第42話 秒針を止めて

小さい頃に君とお揃いで買った時計がいつの間にか壊れていた。いつ壊れたんだろう。


うんともすんとも言わない。君はまだ同じ時計を持っているだろうか。


あの頃はよく遊んだのにすっかり遊ばなくなった。からかわれるのが嫌だという下らない理由で。


思い出した。この時計、ずっと前に君と遊んでいたときに壊してしまったんだ。


最初は凹んだけど、どうせ見てないからと忘れてしまっていた。あの頃から君が好きだった。


あの頃が恋しい。好きだと無邪気に伝えられたあの頃が。


今ではもう口も利かなくなった。喧嘩したわけでもないのに。


一歩踏み出せば変えられる。その一歩を踏み出せないでいる。


君に話しかける勇気が出るまで、あとどれくらいかかるだろう。時間を止めてくれないか。


時間は戻らない。止まらないことも知っているのに。




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