第12話
12
「この者たちは王国へ連行する。連行途中で非道な行動をする者がいたら処罰する」
エドワードは殺気だっていた。
昔の仲間を捕縛するというのは、エドワードにとっては相当辛いものなのだろう。
「了解です、エドワード殿」
兵士たちは皆、エドワードを恐れて従っていた。
お陰で、連行中に何かされるということはなかった。
ぼく以外は女性だから、そういう心配があったが、エドワードの計らいなのだろう。
連行途中に、魔族が奴隷として売られているシーン、虐待されている姿を見た。
心が痛む。
ぼくが魔王を倒したから。
魔族が酷い目にあっている。
こんなことのために戦ってきたのだろうか。
ぼくは、
これまで何のために、
戦ったのだろう。
ぼくの、勇者としての、存在意義が崩れてきている。
崩れてきている…。
王国の首都はエクセルライドと言う。
国名はエクセルライド市から取られているのだった。
城に到着すると、早速、王と王女に面会となった。
「エドワードよ、ご苦労であった」
王が労いの言葉を掛ける。
「はっ、勿体ないお言葉、痛み入ります」
エドワードは堅苦しい社交辞令を言っている。
「勇者よ、よくぞ戻ってきた」
そして、王はこちらを見て、ニコリともせずに言った。
社交辞令である。
エクセルライド王家は、エルフィンストーン家という。
古来から存在する名家とされる。
魔族が台頭する以前の平和な世の中では一手に王国を引っ張ってきたようだ。
悪く言えばずっと王国を牛耳ってきた家である。
現在の王は、ギルバート・エルフィンストーン。
「折角、戻ってきたところ残念だが、そなたは罪を犯した」
ギルバートは残念そうに頭を振った。
「魔族に助力するとは…」
「魔族に助力したからって何だよ」
剣持がギルバートを睨み付けた。
「そーだそーだ!」
相沢もブーブー文句を言っている。
「なんじゃ、この娘どもは?」
ギルバートは余計な口を挟むな、とばかり顔を背けて、エドワードを見た。
「……その、吸血鬼と獣人のようです」
エドワードは怖ず怖ずと述べる。
「化け物どもめ!」
ギルバートは毒づいて、
「口を聞くのも汚らわしいわ」
「なんだとー!」
「失礼だな!」
「王よ、魔族に対する扱いを改めて下さい」
ぼくは言った。
「私は人々にこのようなことを許すために魔王を討ったのではありません」
「ふむ」
ギルバートは一呼吸置く。
「だが、ワシもすべての民を制御できるわけではないのだ。民の要望を認めてやらねば暴動が起きかねぬ」
「だからといって、王国が魔族狩りを容認するのは間違いです」
ぼくは訴えた。
「確かに魔族は魔王の統治の元、人族と戦いました。ですが、彼らは敗戦したとは言え、不当な扱いを受ける言われはありません」
「理想よの…」
ギルバートは一笑に伏す。
「政治というのはそのような甘い事ではやってゆけぬのだ」
「ですが…!」
「もうよい、そなたは勇者という立場にありながら魔族を助けるという愚行を犯した。これは断罪に値する」
ギルバートは面倒臭そうに手をふり、そして言い渡した。
「勇者よ、これまでの功績に敬意を表し、拷問・尋問の類いは免除する。だが、審問を受け刑に服せ。さすれば仲間の処遇は考えてやらぬこともない」
「……」
ぼくは歯ぎしりした。
「分りました」
結局、受け入れるしかないらしい。
「勇者様、私は幻滅しました」
王女のサラが声を掛けてきた。
「……」
ぼくは返す言葉が見つからない。
「魔族に力を貸すなど、およそ勇者のすることではありません」
サラは続けた。
「うるせー」
「黙れ、スベタ」
『事情も知らぬくせに…』
「いけすかない女!」
相沢たちがブーブー文句を言っている。
「お黙りなさい!」
