第3話 この人たちとこの島で?
商店をでてすぐに、目覚まし時計で今の時間を確認した。
13時だった。
太陽の位置を確認しようと空を見たが、どこにも太陽が見つからない。
天気が悪いわけでもないのに太陽が出ていないのだ。光は感じるのにどういうことなんだろう。
やはり普通の無人島ではないようだ。
ふと、タケのことを思った。
そういえば、タケさんは無人島に来た日以来見かけないけど、何してるのかな~
たまたまわたしが会っていないだけなのかな~
タケの様子を見に行くことにした。
タケのテントについたので声をかけた。
「タケさん、いますか?」
「……」
返事がありません。
テントにいないってことはどこかで依頼をしているか島の探索をしているかだろうと思っていた。
そのうち会えるからいっか。
テントに戻りながら落ちているサクランボを拾った。
このサクランボを使って試したいことがあったのだ。
テントに戻るとテント近くに手で穴を掘り、拾ってきたサクランボを地面に植えた。
ゲームなら明日には目が出て明後日には木が大きくなり、明々後日にはサクランボがなっているはずだ。
ついでに自分のテント周りの雑草を抜いて綺麗にしようと思った。しばらく、雑草取りをしているとたえさんが来ました。
「しおりさん、島を綺麗にしてくれてありがとうございます。お礼にこのスコップをさしあげます」
たえさんは、スコップをくれた。
商店で売りに出ていたら買おうと思っていたからちょうどよかった。
「たえさん、ありがとうございます」
「いえ。しおりさん、この島は慣れましたか?」
「まだ、慣れていませんが少しずつ住みやすくしていきたいと思います」
「そうですね。しおりさんならできますよ」
タケのことを聞いてみようと思った。
「あの~たえさん、タケさんはどうしているのでしょうか?」
「タケさんは初日以来みていません」
「えっ? そうなんですか?」
「はい」
「今日、タケさんのテントまで様子を見にいって声をかけてみたんですけど、いなかったようですが大丈夫なんでしょうか」
「テントで寝ていたのかもしれませんね。ずっと眠りについてしまう方もいらっしゃるのでタケさんも寝ていらっしゃるのでしょう」
「そうなんでしょうか……」
「そんなに心配なさることはないと思いますよ」
「わかりました」
たえは役場に戻っていった。
タケさんは少なくとも3日は寝ていることになるよな~
考えてもわからない。
この島でタケとミーリは一緒に暮らしていかなくてはならない仲間なのだから少しは協力した方がいいのではないかと思っていた。
明日にでもミーリに相談しようと思っていた。
疲れて眠りについた。
――――
次に目が覚めたのは、次の日の12時だった。
わたし、最近よく寝るわ。
知らないうちに寝てしまうし、なんでだろう~。
とにかく今日は、依頼をこなしてミーリさんのところに行き相談してみようと思っていた。
いつものように役場に向かった。
すると、ちょうどミーリさんがいたので話しかけた。
「ミーリさん、おはようございます」
「おはよう、しおり」
「ミーリさん、今日の依頼やってたんですか?」
「ええ、でも雑草をとるなんて面倒でやめようかなって思っていたところ」
「えっ? やった方がいいと思いますよ。依頼をこなしていったほうが何かと便利なものをくれたりあとあと役に立つと思いますけど……」
「そうなの? じゃあ、やろうかな」
「あたしも今から依頼やるので、終わったら手伝いますから……」
「え~ありがたい~」
「じゃあ、今日の依頼やってきます」
ケンチ―にはなしかけた。
「ケンチ―さん、おはようございます」
「おはようございます、しおりさん。今日の依頼は虫を5匹とってきてください」
「でも、わたし虫取り網もっていません」
「はい、知っています。ですので、この間とってきてくれた枝とこの紐で、虫取り網を作ってもらいます。教えますのでこちらにきてください」
ついていくと、役場の隣に小さな工房がありここでつくるようだ。
「では、こちらの台を使ってください。枝をこのようにつなぎ合わせて紐で結びます」
まずは、枝を丸めて紐で結んで形にするんだね。
持ち手の部分を長めにっと。
「そして紐で編んで袋状にします」
なるほど。
「そしたら、袋状になった網をさっき作った枝に結びます」
ケンチーは手順を見せながら教えてくれた。
わぁ!
虫取り網は出来上がった。
「しおりさん、上手にできましたね。もし壊れてしまったらこちらの工房はいつでも使っていいので作り直してください」
「すごい、わたし。虫取り網つくちゃった」
「では、この虫取り網をつかって虫を5匹とってきてください。こちらの虫かごを差し上げます」
ケンチ―はそういうと役場に戻っていってしまった。
ゲームとは違ってすべて自分で作らないといけないのだと思った。
さそっく、虫取り網ともらった虫かごをもって虫を探しに出かけました。
草の近くにバッタを発見、少し大きめの石をどけるとダンゴムシを発見、お花の近くにはちょうちょ。
あっという間に5匹を捕まえ役場にもどった。
「ケンチ―さん、虫5匹もってきました」
「早いですね。はい、確かに5匹もらいます。では、2500PINと交換です」
「わ~ありがとうございます」
「こちらからの依頼はこれで最後となります。何かわからないことがあったら何でも聞いてください。いつも役場にいますので……」
ケンチ―はそういうと役場の中に入ってしまった。
依頼が完全に終わった。
ミーリのお手伝いに向かった。
「ミーリさん、雑草はとれましたか?」
「うん、これだけ」
こんなに時間があったのにこれだけなのかと思った。
わたしがとった雑草をあげます。
ミーリは喜んで依頼が終わったと報告しにいった。
「しおり、ありがとう。おかげで、今日の依頼はおわったよ」
「なら、よかったです。それで、ミーリさんに相談があって……」
「なに?」
「タケさんの姿を見ないんですけど会いましたか?」
「全然見てないね」
「たえさんに聞いたら、ずっと寝ているんではないかと」
「4日も?」
「そうですよね、おかしいですよね」
「でも、あたしも気づくと1日たってたことあったわ~」
「あっ、わたしもありました。寝すぎだろってくらい寝ちゃうときがあるんですよね」
「で、タケさんのことも心配なんですがせっかくこの島に一緒に暮らすことになったんですから3人で協力しませんかという話です」
「わたしは今日みたいに、助かるんなら協力してもいいよ」
「じゃあ、一緒にタケさんのところにいって様子をみてきましょうよ」
「面倒だけど、しょうがないか」
2人はタケのテントに向かった。
テントにつくと声をかけてみた。
やはり応答はなかった。
覗いてみることにした。
するとタケが寝袋の中で寝ていた。
「タケさん、タケさん、起きてください」
しおりは起こしてみた。
ミーリも一緒に起こしてみた。
するとタケに反応があった。
「ん……ん?……なんだ?」
「タケさん」
「ん? ここは?」
「タケさん、無人島ですよ」
「あ~思いだした」
「よかった」
「おまえたち何してるんだ?」
「タケさん、4日もずっと寝ていたんですよ」
「えっー? 4日も?」
「はい、心配になって様子を見にきたんです」
「悪い。なんでそんなにねちゃったんだろう」
「わたしたちも1日寝ちゃったってことはあるんですけど、時間の感覚がおかしくなっているのでしょうか」
「まあ、とにかくありがとう」
「いえ、お互いさまです。3人で助け会いましょう」
「そうだな。これも何かの縁だしな」
3人は助け合うことにした。
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