第46話 風邪休み

平日の休みは特別だ。だが風邪で休みとなるととても喜べるものではない。


軽度ならいい。存分に遊べる。


だが重度だとそんな元気があるはずもなく。ただ布団を汗で濡らすだけ。


意識が朦朧とする中、君のことを思っていた。俺は親が仕事で家にいないから人恋しかった。


チャイムが鳴った。どきりと胸が跳ねる。


ドアを開くと男の友人がいた。嬉しいはずなのに、どこかがっかりしている自分に嫌になる。


友人は仮病で学校を抜けてきたらしい。馬鹿話をしながら看病してくれた。


聞けば君も風邪をひいているらしい。残念なおそろいだ。


これで付き合ってると勘違いされることを君が嫌ってたら嫌だ。それに看病してあげたいのに、俺も風邪に倒れている。


ぼうっとしていると額にひんやりとした冷たい感触。友人がタオルを絞ってくれたようだった。


得難い友だ。君に今、そういう人が近くにいるだろうか。


友人に電話がかかってくる。相手は君で二人は付き合っているようだった。


完敗すぎて悔しささえ湧いてこない。友人が君より俺を優先したことがほんの少し申し訳なかった。

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