第104話 往来
幼い頃、一緒に行った遠足で君の手を放してしまったことがある。人波に消えた君の姿を必死に探したけど見つけられなくて。
俺たちが再開したのは迷子センターでだった。あのときの悔しさは今でも忘れない。
今年の夏祭りはみんなで回ることになった。みんなとはぐれて君と二人きり。
はぐれないように手を繋がないか? 勇気を振り絞った俺の提案を君は断った。
君は他に好きな人がいるようだった。代わりに君は裾を掴む。
今度は君とはぐれることはなかった。なのにどうしてこんなに心の距離が開いてしまったのか。
大きくなったら結婚しよう。そんな約束、君はきっと忘れてしまっていて。
俺は君から目を離さない。君は人混みの中に意中の彼を探していた。
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