第14話 フルールとカルラのお話(sideフルール)


 寝たらすっきりしたので、お手洗いに行き、果実水を取りに行こうとすると、カルラ様が飛んできている様子が見えた。そのため、私は迎え入れる準備をした。



『フルールちゃん、久しぶり~!』


「カルラ様、久しぶりです。今日はどのようなご用件で来たんですか?」


『その子が、ルジェの嫁か?』


「えっと……?」


『私たちの兄のテイガーよ。全然撒けなかったのよ。今日は、ルジェと一緒に飲むと言ってきかなくてね……。迷惑かけたら、殴り飛ばしてでも連れ帰るから、安心してくれるといいわ』


『俺、お酒飲みすぎないようにしようっと……』


「テイガー様ですね。お酒は私飲まないので、飲みたいなら心行くまでどうぞ」


『おっ!ありがたいね。俺はがぶがぶ飲めるからたくさん飲めるとなると嬉しい_』


『お兄?今はルジェも結婚しているから、飲みすぎたら、分かっているわよね?』


『何か騒がしいと思ったら、カルラと兄上。朝っぱらから、何の用だ?』


『おっ、ルジェだ。今もそんな感じの口調なんだな。もうその口調は古臭いんだがな』


『兄上、酒は無しの方針でいいな?』


『悪かった、悪かったから!それだけはぁぁ!』


『自業自得ね』


「あ、あはは……」



 そんな会話をした後、私たちの住処にカルラ様とテイガー様を案内した。なぜ、テイガー様が来たのかは判明したが、カルラ様が来た理由は判明しなかった。疑問に思っていると、顔に出ていたのか、カルラ様が答えた。



『私は、ルジェの最近の様子を聞きに来たのよ。何でも、金耳赤兎族の王国の後ろ盾になったって聞いたからね』


「情報が早いですね」


『ってことは、本当なのね。私もたまたま他国にいた時にニュースを聞いただけだから、本当なのかルジェに確認を取ろうと思ったのよ』


「そうなのですね」


『え?ルジェ、金耳赤兎族って、奥さん人間っぽいけれど?』


『そうなのよね、私も人間だと思ったのよね』


「えっと、金耳赤兎族です。私は、人間によく間違われやすいですけれど、ウサギの姿にもなれるんですよ」


『確かに、フルールは金耳赤兎族の国に向かった際も人間に近く見えたがな。金耳赤兎族の国に入ると、確かにウサギの耳としっぽが生えていたぞ』


「母国は、金耳赤兎族かどうかを判別できる結界が張られているんですよ。そのため、人間や竜など他の種族は判別しやすいです。さらに、客人か、盗人かを判断する結界を張っています」


『だから、門番がいる割にすんなり通れたのか』


「そうなんですよ」


『ルジェ、フルールちゃんと話してもいい?今まで私が知らなかった国があるなら知りたいわ』


『フルールが嫌がらないならいいぞ』


「カルラ様大丈夫ですよ」


『ありがとう、フルールちゃん!』


『じゃあ、俺たちは飲むぞ、ルジェ』


『ほどほどにな』



 こうして、私とカルラ様は、私の母国について話した。カルラ様は、私の話を興味深そうに聞いてくれた。そして、カルラ様は聞きたい事を聞き終えたのか、満足そうな顔になった。



『ありがとうね!まるで先進国のようね』


「そうですね、先進国になろうとして頑張ったというよりは、先進国の一員になった感じですね」


『……。ねえ、金耳赤兎族って寿命はどうなの?』


「寿命ですか……。最近は竜と比べてそんなに変わりないくらいなら生きれますが、どうかしましたか?」


『じゃあ、ルジェをよろしくね。もしかしたら、あなたの方が長く生きるかもしれないけれど……それでも、生きれるんだったら、ルジェを寂しく感じさせたくないから……』


「あ……。そうですね……。私が人間だったら、ルジェ様が寂しく感じるかもしれないですよね……」


『でも、あなたは人間じゃないってわかって安心したよ。これからもルジェをよろしくね』


「はい!」



 ルジェ様を幸せにしたい。そのため、私はできるだけ長く生きようと思ったのだった。

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災害竜のお姫様 月桜 兎 @784136

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