サラは叫んで、
「人に仇なすなど勇者とその仲間のすることではありません。この者たちを牢へ!」
城の兵士たちへ命じる。
「……」
「さようなら、勇者様」
ぼくが黙っていると、サラは冷たく言い放った。
*
サラ王女には恋慕の情を感じていた事がある。
だが、今はもうそんな気分にはならない。
ぼくたちは牢へ入れられた。
牢と言っても、地下にある囚人用の牢ではなく、城の四隅にある塔だ。
塔には位の高い者を幽閉するための部屋がある。
その部屋に監禁されたという訳だ。
このままでは処刑されるか、暗殺されるかのどちらかだろう。
「おトイレがないよ!」
相沢が叫んだ。
物珍しく部屋を見て回っていたのだが、トイレがないことに気付いたのだった。
「これだよ」
ぼくは壺を差し出す。
高級そうな壺。
蓋がついていて、匂いをある程度カットできる優れものだ。
「衝立がそこにあるだろ、その陰で用を足すんだ」
ぼくが言うと、
「ぎょえー!」
「なんだ、それ!?」
「はあ?!」
相沢、剣持、如月が騒いだ。
『こちらの世界では普通だよ』
タリサだけが落ち着いている。
『一応、毎日取り替えてくれるから』
「マジィ?」
「私にはムリだ…」
「なんてことなの……」
相沢、剣持、如月は頭を抱えている。
『こちらの世界では、まだマシな対応だ。地下牢なんか垂れ流しだし』
「ストップ、ストップ」
「やめろ、生々しい」
「ご先祖様、なんで知ってるの?」
3人は必死に手を振ってタリサの言葉を遮る。
「まあ、普通よりマシな待遇なんだよ」
ぼくはため息をつく。
「あちらの世界の衛生環境が良すぎるんだ」
「だからって、受け入れられるもんじゃないよ」
「そーだ、そーだ」
「これは早急に脱出する必要があるね!」
3人は妙なテンションになっている。
「ご先祖様、早く逃げましょう」
『分った』
如月が言うと、タリサはうなずいた。
『……移動魔法は封じられている』
タリサは何やら呪文を唱えていたが、やがて言った。
「なんだってー!?」
「じゃあ、物理で」
「殴って脱出すりゅ」
「だから、ネタを散りばめなきゃしゃべれないんかい」
ぼくは3人に向かってツッコミを入れる。
脱出計画はこうだ。
・相沢と剣持が扉を破る。
・皆で城から出る。
単純だ。
……こんなので上手くいくんかな?
「うっほい!」
「おりゃあ!」
ドガッ
相沢と剣持が扉を殴って壊した。
「さ、いくよ!」
「お、おう」
ぼくは皆の後を着いていった。
兵士たちに見つかっても、相沢と剣持は持ち前の腕力で殴って倒していった。
吸血鬼も獣人も、消耗戦には弱いが、勢いをもって敵を突破するのには向いている。
城中が騒ぎ出す頃には城門までたどり着いていた。
「待て」
しかし城門に居たのはエドワードである。
「ちっ、ここまで来て…」
ぼくは舌打ちした。
装備はすべて取り上げられている。
ここで戦っても勝ち目はない。
そこに割って入ったのはタリサだった。
『エドワード、なぜ王に忠義を尽くす?』
タリサが聞いた。
「なにを訳の分らないことを言っている? 王に忠誠心を見せるのは将として当たり前のことだ」
エドワードは言った。
が、その表情には陰りがある。
「何か、隠してるな、エドワード」
ぼくはピンときた。
「……」
エドワードは答えなかった。
『エドワード、噂は聞いている』
タリサが何やら言うと、
「……」
エドワードは答えないものの、表情が一変した。
『エドワード、私たちと一緒に来ないか?』
タリサは言った。
「……いや、ダメだ」
エドワードは頭を振る。
『王国に忠義を尽くしても、その結果はどうだ?』
タリサは早口にしゃべっている。
時間がないのだ。
