第101話 エンドレス

君に何度目かもわからない告白をした。答えはいつもノーだった。


それでも俺は何度だって君の元へ足を運んだ。いつも片手には花束を抱えて。


私は付き合わないし、結婚なんてしないよ。そんな君の言葉は聞き流した。


いつしか君は返事も返さなくなった。俺は今日も花を抱えて君の元へと向かう。


君の親と鉢合わせをした。もうあの子に構っていないで自分の将来を考えて。


好きでしてることですからと返して君の名が刻まれた石の前に来た。しおれてきた花を取り換える。


君は最後まで憎まれ口を叩いていた。下手な嘘しかつけない癖に。


こんなに構ってやるの俺くらいだぜ。そろそろ付き合うか?


今日も軽口を叩く。返事はない。


きっとこの先も繰り返す。そしたらいつか生まれ変わったときにまた君に告白できる気がするから。


夏蝉が鳴いている。君を連れて行ってしまった夏がまた来る。


君のことも連れ戻してくれたらよかったのに。遠くに揺れる陽炎に君の姿を探していた。

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