第14話 ユーミ、人間たちを自滅させる計画会議を発足する
14.ユーミ、人間たちを自滅させる計画会議を発足する
とりあえず「人間たちを自滅させる計画」が発足した。
ユーミと研究室の2人、それとヒマなリンがメンバーである。
「じゃあ、どうしたら人間たちを自滅させられるか」
ユーミが言った。
自分で考える気が皆無である。
「あーねー、食べ物をなくせばいいと思いまーす」
リンが意見を延べた。
「おお、いいね、いいね」
ユーミは喜んでいる。
「どうやって?」
オルドスがツッコんだ。
「んー、燃やす?」
「じゃ、穀物倉庫を燃やして回ります?」
リンが答えると、デンドロニウムは火の魔法を出してみせる。
「穀物倉庫、どんだけあると思ってるんですか?」
オルドスがジト目で2人を見てる。
「一つ一つ燃やせばいいじゃん」
ユーミは何も考えていない。
「すぐ勇者とか軍隊とかが来て戦になりますよ。まあ、戦も良いですけど、相手の資源を浪費させる事が出来ますからね」
オルドスはジト目のまま。
元々、冷徹な感じの性格らしい。
「んー、それだとこちらもかなりの資源を使わないといけないですね。
まあ、体力勝負になっちゃいますね」
デンドロニウムが引き継いで解説する。
「どっちが先に倒れるかってヤツですね」
オルドスが肩をすくめる。
「えー、そんな泥臭いのヤダー」
「ですよねー」
ユーミとリンが白けた感じの目付きで、デンドロニウムとオルドスを見た。
「じゃあ、どうします?」
「うーん、なんか他に案あります?」
デンドロニウムとオルドスはユーミを見返す。
「んー、リンなんかある?」
ユーミは隣にいる中華娘に振った。
やはり何も考えてない。
「そーですねー、うーんと、水攻めとか?」
リンは適当だった。
「食糧を水浸しにするってこと?」
ユーミはワンパターンだ。
「なんでまた食糧なんですか?」
オルドスがコメカミを押えて言ったが、
「じゃあ、雨雲で水没させちゃいます? モグアマモグアマー」
デンドロニウムはノリノリで雨雲召喚の魔法を唱えている。
「いや、折角水攻めなんですから、町一つ、城一つとかを水没させましょうよ」
オルドスが主張したが、
「えー、ヒドくね、それ」
ユーミは引いている。
「いや、人間を衰退させる計画ですよね?」
「あ、まー、そーだけどぉ」
ユーミはモゴモゴしゃべっている。
「なんかぁ、あんまやりすぎてもねぇー」
「あー、ですよねー」
ユーミとリンは顔を見合わせている。
(……あれ、この2人が決定権持ってる?)
オルドスはここで気付いた。
「そうですよ、我々魔族は何でもやっていい訳ではありませんからね」
デンドロニウムが訳知り顔で言った。
「いや、手段を選ばないから魔族なんじゃ…」
「……」
「……」
オルドスが言ったが、それは黙殺された。
「というか、我々魔族は結構、約束事というか形式にこだわるところがありまして」
デンドロニウムは、どこからか引っ張り出した黒板にチョークで文字を書き始める。
「例えば、勇者に対しては1人ずつ挑むとか」
「あー、魔王は最後だとか?」
デンドロニウムとオルドスは顔を見合わせた。
「あー、あと、敵味方で恋に落ちたりとかー?」
「おー、そうそう、そういうヤツ」
リンとユーミも顔を見合わせる。
「なんか主旨が変わってません?」
オルドスが言ったが、
「好きになった相手が敵だった。悩む主人公、非情にも戦いは激化してゆく」
「うにゅー、いいですねぇー」
やはり無視された。
「……」
オルドスは無言になる。
ストレスを感じる。
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