第15話 ユーミ、GOサインを出す
15.ユーミ、GOサインを出す
そんなこんなで話が決まる訳もなく、結論が出ないまま解散。
会議の悪い見本みたいなものである。
「これじゃ、ダメですよ。何も決まってません」
オルドスは頭を振ると、
「まあまあ、そう結論を急ぐものでもないよ」
デンドロニウムはなだめるように言った。
「ユーミ様は一見、何も考えてなさそうだが…」
「なんも考えてないですよ、アレは」
オルドスは上司の言葉を遮るように断言。
「そう言うな」
デンドロニウムは少し困ったような顔をした。
「アレでも、ユーミ様は良いアイディアをお持ちなんだ。ま、毎回出てくるものでもないがね」
「では、デンドロニウム様は良いアイディアが出るまで待ってると?」
「うん、まあそういうことになるかな」
デンドロニウムは、うーんと考え込むようにして、言う。
「アイディアというのはそういうもの。辛抱強く待つことも必要だ」
「ふーん、そんなものですかねぇ……」
オルドスは半信半疑。
「オルドス、君は優秀だが、少し杓子定規でせっかちな所がある。
ほんの少しだけでも寛容さを身につけるべきだな」
デンドロニウムは上司っぽい言動。
いつになく真面目な表情だ。
*
「ユーミ様、あたし、どこで仕事すればいいですかぁー?」
リンがやってきて、聞いた。
頭が足りない感がハンパない。
「え? あー、そういやー、何も考えてなかったー」
ユーミは半口開けて笑う。
バカである。
そのせいで、リンはユーミ付きの秘書官扱いになっていたりする。
「とりま武術の腕前を生かして武官とか?」
「あー、お父様の部所ですかー」
リンは不満そうである。
あと、カイナスも同じ部所である。
「じゃ、このままアーシの護衛ってことでいいかー」
「はーい」
ということで、リンはユーミの秘書兼護衛ということで落ち着いた。
「では、早速、会議を始めましょう」
デンドロニウムが言った。
お茶とお菓子が振る舞われており、和気藹々としている。
(議題、『人間を衰退させる』なんですけどね…)
オルドスは複雑な顔をしている。
今にも頭を抱えそうな感じだ。
今回はあまり主張せずに見ているつもりだったが……
ユーミ「はあ、最近つまんね」
リン「なんかー、面白いことやりたいですねー」
ユーミ「デンドロニウム、なんか面白いことない?」
デンドロニウム「そうですねぇ、今、エレキの新しい使い道を模索してまして…」
議題と関係ない事をダラダラしゃべっている。
何なら、このまま終わりそうである。
「あのー、人間を衰退させるアイディア、いいですか?」
オルドスは結局、提案することにした。
いや、提案せざるを得ないのだった。
「はい、オルドス君」
ユーミが言った。
「勇者たちを仲間割れさせたらいいと思います」
オルドスは案を述べた。
思いつきであったが、他の案は既に流されてしまっている。
「うーん、どうやって?」
ユーミは聞いた。
否定も流されもしない、
ということは興味を持ってるのかもしれない。
「ああいう連中は金目当てです。まあ、一応、調査は必要ではありますが」
「なるほど、報酬の分け前で仲間割れさせることもできそうだな」
デンドロニウムがオルドス案を補強した。
超絶理解を発揮している。
「ふーん、面白そうだね」
ユーミは言った。
「仕掛けて見ればいいと思います」
オルドスは更に提案した。
「ふむ、我らに組みする人間どもを使って依頼をしてみましょうか?」
デンドロニウムがユーミを見た。
吸血鬼であるデンドロニウムは、その能力を行使して人間を使役することができる。
また吸血鬼の能力の恩恵にあやかろうとする人間はいつの時代にもいる。
こうした人間を使うことで、吸血鬼の活動しにくい場所で活動を可能にする。
情報収集や工作などを行ったりする。
「いいじゃん、いいじゃん」
ユーミは乗り気である。
初めてのことだ。
(おお、やっと採用された!)
オルドスは内心、感激していたが、顔には出さない。
「ニセの依頼をして、報酬をたんまり出す。ヤツらは分け前で揉める、という寸法ですね」
デンドロニウムは話を続けた。
「でもー、ちゃんと等分しちゃったらー?」
リンが言った。
「等分しないようにしましょう」
「宝石とか分けにくいものにすれば良いんじゃないですかね」
デンドロニウムとオルドスはテンポよく話を進める。
「おk、それでやってみて」
ユーミはGOサインを出した。
アーシ、魔王に転生しちゃいましたw @OGANAO
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