『皆、あんたを利用するだけだぞ? そんなヤツらに義理立てしても…』
「言うな!」
エドワードは苦しそうな表情。
ドカドカドカ。
足音が響いてきた。
城の兵士が追ってきているのだ。
「……」
エドワードは一瞬だけ固まった。
「行け」
そして、諦めた様子で言った。
『エドワード、一緒に行こう』
タリサはもう一度誘った。
が、
「いや、オレはいけない」
エドワードは頭を振った。
「早く行け! オレの気が変わらないうちに!」
「すまん」
ぼくはエドワードに言った。
「いいさ、今回だけ特別だ」
エドワードは笑った。
寂しげだが、ぼくの記憶の中にある笑顔だった。
*
城門を抜けて、市街地を走る。
市には城壁がない。
街を走り抜けたら、逃げおおせることができた。
まあ、野宿ということだが。
「タリサ、エドワードに言ってたことなんだが…」
ぼくは気になったことを聞いてみた。
『噂、だね?』
途端に、タリサの表情が暗くなる。
『私たちが王国に帰った後、エドワードは貴族の娘と結婚した。最初は幸せな生活を送ったようだが、エドワードがローウェルに転勤になった時からある噂が流れたんだ』
「どんな?」
『奥さんが浮気している、という噂だ』
「えっ!?」
ぼくは言葉を失っていた。
『奥さんはエドワードに着いていかなかった。その時点でおかしいことは分るだろ? まあ、辺境のローウェルなんかに行きたくない訳だ。貴族なんてそんなもんだ』
「なんてことだ。だが、事を明らかにして正せばいいだろう?」
『エドワードは貴族出身じゃない。立場的には弱いんだ』
タリサは言った。
『エドワードは、王に忠義を尽くすことで己を保っていたんだろう』
「……クソッ」
ぼくはその辺に生えていた木を殴った。
拳がジーンと痛んだ。
逃げおおせたとはいえ、すぐに追っ手が来るだろう。
いつまでもこの辺には居られない。
エドワードを救えなかったのは辛い。
今頃、どんな責めを負っているだろうか。
ずん。
と、ぼくの背に重くのしかかってくるようだ。
「エドワードさんのことは気の毒でしたが、今は我が身のことを考えるべきですよ」
如月が声を掛けてきた。
よほど、酷い様子だったのだろう。
気付くと、皆、ぼくの様子を心配していた。
……いかん、今はこの娘たちを守らないと。
ぼくは頬を叩いて、気を入れ直した。
「すまない、少し気が滅入っていて…」
「いいよ、辛い体験だったよね」
相沢が言った。
「私でよければ胸を貸すよ?」
剣持がちょっと赤面しつつ言った。
「は? どこにそんな胸が?」
「なんだと!?」
相沢と剣持は睨み合った。
「はいはい、ケンカしてる場合じゃないよ」
如月が間に入った。
「はやく逃げないと追っ手に捕まっちゃうんだからね」
『如月の言う通りだ』
タリサがうなずいている。
魔王討伐という極限状態を経験しているためか、冷静である。
ぼくたちは、エクセルライド周辺からローウェルを目指して移動した。
隠れて移動するため、ほぼすべて野宿である。
時々水浴びするだけなので、身体も臭くなっている。
臭いはすぐに慣れて気にならなくなったが。
「あー、早くお風呂に入りたい」
如月が文句を言っている。
『ふ……私は風呂に入らずとも臭わない』
タリサが勝ち誇っている。
リッチであるタリサは食べ物も風呂も必要ない。
便利な身体だ。
自分がなろうとは思わないけど。
「何を競ってるんだ?」
ぼくは一応、ツッコミを入れた。
「ローウェルの近くまで来たから、そろそろゲートだぞ」
ぼくはそう言って、自分を奮い立たせた。
そうでもしないと自分がダメになりそうなのである。
「おじいちゃん、上手く逃げれたかな?」
相沢が心配そうに言った。
