺は必死に伝えた。


君はあくびを噛み殺している。俺は初めて君の気持ちを知った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る