第6話 カルラとルジェの昔話
あれからしばらくして、フルールは起き上がった。起き上がらなかったらどうしようと思っていたので、ほっとした。
「フルール、無事か?」
「あれ、ルジェ様私はいつから倒れていました?どのくらい経ちましたか?カルラ様は?」
「それだけ喋れたら大丈夫そうだな。フルールは30分くらい倒れていたぞ。カルラは、我に任せて帰っていった」
「そうですか……。というか、ルジェ様!カルラ様ってルジェ様のお姉様ってどういうことですか?」
「む。確かにその事は説明していなかったな」
「説明をしていないだけじゃなくて、カルラ様とルジェ様の態度から友達かと思っていました」
「なるほど。確かに昔は姉上と呼んでいたな。しかし、時が経つにつれ、カルラ呼びが定着したな」
「何があったのですか?」
「まぁ、語ると長くなるが、語るとしよう」
我は昔話をフルールにすることにした。カルラとの関係性は我の話にも関わってくる話だからな。
我の家族構成は、父上、母上、兄上、カルラ、そして我となっている。長寿のドラゴン族だから、周りから兄弟が多いのは珍しいと散々言われてきた。
我の家族は、ドラゴン族では大家族だった。まぁ、父上と母上の仲がとても良いため、もっと子供が欲しかったらしいが。
なぜ、我はカルラを姉上と呼ばなくなったか。カルラとの間に溝が出来た、そう思っているから、姉上呼びができなくなった。
我は、人間で言うところの反抗期という時期に入った。後から思い返すのが恥ずかしいが、我の反抗期は相当激しかった。特にカルラにはきつく当たってしまった。
それでも我はどうしようもできず、カルラを傷つけてばかりだった。そんなある日、我とカルラで祭りに出かけた。我は嫌だったのだが、カルラは何とも思っていなさそうだった。
そんな時に事件が起きた。酒を飲んで暴れているドラゴンが出現した。やがて、そいつは自分でもコントロールが効かなくなったのか、叫びながら、酒を他のドラゴンに呑ませようとした。
しかし、酒を勧められたドラゴンは、断った。そのドラゴンは未成年だったからだ。しかし、酒をおすすめしていたドラゴンは、手に持っていた、酒が入った瓶を我に向かって投げた。
しかし、我に瓶が直撃する事はなかった。なぜなら、カルラが我を庇ったから。その後、酒をかけたドラゴンは、警備隊に連れていかれた。その後、カルラになぜ我を庇ったのか聞いたら、『お姉ちゃんだから?』と答えていた。
それ以降、我の反抗期は、ピタリとやんだ。カルラが我を庇ってまで姉としての務めを果たしているのに、我が反抗期に入ったままなのは、ダサいと思ったからだ。
しかし、それ以降我はカルラに対して姉上と呼ぶ事が出来なくなってしまった。あの時の恐怖と、焦燥感が戻ったらどうしようと考えて、自然とカルラと呼ぶようになっている。
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