第47話 夜、明けないで

恋文を君に書いた。スマホで何でもできる時代にだ。


別に俺の字は綺麗じゃない。だが一番気持ちが伝わると思ったから。


帰りの下駄箱に仕込んだから返事がくるのはきっと明日だ。ワクワクするよりも恐怖が大きかった。


振られる可能性の方が高いからだ。君には俺よりもふさわしいやつがたくさんいるから。


それでも思いを告げずにはいられなかった。やらずに後悔よりもやって後悔しようと。


だけどやって後悔することも同じくらい辛かった。勇気を出して苦しみを買っただけだった。


もうすぐ夜が明ける。どうにかこのままにしてくれないか。


たとえ苦しみであっても。そこには期待があるんだから。

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