第2話 生贄からお姫様へ


『我は、ドラゴンだぞ?好きという感情を持つには不可思議な存在だ』


「それでも、お側にいたいです!お願いします!フルールをお嫁にもらってください!」


 正直困った。必死の訴えだっただろうが、我は人間の通貨は(生贄の少女が送られまくって)持ち合わせていない。だから、買い物に行く時は、『竜の街』に行く事になるだろう。


 そうすると、留守番をしてもらう事になる。その時に危険な事があったら、帰るのが遅い。


 気になる所はそれくらいだったな。後は、何とかなる。しかし、『竜の街』だけは、竜しか入れないので、留守番をお願いするしかない。


 しかし、メリットもある。それは、生贄の少女が送られる理由が無くなるからだ。妻がいるのに、少女をわざわざ送るほど人間だって馬鹿ではない。


 その点が解消されるなら、かなり良い話に思えてきたぞ?実際にうんざりしていたし。


 留守番だって、我の住処結界張っておったし。住処をでなければ、安全だった。あれ?じゃあ、我フルールの申し出受ける以外ないな。



「ジャスター様?」


『分かった。フルール、そなたを妻として迎えよう。ただし、1つ約束をしてくれ 。危険な事だけはしないように』


「……!ありがとうございます!ジャスター様」


『それと、つがいの関係だから、我の事は名前で呼んでくれ』


「はいっ!ルジェ様」



 こうして、我はフルールと夫婦になった。翌日、人間の街に『妻ができたからこれ以上生贄を送らないでほしい』という旨を書いた書物を、人間の街に張った。これで、生贄を送るのをやめてくれたら良いのだがな。

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