第10話 竜の逆襲(前編)
ラファダール国。それは、
「父上、いつになったらシュファちゃんのもとへ行けるの?もう、合意を得なくていいから、結婚しようよ」
「お前はそれでいいかもしれないが、こっちが良くないんだよ。資源が得られる許可がないと、自由に動けない」
「大人って面倒だね」
「お前も、もう我が国では成人してるだろうが」
「ともかく、俺は金耳赤兎族の国に行きたいの!それで俺が1番頂点に立つから、俺が1番すごいって証明したいの!」
「まあ、落ち着け。そんなに早く行った所で何もないだろう。ただ、そうだな……。いざとなったら、向こうに不利な状況で面会をさせるか」
「どういうこと?」
「洗脳するんだよ。その状態で、面会を開催したら、相手の許可は得たことになる」
「そういえば、父上洗脳士がいたな。俺にも頼めばつけてくれる?」
「別にいいが、何故だ?」
「俺の命令に従わないやつを従わせるんだよ!俺が国王だから別にいいだろ!」
「まあ、それくらいなら大丈夫だ。私もそうやってきたからな」
「やった!にしても、あの子、帰ってきたかな?」
「どんなやつなんだ?」
おおよそ王族とは思えない粗暴な口調で喋っているのは、この国の王と王太子だ。普通の一般市民より粗暴な事で有名な国の貴族の頂点なので、仕方がない。
ラファダール国は今腐っている。なぜなら、本来ならとめる役割の王妃がいないからだ。王妃は5年前に事故で亡くなった。それから国王と王太子は歯止めがいなくなったため、好き勝手に暴れている。そのため、市民は、「王妃様が亡くなってから国王は変わられた」と思うようになった。
しかし、国王は王太子含め、他の誰にも言っていない事がある。実は王妃の事故は、国王が引き起こしたものだったのだ。そのため、国民は国王の自作自演という事を知っている人は、国王と実行者しかいない。
おおっと。話が脱線してしまった。国王と王太子の会話の続きを見ていこう。
「俺は、お気に入りのやつがいたんだ。けれども、そいつは、国から抜けでたって言うじゃあないか!」
「そいつもお前の魅力に気がついてないのか……。おかしなやつだな、そいつは」
「分かってくれるのか!さすが父上だ。そいつの名前はフルールって言うんだけど、俺から逃げるとはいい度胸をしているよな!」
「そうだな!そんなやつはお前が分からせてこい。まあ、道具の様に扱ったら、そいつも、お前の良さがわかるだろ」
「さすが父上。よくわかっておりますね」
2人は、そんな邪道な会話をしている場合ではなかった。まさか、国民がこの間に大移動を始めているとは思わなかった。そして、そんな会話を竜が聞いていた。これが、ラファダール国の決定的な滅びた理由と言えるだろう。
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