おじいちゃん子の相沢のことだから、その心情は心配なんてもんじゃ表せないのだろうな。
だが、そんな素振りは見せない。
……強いな。
それに対して、ぼくはどうだ。
もっと強くならなければ。
そんなことを考えて、ゲートへ向かっていると、
タタタン。
銃声らしき音が聞こえてきた。
「銃声だよ!」
相沢が叫んだ。
この世界で銃を持っているのはビルトールさんたちだけだ。
ということは、銃を使わざるを得ない状況にあるのだ。
「急ごう!」
「うん」
ぼくたちは先を急いだ。
*
ゲートの付近まで戻ってきた。
銃声は引き続き聞こえてくる。
銃弾の予備をどれだけ持ってきているか分らないが、戦い続けたらいずれ弾薬がなくなってしまうだろう。
「いた!」
ぼくは小声で言った。
視認できる距離まで来た。
ビクトールさんたちは障害物の陰に隠れて銃撃をしている。
相手は……。
「僧侶!?」
相手は、僧侶が率いる神聖騎士団だった。
神聖騎士団は銃弾を喰らっても、魔法で回復してドンドン向かってくる。
ビクトールさんたちは徐々に撤退していっている。
「くそっ」
「切りがねえ!」
ニードル、ヤマブキが毒づいている。
さらに神聖騎士団は魔法を使ってきた。
「ホーリー・ウォール!」
神聖属性の壁が発生した。
それも、ビクトールさんたちの背後にである。
一枚、二枚、三枚……とドンドン増えてゆく。
退路を断っているのだ。
「クソ、なんかできたぞ!?」
ヤマブキが叫んだ。
「マズい!」
「援護するよ!」
相沢と剣持が走って行った。
「ご先祖様、私たちも……」
『……分った』
如月が言うと、タリサは少し躊躇してからうなずいた。
僧侶。
トラビス・ウィンバリー。
下級貴族の出の僧侶は、元々気位が高かった。
それでも魔王討伐の旅では打ち解け、友人と呼べる関係だった。
ぼくはもちろん、エドワード、タリサ、ミリアとも良好な関係だった。
それが、今では敵の将だ。
「クソッ…」
ぼくは新調した剣と盾を構えた。
鎧も今までの物とまではいかないが、それなりの品質の物を買った。
「光よ!」
武器をエンチャントして、剣を振るう。
たちまち、1人、2人と神聖騎士を昏倒させてゆく。
「勇者だ!」
「押し包め!」
神聖騎士はざわめいたが、すぐに体勢を整える。
向こうでは相沢、剣持、タリサ、如月が戦っている。
「ライデン!」
ぼくは電撃の魔法を使った。
金属鎧を着ている戦士系の敵にはよく効く魔法だ。
「ぐええ!?」
「ぎゃあ!?」
神聖騎士たちは電撃にしびれて動けなくなる。
「アルフレッド…」
そこへトラビスが声を掛けてくる。
「トラビス…」
「なぜ魔族に肩入れする?」
トラビスは聞いた。
「ぼくらは魔族から人を救うために戦ったのに」
「魔族と戦ったからこそだ」
ぼくは言った。
「彼らとは誇りと信念をかけて戦った。なのに、王国は魔族を奴隷として狩っている」
「……それは、そういう面はあるかもしれない」
トラビスは少し目を伏せた。
「魔族だからといって、そんな扱いをしてよいハズがない」
「しかし、世の中というのはそういう面も含んでいるだろ?」
「どうしちまったんだ、トラビス」
ぼくは頭を振った。
「ぼくたちは魔族と真正面から戦った。全力で戦った。魔族を奴隷にするなんてのは、その戦いを穢されているも同然だ」
「……」
トラビスは否定できなかった。
心の中では、同じ思いなのだろう。
「だが、ぼくは神殿の意思には逆らえないんだ」
トラビスは苦しそうに、言い訳した。
「ぼくは魔王討伐の後、王国に戻って思い知ったよ。魔族との戦闘での経験なんか役に立たないってね。世渡りが大事なんだ。僧侶なんてのは神殿の決定に従わなければ、まともな人生は送れないんだ」
「……可哀想に、苦労したんだな」
