第5話 海に漂流

違和感を感じながらもどんどん日は過ぎていった。


そんなある日、めずらしく天気があまりよくないと感じた。

なんか、雨が降りそうな感じだ。

わたしは海を見に行くことにした。

浜辺を歩きながら空を見上げていた。

ふと、浜辺にだれかが倒れているのをみた。


え?

ひと?


わたしは恐る恐る近づいた。

すると、男の子が倒れていた。


「大丈夫ですか?」


わたしは声をかけた。


「……ん」

「大丈夫ですか?」


その男の子は目があいた。


「よかったー」


「ここはどこ?」

「ここは……ハピネス島という無人島です」

「無人島?」


男の子は驚いていた。


「ぼくは空を飛んでた。そしたら、急に強い風にあおられて飛ばされた」

「そうなの?」

「そして、携帯をどこかに落としたみたい」

「携帯?」


なんか、こんなイベントもあったようなないような……。

ん……。


「一緒に探して?」

「ん……いいよ」

「浜辺か海の中かもしれない」

「海の中だともぐらないと探せないね」

「うん、これをあげる。だから、海の中も探して?」


男の子はわたしに海の中を探せと言わんばかりに、ウエットスーツをよこした。


「わかった」

「ぼくはエルフ族のリーフィアといいます」

「エルフ族!」


だから、耳がとんがっているんだね~


「リーフィア」

「はい、お願いします」


わたしは、リーフィアの携帯を探すことになってしまった。


テントに戻り、ウエットスーツに着替えた。

そして、海に潜った。


久しぶりの海水浴だ。

とても気持ちがよかった。

天気がよければ、かなり気分もよかっただろう。


とりあえず、リーフィアが倒れていたあたりから探すことにした。

ゲームだとすぐにみつかるが……。

まあ、現実はそんなにすぐに見つかるわけがないよね。

しばらく探したがみつからないので浜辺を探すことにした。


でも、海藻やサンゴを拾うことができた。

次からは腰に網でもつけて海に潜るとしよう。

でも、ウエットスーツが手にはいったのは大きいな。


しばらく浜辺もスコップで掘ってみたりもしたが見つからなかった。

ポツッ!

雨が降り出した。


わたしはリーフィアのところに戻った。


「リーフィア! なかなか見つからない」

「そうか?」


「雨が降ってきたから、続きはあしたね」

「はい、ありがとう」


ふと、リーフィアが気になった。


「リーフィア、今日はどこか寝るところはあるの?」

「ううん、ない」


雨も降ってきたし寝るところもないんじゃ、かわいいそうだな~


「リーフィア、うちでよければくる?」

「いいの?」

「まあ、狭いテントだけど」

「うん」


リーフィアはわたしのテントに泊まった。


それから、何日たっても携帯は見つからなかった。

もう、ずっとリーフィアは一緒に暮らしている。

なんか、弟ができたみたいでうれしかった。


――――


タケとミーリ、ふたりにはしばらく会っていなかった。

でも、橋は着々と進んでいる。

わたしが川に行くと丸太が用意されてあった。

その丸太を紐でくくりつけてくれてあったりもした。

それぞれがきたときに少しずづやっているようだ。

なかなか3人で会うことができなくなっていた。

でも今日、ようやく橋の完成だ。

わたしが最後、紐でくくりつければ完成のはずだ。


わたしはリーフィアと一緒に川にいった。


よ~し、紐でくくりつけるぞー

リーフィアに手伝ってもらい丸太にくくりつけていた。


「しおり!」


わたしを呼ぶ声がした。

振り返ると、タケとミーリがいた。


「タケさん、ミーリさん」

「みんなで会うのは久しぶりだな」

「ふたりも?」

「ああ、久しぶりだ」

「じゃあ、たまたま3人そろったってことですね」

「そうだな」

「そうね」


久しぶりの再会に感動していた。


「ところでその子は?」

「ああ、……話すと長くなりますが……一緒に暮らしています」


海に倒れていたことや携帯をなくして探していることを話た。


ふたりも浜辺を探してくれることになった。


「リーフィアっていいます」

「リーフィアよろしくね」

「うん、よろしく」


「今日は橋が完成するはずです」

「そうだよな」

「よし、あと少しがんばろう」


3人で紐を丸太にくくりつけた。


完成だ!


「よし、みんなでもって向こうにたおそう」


3人でもった。

すごく重い。

リーフィアも手伝うといってきた。


「ぼくも持つ」

「ありがとう、リーフィア」


4人で持った。

さっきよりすごく軽く感じた。


「リーフィア、すごい」


リーフィアは褒められて嬉しそうだ。


橋を向こうにたおせた。

ようやく橋ができた。


「やったー」

「橋の完成だー」

「渡ってみよう」

「うん」


みんなで渡った。

結構頑丈にできているから安全面も大丈夫そうだ。

よかったー


これで移動できる範囲が広がった。

でも、草ぼうぼうだから草むしりからだけどね。

石もいっぱい落ちてるよ。

また、忙しくなりそうだ。


――――


橋ができたあとも、リーフィアと携帯を探した。


わたしは、ウエットスーツに着替えて海に潜った。

天気のいい日の海は最高だ。

海の水も綺麗だから、底までよくみえる。

今日こそ探すことができるかもしれない。


でも、携帯みつかったらリーフィアはいってしまうんだろうな~

そうなると寂しい。

でもリーフィアは早く帰りたいだろう。

複雑な思いで携帯をさがしていた。


すると、海の底に光る何かを発見した。

手にとった。

携帯だ!

あった!


「リーフィア、あった!」

「え? ほんと?」


わたしは急いで陸にあがり手にもっている携帯をリーフィアに見せた。


「これ、ぼくの携帯!」


リーフィアはすごく喜んでいた。


「しおり、ありがとう」

「ううん、よかったね」

「うん」


リーフィアはすぐに携帯を起動した。

つながったようだ。

海の中で何日もたっているのによくつながったな~

しばらくリーフィアは話をしていた。

話が終わったようだ。


「しおり、ぼくすぐにもどる」

「……うん」

「しおり、楽しかった」

「……うん」


そういうとリーフィアは飛び立っていってしまった。


「リーフィアー」


わたしは叫んだ。


リーフィア、わたしも楽しかったよ。

弟ができたみたいでうれしかったよ。

元気でねー

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