ぼくは同情した。
エドワードといい、トラビスといい、一体何のために魔王を倒したのか。
英雄であるはずのぼくたちは、その後の生活では不幸になっている。
「そうだよ、ぼくは苦労したんだ」
トラビスは目を見開いた。
メイスと盾を取り出している。
「ぼくたちは何のために魔王を倒したんだ!?」
そしてメイスを振るってきた。
ぼくは盾を構えてそれを防いだ。
「答えろ! 答えろよ!」
メイスをメチャクチャに振って、トラビスは喚いた。
「うう…」
トラビスは泣いていた。
「ぼくらは何のために、何がしたかったんだ……」
メイスを投げ捨て、トラビスは膝からくずおれた。
「トラビス…」
ぼくは掛ける言葉が見つからなかった。
「すまない、ぼくが異世界に吸い込まれたばっかりに…」
「……」
「君らを支えることができなかった」
ぼくはうなだれた。
「エドワードも君も不幸にしてしまった」
「トラビス殿!」
神聖騎士が声を掛けながら駆け寄ってくる。
「お気を確かに!」
「コルドー…」
トラビスが顔を上げた。
「このような者の言うことなど聞いてはなりませぬ!」
ゴルドーと呼ばれた神聖騎士は、ぼくを睨み付けてきた。
「魔族を退治するのは我らの使命ですぞ」
「……」
トラビスはゴルドーの声に耳を傾けている。
「そ、そうだよね、そうだよね?」
……な、なんだ!?
ぼくは背筋が凍り付く思いだった。
なにが起きているんだ!?
「魔族なんか、殺してもいいよね?」
「もちろんですぞ、魔族をこの世から一掃するのが我々、神聖騎士団の務め」
「魔族に肩入れするヤツらも、殺していいよね?」
「もちろんですぞ、そのような者は一掃するのが我々、神聖騎士団の務め」
「さあ、このような裏切り者など倒してしまいましょう!」
「うはぁッ! やるぞー!!!」
トラビスは引きつった笑顔を見せた。
再びメイスを手に取る。
……な、なんなんだ!?
ぼくは思わず身構えた。
「わたしも加勢しますぞ!」
「うはおk」
ゴルドーとトラビスは並んで向かってくる。
「死ねぇ!」
トラビスはおかしくなっていた。
2人のメイスを盾で捌く。
「くっ、トラビス、目を覚ませ!」
ぼくは言ったが、トラビスには届いていない様子だった。
「はははは!」
トラビスはやはりメイスをメチャクチャに振るってきた。
「神はぼくを許してくれる! 許してくれるんだ!」
「もちろんですぞ、魔族を殲滅するのは神の御意志ですぞ」
ゴルドーが傍らでささやく。
まるで悪魔のささやきだ。
「くそっ、ライデン!」
ぼくはもう一度、電撃を使った。
「それはさっきみたよ!」
トラビスは魔法防御を掛けていたようだった。
電撃の魔法は見えない壁に阻まれてしまった。
ゴルドーには魔法防御が掛けられていなかったらしく、
「ぐぉっ!?」
電撃を喰らって昏倒した。
「ホーリー・ブラスト!」
トラビスは魔法を使ってきた。
聖なる力を固めて撃つ攻撃魔法だ。
ガァン!
不可視の力の塊が、ぼくの盾を吹き飛ばした。
「アルフレッド、君とはサヨナラだ」
トラビスは言って、狙い澄ました一撃を打ち込んできた。
「チッ…」
ぼくは身体を動かして、鎧の厚い部分でメイスを受ける。
「あ…」
トラビスは小さく呻いた。
その瞬間、ぼくの手がトラビスの股下に差し込まれる。
反対側の剣を握る手は、トラビスの喉元へ押しつけている。
片足を持って剣を持つ手で喉元を押すと、トラビスはステンと後ろへ倒れた。
地面に後頭部を打って、気絶した。
「……」
ぼくはトラビスが起き上がってこないのを確認して、相沢たちを加勢しに行った。
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